次世代住宅(スマートハウス/ZEH)関連設備機器普及の条件

2017年8月
理事研究員 上野 雅史

次世代住宅関連設備機器市場のうち、蓄電システムが2020年度まで順調に拡大する見込み

スマートハウスやZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を設備面で構成するのが次世代住宅関連設備機器といわれるHEMS(ホーム エネルギー マネジメント システム)、スマートメーター、太陽光発電システム、燃料電池システム、ガスエンジンコージェネシステム、蓄電システム、V2H(EV車等の蓄電池を住宅へ利用する設備)などである。

これら次世代住宅関連設備機器のなかで今後も市場の拡大が期待されるのが、蓄電システム、スマートメーター、V2Hである。特にインフラ要素の制約がない蓄電システムは、比較的早い時期からの市場拡大が期待される。蓄電システムは、2015年度まで機器単体に補助金が充てられたことで市場が伸びたものの、補助金終了後の2016年度はその反動減から金額ベースで前年度比約30%減少した。しかし、2017年度以降、2020年度頃までは順調に市場を拡大していくものと予測する。ハウスメーカーにおけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様住宅等での標準採用や太陽光発電システムとのパッケージ販売の拡大に加え、固定買取価格制度(FIT)との関係も同市場の拡大に寄与してくるものと考えられる。FITについては2019年度には、太陽光発電の売電価格が開始時と比較して半額まで下落することや、初期契約者が満期を迎える年であり、契約満了後は、(正式には決まっていないが)2019年度の売電価格よりも更に安価な設定が予想されている。これまでのような余剰電力の売電による経済メリットが徐々に薄まっており、訪問販売事業者等では既にこうした顧客に対して蓄電システムを訴求し、余剰売電の自家消費へと促している動きがみられる。

補助金終了で太陽光発電システムは既築分野で大きく減少

一方、これまで次世代住宅関連設備機器市場で圧倒的な市場を占めていた太陽光発電システムは、震災以前から普及が進んでおり、その後も導入助成補助金やFIT制度の後押しを受けて、順調に市場を拡大してきたが、現状の市場は減少局面に入っている。2013年度までは、補助金によるイニシャルコストの低下、発電中の買電量の減少、余剰電力の売電、大容量システム(10kW以上)の搭載による全量売電など、顧客に対する経済的メリットが積極的に訴求された。しかしこうした経済的メリットは補助金ありきの面が強く、実際に補助金が終了すると補助金普及時期に拡大した既築分野が大きく減少した。新築分野についても例外でないが、政府のZEH普及目標をうけて、住宅供給事業者が次世代住宅への取り組みが強化されたことから、既築分野よりも減少が小さかったとみられる。

普及拡大に向けては、価格低下と新たな付加価値の創出が課題に

補助金等、政策との関連が強い次世代住宅関連設備機器市場であるが、今後一般家庭に普及、拡大していくためにはコストの低下が最も重要と考えられる。政府が取り組んでいるZEH仕様であっても、通常の住宅よりも約200万円の追加費用が必要といわれており、これらの設備を積極的に取り入れられるのは資金に余裕がある世帯に限られているのが実状である。

省エネ性の追求(光熱費の削減)だけで、ユーザーが次世代住宅関連設備機器を導入するインセンティブになりえるのかという疑問もある。現在はエネルギー使用量の“見える化”に留まっているのが実状であり、これらの機器を導入するには相当のコスト負担が必要となり、環境配慮や、省エネルギーおよびそれに伴う光熱費の低減だけでは、生活者の動機付けとしてやや弱く感じられる感は否めない。

その鍵を握ってくるのが、次世代住宅関連機器、特にHEMSを活用した新たな付加価値の提供である。HEMSで取得・管理するデータを活用することにより、エネルギー面のみならず、安全・安心、福祉、健康増進など住宅を舞台とした様々なサービスの他、これらのデータを異業種と連携しながら活用することで様々なマーケティングに活かすことも可能となってくるであろう。