高齢者が安心して暮らせる住まい環境の整備が進むことに期待
~新規供給と共に既存住宅の有効活用に注目~
1.市場概況
高齢者住宅市場(有料老人ホーム、軽費老人ホーム、シルバーハウジング、サービス付き高齢者向け住宅の4類型計)は、新規供給は進んでいるものの増加幅は年々縮小傾向となっており、今後も同様の傾向が続いていくものとみられる。国土交通省の「住生活基本計画(全国計画)」※では、2030年までに高齢者人口に対する高齢者向け住宅の供給割合を4%とする目標が掲げられているが、現在の高齢者住宅(同4類型計)の新規供給の状況からはその目標達成は難しいものとみられる。目標達成に向けては新規供給のペースを加速させていく必要がある。
※出所:国土交通省「住生活基本計画(全国計画)」(令和3年3月19日)
2.注目トピック
高齢者住宅の新規供給の促進と同時に、既存住宅の活用にも注目
高齢者向けの住まい環境を整備するためには、高齢者向け住宅の新規供給による高齢者向け住宅への住み替えを促進することだけではなく、バリアフリー設備など高齢者に向けた仕様に整備した既存住宅を増やしていくことも有用であるものと考える。
なかには住み替えではなく、住み慣れた自宅での生活を継続し、必要に応じて介護サービスを受け、家族に見守られながら最期を迎えるというライフサイクルを望む高齢者は多いものとみられる。高齢者にとって安心安全な暮らしを実現するための適切な設備が設置された既存住宅を活用していくことは注目に値する。
3.将来展望
高齢化社会を迎え、高齢者の暮らし方や住まいの在り方は多様化している。従来からの老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は今後も継続運用されていくが、医療ケア特化型の老人ホームが台頭するなど、事業者側の変容も進んでいる。
住み慣れた生活圏内で施設入居を希望する高齢者が多いと言われているが、医療ケアが必要な場合には遠方であっても安心な暮らしが続けられる体制が整った施設を選択することが最善の選択となるケースもある。こうした様々な要望や条件などを想定し、第三者的な立場から相談者に合うような適切な高齢者住宅の紹介やアドバイスを行う高齢者住宅専門の紹介事業者の提案により、多様な選択肢の中から高齢者が安心して暮らすことのできる施設への入居が実現していくことに期待する。
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調査要綱
2.調査対象: 高齢者住宅及び施設の供給・運営事業者、高齢者住宅紹介事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・email等によるヒアリングおよび文献調査併用
<高齢者住宅市場とは>
高齢者住宅とは、高齢者が生活しやすいように設計された住宅とし、介護サービスや高齢者向けの生活支援サービスを受けることが容易な環境が整備されているバリアフリーの集合住宅及び介護保険施設のことをさす。
<市場に含まれる商品・サービス>
有料老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、ケアハウス、シニア向け分譲マンション、シルバーハウジング、介護老人保健施設
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