イランとエジプト、2つの経済支援、2つの民主化


26日、イランで総選挙が実施された。投票率は6割、国会議員選挙では現大統領のロウハニ氏を支持する改革派、穏健派が対欧米強硬派を上回った。また、最高指導者を選ぶ権限を持つ専門家会議も大統領派が躍進、イランの政治的方向性は選挙という手続きにおいて明確になった。
政府は国連安保理決議を受けて1月22日に対イラン経済制裁解除を了承、2月5日には投資の相互促進および相互保護に関する日・イラン投資協定に署名、日本からの投資に際しては1兆円の政府保証で進出を支援する。言うまでもなくイランは石油をはじめ世界有数の資源国であり、7850万人の人口を擁する中東有数のマーケットである。また、石油依存経済からの脱却を目指し自動車や航空宇宙産業の育成もはかっている。日本の産業界にとっても新たな投資先としての可能性は大きい。

28日、政府は来日したエジプトのシシ大統領に対して「エジプトの民主化を支援するために官民合わせて2兆円規模の経済協力を行う」ことを表明した。シシ氏は、「アラブの春」の流れを受けて2012年に誕生したムスリム同胞団出身のモルシ政権を、翌2013年に実質的なクーデターで打倒、政権を掌握した。2014年の総選挙では96.6%という得票率で圧勝するが、一方、敵対勢力に対する徹底的な弾圧があったとも伝えられる。シシ氏による強権的な政権運営はエジプト経済を回復させつつある。また、ISに隙を与えないという意味においても「安定」は重要だ。
しかし、逮捕拘禁と言論統制を背景とした“強引な民主化”はもう一段の混乱を招く土壌ともなり得る。日本は“何を”支援するのか。確固とした理念と長期的なビジョンが求められる。

今週の”ひらめき”視点 02.28 – 03.04

 

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