プレスリリース
No.3974
2025/12/01
国内企業のIT投資に関する調査を実施(2025年)

2024年度の国内民間企業のIT市場規模は前年度比5.1%増の15兆8,200億円
~2025年度はWindows10サポート終了に伴う対応で支出が拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、2025年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向について調査を実施した。

国内民間IT市場規模推移・予測
国内民間IT市場規模推移・予測
海外拠点でIT投資が増加している分野(2011年度、2025年度)
海外拠点でIT投資が増加している分野(2011年度、2025年度)

1.市場概況

2024年度の国内民間IT市場(ハード・ソフト・サービス含む、公共分野や民間小規模事業者除く)は、IT投資額ベースで前年度比5.1%増の15兆8,200億円と推計した。2024年度は大企業を中心に老朽化した基幹系・情報系システムのリプレイスが堅調だった。また、ランサムウェア等の高度化するサイバー攻撃への対応を目的としたセキュリティ関連投資等も加速し、IT投資額が拡大した。

2.注目トピック

海外拠点では「情報セキュリティ」へのIT投資が堅調

本調査(2025年調査)では、国内の民間企業にアンケート調査を行い、500社からIT投資に関する回答を得た。そのうち、海外に拠点を持つ企業(164社)に対し、「海外拠点でIT投資が増加している分野」を尋ねた(複数回答)。結果は、「増えている分野はない」(39.0%)が最多であったものの、具体的な投資分野としては「情報セキュリティ」(31.1%)が最も多く、次いで「生産管理システム」(18.9%)となった。


当社が2011年度に実施した同様の調査結果(※)と比較すると、企業の優先分野は大きく変化している。2011年度は「生産管理システム」(57.7%)がトップで、「会計システム」(40.4%)、「販売管理システム」(32.7%)が続き、「情報セキュリティ」(20.2%)は4番目であった。


今回の調査で「情報セキュリティ」が投資分野の事実上のトップとなった背景には、世界的にサイバー攻撃の脅威が増大していることがある。海外拠点を持つ企業にとって、グループ全体での情報セキュリティ対策は、極めて重要な経営課題になっていると言える。


※2011年度調査:矢野経済研究所「2011 日本企業のグローバルIT戦略」(2011年9月発刊)に基づく再集計値、n=104、複数回答。2011年度は「不明・未回答」を除外し、2025年度は「増加している分野はない」を比較図表から除外している。両調査は回答企業属性や設問設計、調査手法が異なるため、単純比較には留意が必要である。

3.将来展望

国内民間企業のIT市場規模は、2025年度は前年度比5.8%増の16兆7,300億円、2026年度は同3.9%増の17兆3,900億円、2027年度は同3.1%増の17兆9,300億円と予測する。


2025年度は、Windows10のサポート終了に伴うOS移行やPCの買替需要が発生し、ハードウェアへの投資が増加している。あわせて、レガシーシステムの刷新やセキュリティ強化、業務システムのクラウド移行が進み、投資は順調に拡大すると予測する。さらに、生成AIをはじめとしたAIの活用に関する投資も活発化している。この投資には、AI関連サービスの利用料だけでなく、AIを最大限活用するためのデータ基盤の構築といった土台作りのための支出を含み、それぞれが大きく拡大する見通しである。


2026年度以降は、OS移行やPCの買替需要は2025年度ほどではないが残るため、その対応への支出は翌年まで続く。また、基幹システムの刷新や業務システムのクラウド移行、AI活用等への支出がIT投資額を押し上げる要因となる。一方で、円安や物価高、人手不足によるコスト上昇は投資計画の遅延・縮小要因になり得る。このような環境下では、必要度の高い領域から優先順位を付け、内製化の活用や標準化・自動化でコストとスピードを両立することが重要である。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年6月~10月
    2.調査対象: 国内の民間企業等
    3.調査方法: 民間企業に対するアンケート調査、ならびに文献調査併用

    <国内民間IT市場とは>

    本調査における国内民間IT市場とは、国内の民間企業のハードウェア、ソフトウェア、保守関連や運用管理・アウトソーシング等のサービス、ASP・クラウド等のオンライン・サービス他を対象として、IT投資額ベースにて算出した。公共分野(官公庁や自治体)や民間小規模事業者によるIT投資を対象としない。


    また、同時に下記の要領で、民間企業に対しIT投資に関するアンケート調査を実施し、IT投資実態と今後の動向について、明らかにした。
    ※アンケート調査期間:2025年6月~9月、調査対象:国内民間企業等500件、調査方法:質問票送付は郵送及びeメール、回答は郵送及びオンラインを併用した。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    国内民間企業のIT投資(ハードウェア、スクラッチ開発とパッケージ導入【カスタマイズを含む】等のソフトウェア、保守関連や運用管理・アウトソーシング等のサービス、ASP・クラウド等のオンライン・サービス、回線利用料、その他コンサルティングなど)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年10月31日
    体裁
    A4 262ページ
    価格(税込)
    220,000円 (本体価格 200,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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