プレスリリース
No.2320
2020/01/07
3Dプリンタ材料の世界市場に関する調査を実施(2019年)

2018年の3Dプリンタ材料の世界市場規模は前年比26.9%増の1,813億44百万円
~造形方法の技術革新、材料の多様化・高機能化が進み、3Dプリンタの適用領域が拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、3Dプリンタ材料の世界市場を調査し、方式別動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
3Dプリンタ材料世界市場規模推移・予測
3Dプリンタ材料世界市場規模推移・予測

1.市場概況

2018年の3Dプリンタ材料の世界市場規模(エンドユーザー購入金額ベース)を前年比126.9%の1,813億44百万円と推計した。3Dプリンタ材料市場は海外を中心に、①造形方法における技術革新(スピードや強度等)の進展、②3Dプリンタ材料の多様化・高機能化、③造形品の試作品から最終製品へのさらなる適用拡大、といった要因から大きく伸長している。

2.注目トピック

造形方法における技術革新の進展

2015年以降、造形スピードや造形品の強度向上などを実現する新たな造形方法を開発し、3Dプリンタ市場に参入する企業が相次いでいる。
樹脂材料を用いる3Dプリンタにおいては、2Dプリンタ事業で蓄積してきた技術・ノウハウ・知的財産を活用するHPをはじめ、Markforged、Carbon、Formlabsなど米国発のメーカーが多い。
一方で、金属材料を使用する3Dプリンタの造形方法は、粉末床溶融結合(PBF)法から材料押出(MEX)法や結合剤噴射(BJT)法へ広がりをみせる。BJ法では、Desktop Metal、HP、GE Additive、Stratasysなどのメーカーが市場への参入を計画している。

3.将来展望

2018年から2023年までの年平均成長率(CAGR)は21.2%となり、2023年の3Dプリンタ材料の世界市場規模(エンドユーザー購入金額ベース)は4,750億67百万円になると予測する。

造形方法別に3Dプリンタ材料市場の動向をみると、MEX法向け材料では装置と材料の進化によって用途・エンドユーザーのさらなる拡大が期待され、フィラメント(紐状材料)の市場規模は今後も高成長が続くであろう。
PBF法向け材料市場では、各社が立ち上げた材料開発を目的とするオープンプラットフォームで使用できる樹脂粉末が多様化することで、最終製品での需要が増えるものと想定される。一方、装置メーカーの動きによって造形方式間の競争が激しさを増すことから、PBF装置向けの金属粉末の市場規模は2020年以降に成長率が鈍化すると予測する。
VPP法向け材料市場では、低価格帯装置の普及や材料専業メーカーを中心とする共同開発プラットフォームの立ち上がりなどによって、今後も試作品への適用、および最終部品における新たな用途の創出を期待できる。
MJT法向け材料市場では、治工具向け用途などはME装置+フィラメントなどとの競合が生じつつあるが、カラーが求められるデザインモデル向けの需要は底堅く推移していく。また、金型や医療分野向けが需要を下支えしていくとみられる。

今後も造形方法の技術革新と材料の多様化・高機能化が相まって、3Dプリンタによる造形品は最終製品への適用が広がり、製造業におけるその位置づけは工作機械に近づいていくともいえる。ただ、工作機械を置き換えていくような存在とはなりにくく、先に述べた試作品や治工具、あるいは少量多品種品、カスタマイズ品を造形する際にこそ3Dプリンタは大きなベネフィットをもたらすと考える。
そのため、自動車(普及車)の量産部品などとは異なる、よりニッチな市場を対象とした3Dプリンタならではの継続的な用途開拓が必須となる見込みである。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  材料押出法向け3Dプリンタ材料市場
  • 注目トピックの追加情報
  •  3Dプリンタ材料の多様化・高機能化
     試作品から最終製品へのさらなる適用拡大
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2019年6月~11月
    2.調査対象: 3Dプリンタ関連企業(装置メーカー、材料メーカー)等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、ならびに文献調査併用

    <3Dプリンタ材料市場とは>

    3Dプリンタでは、それぞれの方式別に様々な材料が開発・実用化されており、主な材料としては樹脂や熱可塑性エラストマー(TPE:Thermoplastic Elastomers)、金属、セラミックス、ワックス、石膏などが挙げられる。また、副材料として結合剤噴射(Binder jetting:BJ)法で用いるバインダーをはじめ強化材、導電材、着色剤などの各種添加剤が用いられる。

    本調査における3Dプリンタ材料市場とは、材料押出(Material extrusion:MEX)、粉末床溶融結合(Powder bed fusion:PBF)、液槽光重合(Vat photopolymerization:VPP)、材料噴射(Material jetting:MJT)の4つの方式で使用される樹脂、TPE、金属を対象として、市場規模を算出している。但し、材料噴射法では光硬化樹脂のみとする。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)、金属

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2019年11月28日
    体裁
    A4 173ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2020 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。