コロナ期の急成長を経て、「コロナ前」の水準に戻る2024年のアジアゴルフ用品市場
1.市場概況
本調査では新たに2020年~2024年(見込)のアジア地区のゴルフ用品市場規模及び動向を調査した。その結果、アジア地区合計の2024年ゴルフ用品市場規模見込値(ゴルフウエアを含む)は前年比79.3%の8,381億1,000万円と20%以上のマイナスが見込まれるという結果となった。
2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、アジア地区に限らず世界的な「コロナブル」と(日本で)呼ばれる追い風をゴルフ産業が受けることとなった。日本市場の2020年市場規模は大幅なマイナスを余儀なくされたが、アジア地区全体の2020年市場規模は前年比99.4%の7,656億1,000万円と微減レベルに止まっていることが分かる。こうしたデータからも、新型コロナウイルス感染拡大による一時的な市場減退とそこからの回復が日本以上に急激な形で顕在化していたことが分かる。
2.注目トピック
「コロナ後」の韓国ゴルフ用品小売市場の方向性
急激な成長とその反動減により韓国のゴルフ用品小売市場には大量の在庫が滞留したが、日本メーカーの多くが現地代理店を介したビジネスを展開しており、それ故に小売の現場の情報収集(実際には既に大量の在庫が各小売店に滞留していたのだが、その情報が代理店からメーカーに入るのが遅れた。若しくは意図的にそうした情報を伝えなかった可能性もある)が遅れ、実需を伴わない仮需が肥大化した可能性もある。世界的な最高水準の急成長にはそうした韓国特有の商習慣も関連しているものと推察される。コロナバブルとその反動による急激な市場規模の変化は、韓国ゴルフ用品小売市場に「業態構造の変化」をもたらした。具体的には個人経営の専門店業態の淘汰と、ゴルフゾンコマースやAKゴルフに代表されるような量販小売企業の占有率上昇であるが、それら量販小売企業からは「コロナバブル後の新たな韓国ゴルフ用品市場のビジネスモデル」を模索するというポジティブな声が上がった。
「コロナバブル後の新たな韓国ゴルフ用品市場のビジネスモデル」とは何を指すのか。端的に言えば「ゴルフクラブ市場におけるフィッティングを軸としたカスタマイズ充実による収益性向上(客単価上昇と顧客満足度向上)」である。韓国市場にもカスタムフィッティングをサービスの軸とする工房型店舗は多数存在するが、大手量販店のビジネスモデルは所謂「吊るし(既製品)」クラブ中心であったと言って良い。それ故に上述したような急激な市場成長が実現した面はあるが、今後の韓国ゴルフ用品小売市場(ゴルフクラブ市場)は現在の「日本型」と類似した環境になっていく可能性が高い。実際今回の現地調査でも韓国ゴルフ用品事業者から日本におけるゴルフクラブ市場の動向やカスタム、フィッティング市場動向に対する質問を受ける時間がかなり多かった。また今後、自店でカスタム・フィッティングビジネスを強化するためのフィッター育成システム(研修会、勉強会の開催)や国内シャフトメーカー、パーツメーカーとのコミュニケーションを希望する声があった。こうしたことは過去の韓国の現地調査では聞かれなかったものである。
3.将来展望
本調査では市場規模を算出した最新年は2024年(見込値)であり、その後の日本以外の国については定量的な調査を行っていないが、2025年に入ってからの日本におけるゴルフ用品市場動向を見る限り韓国を中心とした日本以外のアジア市場もゴルフクラブにおける量産品(既製品)を販売する「量」から、フィッティングを軸としてカスタマイズ充実させる「質」のビジネスへの転換が進むものと推察される。
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調査要綱
2.調査対象: アジア地区(日本、韓国、中国<マカオ含む>、台湾、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、その他アジア、その他ASEAN)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)
<アジアゴルフ用品市場規模とは>
本調査におけるアジアゴルフ用品市場とは、アジア対象国(日本、韓国、中国(マカオ含む)、台湾、アジアその他、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、その他ASEAN)におけるゴルフクラブ(ウッド、ハイブリッド、アイアン、パター)、ゴルフボール、ゴルフシューズ、キャディバッグ、ゴルフグローブ、ゴルフウエアを指す。市場規模はアジア対象地域の各通貨を日本円換算し、小売金額ベースで算出している。
日本以外の国は市場規模を算出するための精度の高い定量情報が不足していることから市場規模にレンジ(幅)を持たせて算出している。本調査の市場規模(掲載値)はその中央値である。
<市場に含まれる商品・サービス>
ゴルフクラブ、ゴルフボール、ゴルフシューズ、キャディバッグ、ゴルフグローブ、ゴルフウエア
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