2024年度の国内建設8大市場規模は、前年度比106.0%の25兆7,473億円
~環境配慮等における建築物の高付加価値化により、1棟当たりの工事費は増加傾向に~
1.市場概況
2024年度における建設8大市場(住宅、オフィスビル、店舗、ホテル、工場、倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで25兆7,473億円(前年度比106.0%)。
旺盛なインバウンド需要や、物流施設、半導体工場等への投資拡大を背景に、市場規模は増加傾向で推移し、コロナショック前である2019年度の市場規模(22兆966億円)を大きく上回る水準となった。
併せて、建設資材価格等の高騰や建物の高付加価値化から、1棟当たりの工事費は増加傾向で推移していることも、市場規模を押し上げている要因となっている。
2.注目トピック
建設8大市場は「更新重視・高付加価値化・案件選別」がキーワードに
建設8大市場全体の床面積ベースの需要面の観点からは、大幅な増加は見込まれず、住宅、学校、病院を中心に新設需要は減少傾向で推移している。一方、老朽施設の建替や更新、用途転換といった既存ストックを起点とする需要が市場を下支えする構図に変化しつつある。
供給面の観点からは、建物の作り手となるゼネコンについては、建築コストの高止まりと人材不足が構造的な供給制約として定着している点が挙げられる。
また、資材価格や労務費の上昇に加えて、省エネ・脱炭素対応等といった高付加価値化に対応することにより、採算性を重視するとともに、施工確実性を重視した案件選別を進め、無理な供給拡大を避ける傾向が見て取れる。
3.将来展望
2025年度の建設8大市場(住宅、オフィスビル、店舗、ホテル、工場、倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで25兆4,784億円(前年度比99.0%)と予測した。2024年度は建設8大市場の中で大きな割合を占める住宅市場において、戸建住宅建設に適用されていた4号特例が廃止※されることに伴う駆け込み需要で、一時的に市場規模は増加したが、2025年度はその反動減の影響から市場規模は減少すると見込む。
2035年度の建設8大市場(住宅、オフィスビル、店舗、ホテル、工場、倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで26兆5,642億円(2024年度比103.2%)と予測した。着工数や床面積ベースなどの数量ベースでは減少傾向で推移する一方、物価上昇に伴う建設費高騰の影響や1棟当たりの建築物の高付加価値化が進行。そのようなトレンドは2035年度にかけて継続すると予測されることから、金額ベースでの市場規模は拡大する見通しである。建設分野別にみると、インバウンド需要が旺盛なホテルや、半導体工場需要が根強い工場等は拡大傾向で推移すると予測する。一方、人口減少による需要縮小の影響を大きく受け、住宅や学校は縮小傾向で推移すると予測する。
※4号特例の廃止:これまで構造審査が簡略化されていた小規模木造住宅についても、2025年度以降は構造計算等の審査が原則必要となり、設計・審査が厳格化されてコストや工期が増加する制度改正のこと。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
【ホテル市場】
【倉庫市場】
調査要綱
2.調査対象: 建設における主要8分野(住宅、オフィスビル、店舗、ホテル、工場、倉庫、学校、病院)
3.調査方法: 当社専門研究員による各種文献、公開情報等の収集、及び独立行政法人統計センターによる国土交通省「建築着工統計」のオーダーメード集計データをもとに分析
<建設8大市場とは>
本調査における建設8大市場とは、建設分野の基幹産業である、①住宅、②オフィスビル、③店舗、④ホテル、⑤工場、⑥倉庫、⑦学校、⑧病院の8分野(市場)をさす。
各分野の定義については、国土交通省「建築着工統計」における建築用途分類をもとにしている。なお、いずれも新築に加え、増改築も対象とする。
市場規模は工事費予定額ベースで算出し、2024年度までの実績値は独立行政法人統計センターによる国土交通省「建築着工統計」のオーダーメード集計データより引用、2025年度は同データをもとにした矢野経済研究所見込値で2026年度以降は矢野経済研究所予測値である。
<市場に含まれる商品・サービス>
住宅、オフィスビル、店舗、ホテル、工場、倉庫、学校、病院
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