プレスリリース
No.3853
2025/08/04
国内XR(VR/AR/MR)市場に関する調査を実施(2025年)

XRデバイス市場は足踏み状態が続くものの、法人向けXRコンテンツ市場は様々な産業分野への普及が進む

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のXR(VR/AR/MR)市場を調査し、市場概況、主要企業動向を明らかにした。ここではXRデバイス市場、法人向けXRコンテンツ市場について、分析結果の一部を公表する。

国内XRデバイス市場規模推移
国内XRデバイス市場規模推移
国内法人向けXRコンテンツ市場規模推移
国内法人向けXRコンテンツ市場規模推移

1.市場概況

2024年の国内のXR(VR/AR/MR)デバイス(ヘッドマウントディスプレイ+ARスマートグラス)市場規模はメーカー出荷台数ベースで45万6,000台と推計した。ヘッドマウントディスプレイについては2024年に新規に市場導入された製品が少なかった影響で、一般向け製品の一部で需要が頭打ちとなった。また法人需要が一巡したことから、ヘッドマウントディスプレイ全体としては減少した。ARスマートグラスについては、物流分野でのピッキングや現場での遠隔支援を中心に法人需要が堅調であった。

​2024年の国内の法人向けXR(VR/AR/MR)コンテンツ(受託制作+サービス)市場規模は法人向け(BtoB)受託製造事業者売上高ベースで264億6,500万円と推計した。エンターテイメント産業、製造業、エネルギー産業、小売業、宿泊・飲食業向けを中心に業務効率向上を目的に、安全教育、研修・トレーニング、技術継承、防災教育等のXRコンテンツ需要が増加している。なかでもエンターテイメント産業、製造業向けの受託制作需要が増加している。一方、法人向けXRコンテンツサービスにおいてもレンタル、サブスクリプション需要が伸びている。

2.注目トピック

XRデバイスはMR(Mixed Reality)を積極的に取り込み、更に進化

ヘッドマウントディスプレイにおいてMR(Mixed Reality:複合現実)表現が可能な製品が法人向け市場で支持された。今後ヘッドマウントディスプレイはMR表示対応が必須となるとみられるが、主な用途は産業分野になる見通しである。ARスマートグラスは2026年以降、MR表示に対応したAR/MRスマートグラスが大手メーカーをはじめ各社から製品化される見込みで、XRデバイス市場ではAR/MRスマートグラスに需要全般が移行するとみる。

3.将来展望

2030年の国内のXR(VR/AR/MR)デバイス(ヘッドマウントディスプレイ+ARスマートグラス)市場規模はメーカー出荷台数ベースで、87万台(ヘッドマウントディスプレイ:52万台、ARスマートグラス:35万台)を予測する。2030年の国内の法人向けXRコンテンツ(受託制作+サービス)市場規模は法人向け(BtoB)受託製造事業者売上高ベースで444億2,200万円を予測する。

XRデバイスは装着性、製品重量、バッテリー持続時間に課題を抱えるものの、MR(Mixed Reality:複合現実)への対応を進めることで、特に産業分野向けにおけるXRコンテンツ活用の幅が大きく拡がる見通しである。また、XRコンテンツは、産業分野全般における人材不足の影響を受け、技術継承や安全教育といった観点から、XRコンテンツの有用性やその効果が認識されてきていることから、これまでの実験的導入の段階から、業務効率向上と労働環境維持のための産業的なインフラとして定着していくものと考える。これまでXRコンテンツは大企業中心であったが、中小企業への普及に向け、レンタル、サブスクリプションなどの比較的安価なサービス提供の拡充、業界団体、行政・地方自治体による補助金による導入支援、安全教育では更なるコンテンツ教材の拡充が必要であると考える。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年1月~6月
    2.調査対象: XRデバイスメーカー、 XRコンテンツ受託制作事業者、XRコンテンツサービス提供事業者等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、郵送アンケート調査、および文献調査併用

    <国内XR市場とは>

    XR(エクステンデッド・リアリティ/Extended Reality)は、現実世界と仮想世界を融合する技術の総称で、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などを含んでいる。本調査における国内のXRデバイス市場はヘッドマウントディスプレイとARスマートグラスの合算とし、市場規模はメーカー出荷台数ベースで算出している。

    ​また、本調査における国内の法人向けXRコンテンツ市場とは法人向けXRコンテンツ受託制作市場と法人向けXRコンテンツサービス市場で構成される。受託制作は、クライアント(企業・自治体など)からの依頼に基づき、目的特化型のXRコンテンツを一品ごとに制作するオーダーメイド型のビジネスモデルであり、コンテンツサービス市場は完成済のXRコンテンツをレンタル、サブスクリプションなどの提供方式でコンテンツ、ハードを一定期間提供するサービス形態を指す。市場規模は法人向け(BtoB)受託製造事業者売上高ベースで算出している。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    XR機器(ヘッドマウントディスプレイ、ARスマートグラス)、XRコンテンツ

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年06月27日
    体裁
    A4 326ページ
    価格(税込)
    275,000円 (本体価格 250,000円)

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    部署
    マーケティング本部 広報チーム
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