昭和の夢を捨て、新たな未来を。JR北海道の再建は“北海道創生”と同義


JR北海道は1日の乗降客が1人以下の46駅の廃止に向けて関係自治体と調整に入った。既に廃止が決定している留萌線の5駅と合わせて2017年春のダイヤ改正時に51駅が地図から消える。全路線の赤字が常態化している中、安全への投資原資を確保するためにも、既に公共施設としての機能が失われた駅の廃止は止むを得まい。
一方、この3月には“念願”の北海道新幹線が開業した。しかし、こちらも初年度は48億円の赤字、投資回収の目処は立たない。2031年の札幌延伸に期待がかかるものの、航空機との競合を鑑みると都市間需要の取り込みは容易ではない。加えて、2030年代になると北海道の人口は大きく減少する。頼みの札幌市も2036年には2015年比で8%もの人口減が見込まれる。

そもそもJR北海道は独立行政法人鉄道建設・運輸施設設備支援機構の100%子会社であり、分割民営化に際して割り当てられた“経営安定化基金”が経営を下支えする。新たに加わった新幹線という名の赤字路線も40年以上も前に計画された国策である。つまり、民間の体裁をとっているものの実体は “国鉄のまま”であると言っていい。
実質的に国の管理下にあることを踏まえれば、国はその責任において重要な意思決定をなすべきである。そして、それは単なる一鉄道事業者という視点のみならず、“北海道の未来”を描き出した国家戦略として提示されなければならない。北海道、言い換えれば、地方はそこまで追い込まれつつあるということだ。

今週の”ひらめき”視点 10.02 – 10.06

代表取締役社長 水越 孝

 

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