スー・チー政権、スタート。‘民主化のその先’はまだ見えない


30日、ミャンマーにティン・チョー氏を大統領とする文民政権が誕生した。とは言え、実質的には4閣僚を兼務するアウン・サン・スー・チー氏がこれを統率、ミャンマーは彼女のもとで「国民和解、連邦制、生活水準の向上」に取り組むことになる。
しかし、半世紀あまり国政を担った軍の影響力は大きく、社会に根付いた利権構造も強固である。加えて複雑な宗教問題と少数民族問題も避けて通れない。アジア最悪の人道問題とも言われる‘ロヒンギャ問題’を含め、課題は山積する。

2015年11月、総選挙に圧勝した彼女は、英国籍の息子を持つ彼女の大統領就任を禁じた現行憲法を念頭に、「大統領より上の存在になる」と言い放った。そもそも彼女の民主化を‘英米による再植民地化’と批判する右派も存在する。英国の植民地経営に分断された負の記憶は未だに燻っており、少数民族問題もここが起点となる。

こうした情勢を鑑みると新政権に強力なリーダーシップが求められることは間違いない。先の彼女の言葉はその決意の表れかもしれない。一方、世界は民主化に向けたプロセスの危うさを‘アラブの春’で思い知った。スー・チー氏の民主化はどこに向かうのか。試されるのは次の総選挙だ。

今週の”ひらめき”視点 03.27 – 03.31

 

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