女性活躍社会、後退。長期的な視座に立って社会のダイナミズムを引き出す施策を


「働き方改革」「女性が輝く社会」に向けて象徴的な一手となるはずだった“配偶者控除の廃止”は、取り沙汰される衆院解散と来夏の都議会選を前に見送られた。いや、そればかりか“壁”の上限を「103万円から150万円へ」引き上げる優遇策の拡大論まで俎上にあがる。無論、配偶者控除の廃止で女性の活躍が保障されるわけではない。しかし、政策の一貫性に疑問符がつくことは間違いない。
女性の可能性を家庭に押し込めた方が経済的に有利となる税制への違和感は、フルタイムで働く既婚女性はもちろん、すべての女性に共通であろう。女性へのメッセージは「仕事は家事優先で。内助の功こそ女性の役割。」に引き戻された。

それにしても、選挙を前に何の衒いもなく変節してゆく政治の有り様は残念だ。そもそも「1億総活躍」を掲げた背景には人口減少社会への切迫した危機感があったはずだ。人口置換率2.07を割り込んだのは1974年である。そこからの無策と先送りの連続が今日の事態を招いていると言っていい。
目先の利得を要求し続ける国民と場当たり的な利益誘導に終始する政治体質に決別しない限り、多様性の中に個の可能性と未来への希望を見出し得る社会は到来しない。

今週の”ひらめき”視点 10.09 – 10.13

代表取締役社長 水越 孝

 

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