プレスリリース
No.3930
2025/09/26
国内動画制作サービス市場に関する調査を実施(2025年)

国内動画制作サービス市場は2027年度に5,400億円規模の拡大を予測
~「5,000万円以上」の高単価案件は市場を押し上げ、「1,000万円未満」は裾野を広げる二極化が進展~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の動画制作サービスの市場規模・市場動向調査を実施し、その結果を公表する。

国内動画制作サービスの市場規模推移・予測
国内動画制作サービスの市場規模推移・予測
国内動画制作サービスのメディア別/価格帯別の市場規模推移・予測
国内動画制作サービスのメディア別/価格帯別の市場規模推移・予測

調査結果概要

<市場概況>
2024年度の動画制作サービスは、YouTube※やTikTok※をはじめとするWeb・SNS向け動画制作が好調となったことや、企業によるブランディングを目的とした動画活用ニーズが高まったこと、大阪・関西万博関連の広告需要が寄与したことなどにより、市場規模は前年度比106.2%の4,238億円(事業者売上高ベース)と推計した。

新型コロナウイルス禍で一時落ち込んだテレビCM制作需要は回復基調にあり、マス広告の下げ止まりとデジタル広告の拡大が重なったことで市場全体は拡大基調にある。
2025年度は、YouTube※を中心とするデジタル領域での需要拡大、短中尺(1~5分)や多バリエーション(同じ動画コンテンツをターゲットや用途ごとに複数パターンに作り分けること)の量産案件の伸長、企業の周年広告や大型イベントに伴う高単価案件の増加、そしてテレビCM とWeb 動画を組み合わせたクロスメディア案件の寄与により、前年度比108.1%の4,580億円への成長を予測する。

動画の活用は、広告領域にとどまらず、販促活動、インターネット通販における商品説明、企業における人材採用や教育といった幅広い用途へ着実に広がっており、この用途拡大が継続的に制作を行う運用型の需要を生み出している。とりわけSNSやOTT(Over The Top:インターネットを通じて提供される映像配信サービス)向けの短中尺動画、インタラクティブコンテンツ(視聴者が操作・選択できる双方向型動画)は更新頻度が高く、市場の拡大を牽引している。こうした需要特性を背景に、国内動画制作サービス市場規模は2026年度には4,970億円、2027年度には5,400億円と拡大基調を予測する。今後はさらなる需要拡大が見込まれることから、市場は好調に推移するものと考える。

<注目動向>
テレビCMは依然として大手企業のブランド戦略における主力媒体であり、映像表現の品質やスケール感(作品全体の規模や迫力)が求められる高単価案件を中心に安定した需要が見込まれる。一方、デジタル広告は短中尺動画やSNS連動型の運用案件を軸に成長を続けており、ターゲット層別や目的別に多様なフォーマットを組み合わせるクロスメディア施策が加速している。テレビCMとその他のWeb・SNS用動画の棲み分けと融合が進むことで、動画制作サービス市場全体の成長がさらに押し上げられる見通しである。

価格帯別では、5,000万円以上の高単価案件は件数は限られるものの、市場全体を押し上げる牽引役となっている。映画のような演出や臨場感のある映像をはじめとする高品質動画が求められる領域であり、撮影規模、セットデザイン、CG/VFX技術などにおいて高度な制作力が必要とされる。特にテレビCMや国際イベント関連は高単価案件の代表例であり、今後も旺盛な需要が見込まれるものの、制作予算や専門人材、豊富な制作実績を要するため、参入障壁が高く、高単価案件は上位事業者に集中している。一方、1,000万円未満の価格帯は、SNS運用やWeb動画を中心に市場の裾野を広げる基盤となっている。



<調査要綱>
調査期間:2025年7月~9月
調査対象:動画制作会社
調査方法:当社専門研究員による直接面談、アンケート調査、ならびに文献調査を併用

<市場の定義>
本調査における動画制作サービス市場は、以下を対象とする。
1.テレビCM用動画:テレビ放送用のコマーシャル動画など
2.Webサイト掲載用動画:自社ランディングページ(LP)、サービス紹介用動画など
3.SNS用動画:TikTok※、Instagram※など
4.YouTube※用動画:短中尺(1~5分)など
5.OOH(Out Of Home)/サイネージ用動画:駅、店頭、屋外動画などの自宅の外で目にする広告メディア
6.OTT(Over The Top:インターネットを通じて提供される映像配信サービス)プラットフォーム向け動画:テレビ品質の編集やナレーションを伴う動画

※YouTubeはGoogle LLC の登録商標、TikTokはTikTok Ltd.の登録商標、InstagramはMeta Platforms, Inc. の登録商標である。

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