プレスリリース
No.3043
2022/08/24
自動運転システムの世界市場に関する調査を実施(2022年)

ADAS/自動運転システムの世界搭載台数は日米欧中で標準搭載が進み、2030年に7,915万3,000台に成長すると予測
~レベル2/レベル2+が市場をけん引し、2030年には同レベル計で6,000万台超に達する~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、ADAS/自動運転システムの世界市場の調査を実施し、市場概況や採用動向、個別メーカーの事業戦略を明らかにし、2030年までの新車におけるADAS/自動運転システムの世界搭載台数を予測した。
ADAS/自動運転システムの世界市場規模予測
ADAS/自動運転システムの世界市場規模予測

1.市場概況

2021年のADAS(先進運転支援システム)/自動運転システムの世界搭載台数は4,097万6,019台で、前年比17.5%増であった。自動運転のSAEレベル別の内訳は、レベル1(L1:運転支援)が2,517万3,873台で市場全体の61.4%を占めており、次いでレベル2(L2:運転支援)が1,493万5,260台、レベル2のハンズオフ(高速道路限定の手放し運転/L2+:運転支援)は86万6,786台、レベル3(L3:条件付自動運転)は100台(日本市場のみ)である。2021年の世界新車販売台数におけるADAS/自動運転システムの搭載率は49.7%、2020年の44.3%から5.4ポイント上昇している。

2020年から最も市場規模(搭載台数)が拡大したのはレベル2(L2:運転支援)であり、高速道路において「ACC(車間距離制御装置)」「LKS/LKA(車線維持補助装置)」を同時に作動させる運転支援機能の設定車種が増えて、車両に搭載するADAS用センサ(フロントカメラ/レーダ)の高性能化も進展している。レベル2+(L2+:運転支援)についても日米自動車メーカーで搭載が進んでおり前年比72.8%増となる。レベル3(L3:条件付自動運転)についてはホンダ(本田技研工業)が世界初の実用化を発表しており、2021年に100台限定でリース販売をしている(現在は販売終了)。

2.注目トピック

2024年にレベル2の市場規模がレベル1を上回る

2025年に向けて日米欧中ではADASの標準搭載が進み、2023年にレベル1(L1:運転支援)の世界搭載台数は2,800万台でピークアウトし、2024年にレベル2(L2:運転支援)は3,000万台を超えると見通す。このため、2025年のADAS/自動運転システムの世界搭載台数は6,739万6,560台、世界新車販売台数おける搭載率は70.6%に上昇すると予測する。

​レベル別にみると、レベル2(L2:運転支援)が約3,502万台で市場全体の52.0%、次いでレベル1(L1:運転支援)が2,128万2,671台(同31.6%)、レベル2+(L2+:運転支援)が1,068万8,221台(同15.9%)、レベル3(L3:条件付自動運転)が40万4,940台(同0.6%)と予測する。レベル4(L4:高度自動運転)についてはMaaS(Mobility as s Service)向け商用車の研究開発が進んでいるが、公道実験用車両が中心であるために2025年時点の量産台数は僅少である。

3.将来展望

2030年のADAS/自動運転システムの世界搭載台数は7,915万3,000台、世界新車販売台数における搭載率は76.9%に上昇すると予測する。最も市場規模が大きいのがレベル2(L2:運転支援)の3,675万2,500台(市場全体の46.4%)であるが、2026年以降はレベル2+(L2+:運転支援)の搭載台数が日米欧中で増加するために、2030年はレベル1(L1:運転支援)の世界搭載台数(1,202万3,000台)を超えて2,339万9,000台に成長すると予測する。同じくレベル3(L3:条件付自動運転)についても各社のフラッグシップ(旗艦モデル)を中心に搭載が活発化するために、2030年は625万2,500台に拡大すると予測する。

​2027年以降は「E/Eアーキテクチャ(統合ECU化による集中制御)」「次世代EVプラットフォーム」「OTA(Over The Air)/ソフトウエア更新」の採用が主要自動車メーカーで進展するために、レベル3(L3:条件付自動運転)は高級車種の電気自動車を中心に市場が形成される可能性が高い。レベル4(L4:高度自動運転)はMaaS(Mobility as s Service)向けが中心である。本格的にビジネスが立ち上がるのは2020年代後半になるため、レベル4(L4:高度自動運転)を搭載したMaaS車両の2030年の世界搭載台数は72万6,000台と予測する。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  車両価格別・ADAS/自動運転の普及パターン
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2022年1月~6月
    2.調査対象: 自動車メーカー、カーエレクトロニクスメーカー、半導体メーカー、センサメーカー等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

    <自動運転システムとは>

    自動運転システムはSAE(米国自動車技術協会)が自動化のレベルを0~5までの6段階で分類しており、周辺監視責任の違いからレベル1、2を「運転支援」、レベル3以上を「自動運転」と定義している。レベル1は車両の周辺の状況をセンサが検知し、衝突事故を軽減・回避する自動ブレーキ(AEB)、前走車両に追従するオートクルーズコントロール(ACC)などの単機能、レベル2は操舵や加減速のうち複数の運転支援をシステムが実行し、他の動的運転作業はドライバーが担う。レベル2のハンズオフ機能(高速道路限定の手放し運転)はシステムコストやセンサの搭載個数が異なるために、SAEの定義にはないがレベル2+と称されることが多い。レベル3(条件付自動運転)はシステムが全ての動的運転作業を実施し、緊急時においてはドライバーが介入する。レベル4(高度自動運転)はシステムが全ての動的運転作業を実施し、ドライバーはいかなる状況においても運転作業に関与しないが、自動運転システムが作動する運行設計領域は決められる。レベル5は完全自動運転であり、自動運転システムが全ての動的運転作業を実施し、自動運転の場所、走行条件についての制約もない。

    ​本調査における世界市場規模は乗用車および車両重量3.5t以下の商用車の新車に搭載される自動運転システムの搭載台数ベースで算出している。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    先進運転支援システム(レベル1、レベル2/2+)、自動運転システム(レベル3、レベル4、レベル5)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2022年06月30日
    体裁
    A4 170ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2022 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。