アナリストeyes

小さなことからはじめる業務効率化

2024年5月
インダストリアルテクノロジーユニット
理事研究員 相原光一

通常、弊社の業務はお客様との情報交換などにより、持っている情報の精度向上を図ることが基本となるが、そうでないときはPCの画面に向かって何かしらのアウトプットを作成したり、メールやチャットのやり取りを行っている。
特に、PCの画面を見ているときはOffice関連のアプリケーションを操作することが多い。代表例はExcel、Word、PowerPoint、Outlook、Microsoft Teamsなど。これらのアプリケーションでの作業短縮化ができれば、業務時間を圧縮することができる。Chat GPTから得られた業務効率化の内容を表「Office関連のアプリケーションを活用した業務効率化例」に示す。

Office関連のアプリケーションを活用した業務効率化例
アプリケーション
内容
Excel
  1. フィルターを使用して、データを素早く絞り込んだり並び替えたりする。
  2. 条件付き書式を活用して、特定の条件を満たすセルを視覚的に強調表示する。
  3. ピボットテーブルを利用して、データを集計し、洞察を得る。
  4. セルの参照を絶対参照や相対参照で適切に設定して、数式のコピー&ペースト時にセル参照が正しく保たれるようにする。
  5. グラフを活用して、データの傾向や関係性を視覚化する。
  6. 名前を付けてセル範囲を定義し、複雑な数式を読みやすくする。
  7. データの入力規則を設定して、データの整合性を保つ。
  8. Excelの関数を活用して、計算やデータ処理を自動化する(例えば、SUM、AVERAGE、IFなど)。
  9. データの検証機能を使って、不正確なデータの入力を防止する。
  10. マクロを使って、繰り返しの作業を自動化する。
Word
  1. スタイルや書式設定を活用して、文書のフォーマットを一貫性のあるものに保つ。
  2. ショートカットキーを積極的に使用して、作業効率を向上させる(例えば、Ctrl + S で保存、Ctrl + C/V/X でコピー/貼り付けなど)。
  3. 自動修正機能を活用して、よく使う長い単語やフレーズを短いキーワードに変換し、入力時間を短縮する。
  4. 文書内の特定の箇所にジャンプするためのブックマークを設定する。
  5. テンプレートを活用して、同様の形式の文書を素早く作成する。
  6. コラボレーション機能を利用して、複数のユーザーが同時に文書を編集できるようにする。
  7. 自動目次や索引を生成して、文書のナビゲーションを容易にする。
  8. コメント機能を使って、フィードバックや修正を簡単にやり取りする。
  9. 検索と置換機能を使って、大規模な文書内で特定の単語やフレーズを素早く見つける。
  10. マクロを活用して、繰り返しの作業を自動化する。
PowerPoint
  1. テンプレートを活用して、一貫性のあるプレゼンテーションを作成する。
  2. マスタースライドを使用して、スライドのデザインやレイアウトを一括で変更する。
  3. スライド遷移やアニメーションを使って、プレゼンテーションに動きを加える。
  4. スライドのノート機能を利用して、プレゼンテーション中に補足情報を表示する。
  5. スライドショーの設定をカスタマイズして、自動進行やプレゼンテーションのループを設定する。
  6. スライドマスターを利用して、全体的なデザインやレイアウトの変更を素早く行う。
  7. スライド番号や日付を自動挿入して、プレゼンテーションを整理する。
  8. スクリーンレコーディング機能を使って、プレゼンテーションに音声や動画を追加する。
  9. プレゼンテーションのリハーサルモードを活用して、スライドのタイミングやトランジションを調整する。
  10. コラボレーション機能を使って、複数のユーザーがプレゼンテーションを共同で編集する。
Outlook
  1. ルールを設定して、受信トレイ内のメールを自動的に整理する。
  2. カレンダーを活用して、予定を管理し、会議やイベントを追跡する。
  3. タスクリストを使って、重要なタスクを追跡し、優先順位を付ける。
  4. スニペット機能を使って、よく使う返信や定型文を素早く挿入する。
  5. フォルダーを使って、メールをカテゴリーごとに整理する。
  6. カレンダーの予定を他の人と共有して、スケジュールを調整する。
  7. メールのフィルタリング機能を使って、重要なメッセージを優先的に表示する。
  8. メールの検索機能を利用して、特定のメッセージを素早く見つける。
  9. メールの自動返信機能を活用して、休暇中や不在時の連絡を自動化する。
  10. スケジュールを共有することで、他の人との会議やイベントを迅速かつ効果的に調整する。
Microsoft Teams
  1. プロジェクトや部署ごとに異なるチームとチャンネルを作成し、関連するコンテンツや会話へのアクセスを容易にする。
  2. SharePointとの統合により、ファイルの共有、バージョン管理、アクセス権の管理を効率的に行う。
  3. チャット、ビデオ会議、共有画面機能を利用して、リアルタイムでの文書編集やアイデア共有を実現する。
  4. タスクやプロジェクトの管理を行うPlannerをTeamsに統合し、タスクの割り当てや進捗状況の追跡を行う。
  5. チームの会議スケジュール調整や予定の共有をTeamsのカレンダー機能を使用して行う。
  6. Teamsは多くの外部アプリと統合されており、作業フローの効率化を図ることができる。
  7. 重要なメッセージやタスクに関連する通知をカスタマイズし、生産性を向上させる。
  8. セキュリティとコンプライアンスに配慮した設計により、企業のデータ保護や規制要件に適合する。
  9. チームのコラボレーションのパフォーマンスを分析し、改善のための洞察を得るための統計機能が提供される。
  10. ユーザーがTeamsの機能を最大限に活用できるように、定期的なトレーニングやサポートを提供する。
(出典:Chat GPT)

確かにそうだなと共感するものもあれば、「これは何だ?」という内容もある。
Excelでは③ピボットテーブルをよく活用する。ピボットテーブルはクロス集計を簡便に行うことができるため非常に重宝する反面、報告書などにアウトプットする際の体裁が悪い。そのため、有用な結果が得られることが分かれば新たに表を作るという手間は生じるが、初動で検討する程度であればピボットテーブルで十分だ。⑥も関数式を用いる際は分かりやすい手段だ。⑩マクロは毎日同じファイルを更新するルーチンワークには最適だが、プログラミングを理解していない私の自作となるため、自分以外の人と共有することは難しい。
Wordの内容には概ね共感するが、Wordでのマクロはまったく触ったことがない。調べてみると、特定の文字を色付けする、和暦を西暦にするなどのコードが紹介されているHPがあった。「下付きの一括変換」は便利そうだが、それ以外はほとんど使用する機会がないように感じる。ただ④ブックマークの設定は知らなかった。普段からナビゲーションウィンドウから見出しを選びながら特定の箇所を目視で探していたため、よく手を入れる箇所があるのなら、ブックマークの設定は非常に良い機能となるということを知った。
PowerPointの内容は、そもそもこれが業務効率化の方法なのかという疑問が残る。再度Chat GPTに具体的な質問を投げかけても似たような結果だった。Excelで作成した表をPowerPointのスライドに貼り、必要に応じてそれを最新の情報に更新してくれる「リンクの更新」のようなやり方を知りたかった。
Outlookについては、その多くがいずれも有用な内容だと共感した。④スニペット機能というのがテンプレートの作成と大きくは変わらないのであれば、会議の招集などのテンプレートを使用する頻度は多いため業務効率化が期待できる。
Microsoft Teamsはチャットやオンライン会議程度しか活用できていないため、このアプリケーションはもっと学ぶ必要があると実感している。

ここに挙げられたOffice関連のアプリケーションを活用した業務効率化の内容は良し悪しあるものの、概ね有効な手段となる。本来、自分のできる範囲での業務効率化というのは、いまの業務方法を抜本的に変えるアプローチも重要だが、これは本腰を入れて取り組む必要があるため時間がかかる。これまで手作業で行っていたExcelファイルがあったが、同じ作業の繰り返しだったため、Chat GPTと対話しながら必要な関数やマクロのコードを作成した。作成には大変な労力がかかったが、そのおかげで大幅な時間短縮が可能となった。
そうしたことも大事ではあるが、「小さなことからはじめる業務効率化」というのも『ちりつも』的にじわじわと効果を発揮するのではないかと期待している。自分のメールアドレスを辞書に登録し、「あ」と入力したら変換先として表示されるようなことや、Wordで作成した報告書の内容で表記の揺れがないかどうかを「表記ゆれチェック」で確認すること(通常の状態では表記の揺れの抽出が不十分なため、「オプション機能」から設定する必要がある)、日付を入力するときWordでは「今日」から変換できExcelでは「ctrl+;」で表示されることなど、細かい内容を集めることで大きな効果につなげられるのではないか。そうした取り組みを自部門や社内で事例を増やしながら共有することで、全体の業務効率化を図ることも必要な取り組みだろう。