医療情報周辺市場の市場規模は、2025年度は180.9億円、2030年度には475.4億円と2.6倍に拡大すると予測
1.市場概況
医療情報システム周辺市場は、レセプトやDPCデータを活用するセグメント(DPC分析関連ツールや医療ビッグデータビジネスなど)は以前より形成されており、成長期の後半~成熟期に達している。
そのような中、電子カルテの普及に伴い、近年では電子カルテデータを活用するセグメント(病床管理やバイタルデータ転送関連ツール、PHR、電子カルテデータの活用を含む医療ビッグデータビジネスなど)も市場形成が進んでいる。さらに生成AIの発展から、電子カルテへの入力を補助する音声AIや、電子カルテデータから様々な医療文章(退院サマリなど)の作成を支援する医療文書作成支援AIなども2024年末から参入が相次いでいる。
これらのような医療情報システム周辺の6市場(音声AI、バイタルデータ転送関連ツール、医療文書作成支援AI、経営分析・支援関連ツール、PHR、電子カルテ系医療ビッグデータ)の市場規模(事業者売上高ベース)は、2025年度は180.9億円になると予測した。内訳としては、経営分析・支援関連ツールが54.3%と過半数である。その理由としては、DPC分析ツール等の既に成熟期に入った市場を含め、多数のサブセグメントを含むことが挙げられる。
2.注目トピック
病院向け生成AIツール市場は参入が相次いでおり、急速に市場形成が進む
生成AIの発展から、電子カルテへの入力を補助する音声AIや、電子カルテデータから様々な医療文章(退院サマリなど)の作成を支援する医療文書作成支援AIなども2024年末から参入が相次いでいる。
2025年度末時点では、音声AIも医療文書作成支援AIも病院での稼働施設数は数百施設以下に留まると予測するが、急速に導入は拡大し、数年内に稼働施設数は1,000施設を突破すると予測する。
3.将来展望
前述のように、医療情報システム周辺市場は近年、電子カルテデータを活用するセグメントの市場形成が進んでおり、多くのセグメントにおいて高い成長率が続き、2030年度には475.4億円と、2025年度の2.6倍にまで拡大すると予測する。
また、多くのセグメントは2030年度時点では成長期の中にあり、特に病院向け生成AIや電子カルテ系医療ビッグデータは高い成長率が続くと予測する。
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手術スケジュール管理(手術室マネジメント)ツールも参入が増加
電子カルテ系医療ビッグデータ市場規模の今後を左右する要因(7つ)
調査要綱
2.調査対象: 医療情報システム周辺事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<医療情報システム周辺市場とは>
本調査では、医療情報システム(電子カルテ等の基幹システムや部門システム)の周辺のサービス(主にシステム)を、入力系と出力系(利活用系)に大別し、下記の6市場を対象に市場規模を算出した。
①入力系:医療情報システム(電子カルテ)への入力を支援するツール
∟対象:音声AI、バイタルデータ転送関連ツール
②出力系:医療情報(レセプトやカルテ等)のデータを利活用するツールやサービス
∟対象:医療文書作成支援AI、経営分析・支援関連ツール、PHR、電子カルテ系医療ビッグデータ
※音声AI、バイタルデータ転送関連ツール、医療文書作成支援AI、経営分析・支援関連ツールは病院向け市場、PHRは病院および健診施設向け市場を対象に市場規模を算出。
※経営分析・支援関連ツールは、DPC分析関連ツール、医療DWH、その他の経営分析ツール(原価計算ツール等)、病床管理(ベッドコントロール)ツール、手術スケジュール最適化(手術室マネジメント)ツール、施設基準管理ツールが対象。
※電子カルテ系医療ビッグデータは電子カルテデータの活用を含む事業を対象とし、レセプトやDPCデータ等のみの活用は除く。
<市場に含まれる商品・サービス>
音声AI、バイタルデータ転送関連ツール、医療文書作成支援AI、経営分析・支援関連ツール、PHR、電子カルテ系医療ビッグデータ
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