プレスリリース
No.2381
2020/03/04

2019年度の観光列車市場規模は前年度比4.4%増の163.9億円と予測
~引き続き新しい観光列車がデビューするとともに、鉄道会社各社は観光列車の付加価値を高める取組みを進める~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の観光列車市場を調査し、市場規模、利用人数、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

観光列車の市場規模
観光列車の市場規模
観光列車を運行している鉄道会社の企業外連携・協業先の業種等
観光列車を運行している鉄道会社の企業外連携・協業先の業種等

1.市場概況

 本調査では、既存線区を活用し、観光客誘致などを目的に運行される観光列車を対象として、基本的な料金(乗車券、指定席券、旅行商品など)をベースに、観光列車の市場規模を推計した。2018年度の国内の観光列車市場規模(事業者売上高ベース)は157億円となった。
なお、当市場規模には、列車内外でのお土産や飲食等の追加購入費用は含まれていないため、列車乗車中及び乗車前後でのそれらの消費金額を含めれば、市場規模(波及効果)は更に大きくなる。観光列車の列車内外で提供されるサービスや物販は、それぞれの地域らしさを活かしたサービスや地元企業の商品であることが多く、なかには宿泊とセットになった乗車プランを提供している例もあり、観光列車は地方の魅力発信や地域経済の活性化にも寄与しているといえる。

 また、年々新しい観光列車が運行を開始しており、2019年度も新しくデビューした列車が複数本ある。さらに、観光列車を運行する鉄道会社各社は、観光列車の魅力向上や収益性の向上を図り、豪華な料理を列車内で提供したり、車内を豪華な内装にするなど、観光列車の付加価値を高める取組みを行っており、2019年度の観光列車市場を前年度比4.4%増の163億9千万円になると予測する。

2.注目トピック

外部と連携・協業し、列車の魅力向上や集客等を図る。連携先は〈旅行会社〉が最多

 観光列車は、本来 ”鉄道事業” を行う鉄道事業者が、列車の魅力を向上させて “乗ること自体が観光目的” となる観光コンテンツを開発し、新しい分野での観光需要を喚起して鉄道の利用促進を図るものである。鉄道事業者が単独で企画から運行まで全て行う場合もあるが、地域内外の企業や団体と連携・協業することにより、観光列車の魅力向上や効率的な運営、集客力の増強などを図る事例が多くみられる。また、“鉄道を走らせる” ことは鉄道事業者のみができる行為であり、旅行会社が観光列車を企画して、鉄道事業者が運行業務を請け負うなどの形で、異業種も参画を図っている。

 本調査で鉄道会社向けに実施した郵送アンケート調査結果(回答社数39社のうち、当該設問回答は34社)によると、最も多くの鉄道事業者が連携している先は旅行会社で82%であった。次いで多い連携先として、地方自治体(76%)、飲食店(50%)、バス会社(26%)、地元商店街(26%)と続く。地方自治体よりも、具体的に販売(乗客の増加)につながる旅行会社と連携している鉄道事業者の方が多い結果であった一方、全国的にインバウンド需要が拡大しているものの、海外を専門とした旅行会社と連携している鉄道事業者はまだ少なく、9%にとどまった。また、地方の観光活性役として期待されているDMO(観光地域づくり法人:Destination Management Organization)は、地域によって存在しない地域もあることもあり、地方自治体等に比べて割合は低く、21%であった。また、現状の連携数は多くないが、鉄道事業者が「連携・協業して効果があった」と感じる割合が高い連携先や、「今後連携・協業したい」という意向が多い連携先もあり、今後、外部との連携・協業が拡大する見込みである。

3.将来展望

 観光列車は観光コンテンツとして少しずつ定着しており、これまで鉄道に興味がなかった消費者層の鉄道旅行を促進し、鉄道を利用する旅行者層の幅を広げている。2020年以降も新しく登場する観光列車が控えており、今後も多様化が進む見通しである。また、エンターテイナー集団と連携した海外の観光列車や、旅行会社や宿泊事業者が観光列車を企画している事例があるように、鉄道事業者のみならず他の業界からの参入が活発化する可能性もあり、より一層観光列車の運行地域や種類が充実するだろう。その反面、各鉄道事業者は、他の列車との違いやその列車ならではの魅力を明確にすることが求められ、新たに参入する企業においては、既存の観光列車の分析や運行地域の資源の再発見や磨き上げなど、より訴求力の高い企画が求められる。

 各地で新しい観光列車が登場することで、利用者数や人気の格差の拡大が懸念されるが、新しい観光列車の登場および列車の多様化は、市場全体の魅力を高め、消費者の興味喚起につながる。今後、鉄道事業者や観光事業者が各地の観光列車の存在を把握し、相互利用を促進させ、観光客が全国の観光列車への乗車体験を “コレクション” したくなるような意識が醸成されることが期待される。そのためには、前述のとおり、各観光列車において ”その列車ならではの魅力” を明確にしておくことが必要と考える。

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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
  • セグメント別の動向
  •  観光列車数における運行会社区分(JR、大手私鉄、中小私鉄、第三セクター)のシェアが変化
     運行会社区分の経営環境の違いにより、戦略や目的が異なる
  • 注目トピックの追加情報
  •  観光列車の魅力要素としては<車窓>が最多
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2019年8月~12月
    2.調査対象: 観光列車市場参入企業、その他関連企業
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに郵送アンケート調査併用

    〈観光列車とは〉

    本調査における観光列車とは、既存線区を活用し、観光客誘致などを目的に運行される列車であり、移動手段としての用途だけではなく、車両に移動手段以外の魅力(付加価値)を付け、“乗ること自体が観光” となる列車を指す。
    定期的に運行するトロッコ列車やSL(蒸気機関車)を含み、車両外装のみラッピングした電車などは含まない。また、短期的な単発のイベントとして運行される列車や、プロモーションを目的に単年のみ運行される列車も含まないものとする。

    〈観光列車市場とは〉
    本調査における観光列車市場とは、乗車券、指定席券、旅行商品などを対象とし、それらの売上高ベースで算出した。また、それらに含まれない飲食費や土産購入費などの追加費用は含まない。なお、クルーズトレイン(宿泊機能を備えた周遊型豪華寝台列車)は含まない。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    観光列車、レストラン列車、トロッコ列車、SL(蒸気機関車)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2020年01月24日
    体裁
    A4 124ページ
    定価
    120,000円(税別)

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    マーケティング本部 広報チーム
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