プレスリリース
No.3883
2025/09/25
xEV用主機モータ・eAxle世界市場に関する調査を実施(2025年)

2035年のBEV用eAxle世界市場規模は約4兆1,000億円を予測
~2035年に向けて最高出力150kW-200kWのeAxleが市場をけん引~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、xEVおよびキーデバイス/コンポーネント世界市場の調査を実施し、市場概況と技術動向、主要メーカーの事業戦略を明らかにし、2035年までのxEV用主機モータ・eAxleの世界市場を予測する。

BEV(電気自動車)用eAxleの世界市場規模予測
BEV(電気自動車)用eAxleの世界市場規模予測

1.市場概況

2024年におけるBEV(電気自動車)用eAxle(電動アクスル)の世界市場規模は出荷数量ベースで1,142万台、出荷金額ベースは2兆9,032億円の見込みである。最大出力別のeAxle市場規模については、50kW以下が191万8,000台(構成比16.8%)、100kW以下が176万1,000台(同15.4%)、150kW以下が339万9,000台(同29.8%)、200kW以下が413万3,000台(同36.2%)、200kW超が20万9,000台(同1.8%)となっている。

BEVでは充電時間を短縮したいというニーズから、搭載する電池の電圧を従来の400Vから800Vへ高める動きが大型・高級BEVを中心に広がっている。また、800V化によりモータの性能をより効率的に引き出せるようになったことで、eAxleの高出力化も進んでいる。さらに、SUVや大型・高級BEVでは、走行性能や静粛性を向上させるために、前後輪にeAxleを搭載したAWD(全輪駆動)を採用するモデルが増加しており、駆動用として最大出力150~200kWクラスのeAxleに対する需要も拡大している。

2.注目トピック

BEV用eAxleのX in 1動向

BEV(電気自動車)用eAxleでは、従来のモータ・減速機・インバータを一体化した「3 in 1」に加え、さらなる機能統合を図った「X in 1」タイプの開発と導入が、中国メーカーの一部モデルにおいて搭載が進んでいる。

X in 1は、DC-DCコンバータ、OBC(車載充電器)、BMS(バッテリ管理システム)などを含む複数のコンポーネントをeAxleに統合するもので、統合する数に応じて「4 in 1」や「7 in 1」などと呼ばれている。

eAxleの統合化を進めることで、各コンポーネントをつなぐ配線の簡略化、部品点数の削減によるシステムの小型・軽量化やコスト低減、自動車メーカーにおける開発工数や搭載スペースの削減といった複数のメリットがある。

このため、現在のBEVのeAxleは3 in 1 が主流であるが、開発期間の短縮やコスト重視の量販モデルを中心に、X in 1 eAxleの採用が徐々に広がっていくことが見込まれる。

3.将来展望

BEV(電気自動車)用eAxleの世界市場規模は、出荷数量ベースで2030年に1,620万台、2035年には1,920万台へと成長し、出荷金額ベースでは2030年に3兆6,180億円、2035年に4兆1,335億円を予測する。

2020年代後半からは、中国市場を中心に電池電圧の800V化が進み、それにともないAWD(全輪駆動)を採用したSUVや大型・高級BEVの市場拡大が見込まれる。特に最大出力150kWを超えるeAxleの需要は増加するため、2035年における150kW超eAxleの世界市場規模(200kW以下と200kW超計)は878万4,000台、eAxle市場全体に占める構成比は2024年の38%から2035年は45.8%に達すると予測する。

​一方、最高出力100kW以下のeAxleは、中国および欧州の都市部における近距離移動向け小型BEVでの需要が徐々に増加する。2031年以降は日本やアジア地域の都市部でも充電インフラの整備が進み、小型BEV市場が形成される。このため、2035年には100kW以下のeAxle市場規模は560万2,000台(うち50kW以下331万7,000台、100kW以下228万5,000台)に達すると予測する。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年3月~6月
    2.調査対象: 自動車メーカー、一次部品メーカー、パワー半導体メーカー
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

    <xEV用主機モータ・eAxleとは>

    xEV用主機モータは、車両を直接駆動するためのモータであり、エンジンに代わって車輪にトルク(回転力)を伝え、加速・減速・回生ブレーキなどを実現する。BEV(電気自動車)では電動走行の主要な動力源となり、PHEV(プラグインハイブリッド車)やHEV(ハイブリッド車)ではエンジンと連携しながら駆動力を補完する役割を担う。

    eAxle(電動アクスル)は「モータ」「減速機(ギア)」「インバータ」を一体化した電動駆動ユニットであり、左記3コンポーネントを統合化した「3 in 1」構成が主流である。これにより、BEVの駆動システムの小型化・軽量化によって電力消費効率(電費)向上と航続距離延長につながり、車両設計の自由度も向上する。

    BEV用eAxleは車両の前輪または後輪のいずれかに搭載されるほか、前後両方に搭載して全輪駆動(AWD)を実現するケースもある。AWD構成では、eAxleはメインユニットとサブユニットに分かれ、メインユニットは高出力の主機モータが搭載されて車両の主駆動を担う。一方、サブユニットには小〜中出力のモータが搭載され、走行補助や制御補助を通じて、BEVの走行性能や安定性を高めている。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    xEV用主機モータ・eAxle

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年06月27日
    体裁
    A4 154ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

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