EVの販売見通しにより2024年の車載用ディスプレイ世界出荷量は大きく成長も、在庫が拡大し2025年の成長率鈍化を予測
~車載ディスプレイの大型化が進むことで、搭載枚数の増加による大幅な成長は期待できないものの、車載ディスプレイ1枚当たりの単価はアップへ~
1.市場概況
2024年の車載ディスプレイ世界出荷量(純正品のみ、LCD-TFT、AMOLED、Mini LED[Direct LED(Back light Unit)]、MicroLEDディスプレイ、メーカー出荷数量ベース)は、前年比109.0%の1億9,864万枚と推計した。2025年の同出荷量は前年比103.7%の2億602万枚になると予測する。
2025年の減速予測は好調であった2024年の反動減が主な要因となっているが、中国や欧州市場でEV(電気自動車)の販売台数が大きく伸びずに踊り場状態が続いており、生産した車載ディスプレイの在庫が世界的に余っている状況にある。トランプ関税の影響もあり、2025年の世界自動車販売台数※の見通しは大きな期待が出来ず、自動車マーケットの動向と連動する形で車載ディスプレイ世界市場も大幅な成長は見込みにくいと考える。
※各国工業会データ等をもとにした矢野経済研究所推計値
2.注目トピック
Passenger Displayは、EU市場を中心に採用が本格化
Cockpit ModuleにMulti Display(1つの表示装置に複数情報を表示するディスプレイ)を複数搭載するパネルとしては、「独立型Passenger Display(助手席側ディスプレイ)」を使用するケースの他、Integrated Display(機能統合型ディスプレイ)として「CID(Center Information Display)+Passenger Display一体型」の大画面ディスプレイを採用するケースも増加している。
EU市場では、Passenger Displayの搭載が標準規格に近い位置づけに進む見通しとなっているが、2025年上期時点において法律的な義務付けはなく、高級車を中心に一部の採用が始まっている状況 にある。
なお、Passenger Displayの採用拡大は、Dual View Display(液晶の前面に特殊なブラインドを設置することで、2つの異なる映像を流した際に見る角度によって異なる映像を見ることが出来るディスプレイ)の採用動向に大きく影響される。Dual View Displayの採用が本格化する場合には、Passenger Displayを搭載する必要はなくなるためである。
3.将来展望
車載ディスプレイの出荷量は自動車一台あたり複数のパネルが搭載されるため、常に自動車生産台数の成長率を上回ってきた。しかし、2025年以降の車載ディスプレイの出荷量の伸びは自動車生産台数の成長率に近づくと予測する 。
近年、車載ディスプレイの搭載に対する考え方が変化し、車載ディスプレイの大型化はさらに著しく進行している。Middle車種でも部材コストを抑えるため、様々な中小型ディスプレイを搭載せず、Cockpit Module向けで10インチ以上のディスプレイ2枚以上を搭載することが定着しつつある。
2026年以降も車載ディスプレイの大型化が進むことで、搭載枚数の増加による大幅な成長は期待できないとも考えられるが、様々な機能が追加されたディスプレイやディスプレイ自体の性能アップにより、車載ディスプレイ1枚あたりの単価は確実に上がっている。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
車載用OLEDパネル市場
LCD技術ではLTPS技術に注目
調査要綱
2.調査対象: 車載ディスプレイメーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<車載ディスプレイ市場とは>
本調査における車載ディスプレイ市場とは、 自動車のCockpit Module向けCID(Center Information Display)、Cluster(Instrument Cluster)、Integrated Display、Passenger Display、RSE(Rear Seat Entertainment)、HUD(Head-up Display)、Mirror(Rearview Mirror / Side Mirror)向けのLCD-TFT、AMOLED、Mini LED[Direct LED(Back light Unit)]、Micro LEDを対象として、メーカー出荷数量ベースで算出した。
また、市場規模は市販品を含まず、純正品のみを対象とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
車載LCD-TFT、車載AMOLED、車載Mini LED、車載Micro LED
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