2024年の国内小売市場規模は微増
~インバウンド需要は旺盛も、利益を確保しにくい状況が明確に~
1.市場概況
2024年の国内小売市場規模は微増となった。2024年はインバウンド需要が旺盛となり市場全体を大きく押し上げた。また円安の進行によって輸入品の価格が上昇し、特に、百貨店、ドラッグストア、鞄・袋物専門店などが高い成長率を達成した。一方で、国内消費者の節約志向は一段と強まった。物価高による値上げが続く中で、消費者の購買行動は「価格」で選ぶ層と「価値」で選ぶ層へと二極化し、中古品販売店、均一価格ショップ、総合ディスカウントストアなどの低価格業態の存在感が増した。なお、市場拡大には物価高による名目押し上げの側面もあるため、需要の実態を踏まえると楽観視はできない。経営面では、人手不足に伴う賃金上昇に加え、エネルギー・物流コストの上昇が重なり、単なる価格訴求だけでは利益を確保しにくい状況が明確になりつつある。加えて、コンビニやドラッグストアをはじめ出店余地の縮小が見え始める中、小売各社は「出店による成長」からの転換が急務となっている。こうした環境下で既存店の生産性向上が重要となり、AI・DX・GX(グリーントランスフォーメーション)等を収益に結び付ける取り組みが不可欠になっている。
2.注目トピック
2025年は多くの社会問題が発生し、流通小売業界にも影響を与える
2025年は世界的にも、また、日本国内をみても社会情勢が大きく変化する年であった。2025年1月20日、米国第一主義を掲げるトランプ氏が第47代アメリカ合衆国大統領に就任した。地政学的にはウクライナ・ロシア戦争が数々の和平案が示されながら継続、イスラエル・ハマス紛争においては停戦合意がなされたものの先行きは不透明な状況である。科学技術においては、世界的な生成AIブームにより、働き方が大きく変わろうとしている。
日本国内に目を移せば、高市政権による積極財政の発動、オーバーツーリズム、物価高、などがあり、国内外ともに、社会問題が多様化する時代となっている。
3.将来展望
2025年の国内小売市場規模も微増になる見込みである。同市場では「値下げ」だけでは対応できないという認識が業界全体に広がり、価格競争からの脱却が急務となっている。各社は「価値創造」や「顧客接点」の強化を推進する。具体的なテーマとしては、顧客データの活用、リテールメディア(小売業者が自社の顧客データや販売チャネルを活用した広告媒体)の展開、地域連携などが挙げられる。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
ドラッグストア市場の動向
中古品販売店市場の動向
異常気象・地震頻発によって季節商戦や防災訴求にも変化
調査要綱
2.調査対象: 日本国内の流通小売企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による文献調査
<流通小売市場とは>
本調査における流通小売市場は、製造業者や問屋などの中間流通業者から販売物を仕入れ、消費者に直接商品などを販売する事業を展開している、百貨店・GMS(総合小売店)・専門店・無店舗販売事業者(カタログ・インターネット通販など)などの流通小売事業者を対象としている。
<市場に含まれる商品・サービス>
GMS(総合小売店)、食品スーパー、百貨店、コンビニエンスストア(CVS)、TV通販、Web ・カタログ通販、ドラッグストア、家電量販店、ホームセンター、ショッピングセンター、アウトレットモール、トラフィックチャネル、総合ディスカウントストア、中古品販売店、アパレル専門店、呉服専門店、鞄・袋物専門店、靴専門店、時計・宝飾専門店、メガネ専門店、スポーツ・アウトドア用品専門店、自転車・バイク専門店、カー用品専門店、家具・インテリア・生活雑貨専門店、玩具・ホビー専門店、書籍・文具専門店、楽器・CD専門店、均一価格ショップ、酒類専門店、生鮮食品専門店、フラワーショップ、生活協同組合
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