米大統領選、本戦へ。「その先」の世界はまだ見えない


米民主党はヒラリー・クリントン氏を正式に大統領候補に指名、その政策綱領を発表した。内容はアメリカ至上主義を掲げる共和党候補トランプ氏への対抗を鮮明にするとともに、冨の再分配と格差是正を訴えたサンダース氏の主張を大幅に取り入れたものとなった。TPPについては否定的なスタンスを示唆しつつも、批准の可能性は残った。
日本政府にとっては、政策のベクトルが大きく異なるサンダース氏、予測不能なトランプ氏との比較においてヒラリー氏はもっとも好ましいはずだ。とりわけ、民主党が綱領に「日本に対する歴史的な責務を果たす」と明記したことは、日本もまた米国に対する歴史的な義務を負い続けることを前提とする現行日米同盟にとっての“外交的な成果”と言えるかもしれない。

一方のトランプ氏は、露プーチン大統領に「ヒラリー氏のメールをハッキングしてくれ」と呼びかけるなど相変わらずの“トランプ流”、トップリーダーとしての資質への疑念は消えない。とは言え、予備選中に彼が発してきた強烈な孤立主義指向は世界のバランスを大きく揺るがすインパクトを孕んでいる。それは混乱の発火点にもなり得るし、それゆえに現状打破を試みる者にとってチャンスと映る。トランプ氏が惹きつけるアメリカの軋みと不満が新たな過激主義へと転化、拡散することを懸念する。

今週の”ひらめき”視点 07.24 – 07.28

代表取締役社長 水越 孝

 

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