2030 年のマイクロ波デバイス世界市場規模は3兆円超に成長
~5G/6G高速通信、EV・自動運転車向けミリ波レーダー、量子センシングやヘルスケア用途まで、適用範囲が大きく広がる~
1.市場概況
2025年のマイクロ波デバイスの世界市場規模は、メーカー出荷金額ベースで1兆4,631億円となった。分類別の内訳をみると、通信デバイスが全体の28.7%、次にセンシングデバイス21.4%、ミリ波デバイスが18.8%、エネルギー応用デバイスが17.9%、デバイス用材料は13.2%となる。
マイクロ波デバイスは、地域ごとの通信インフラ戦略に応じた最適化が進んでいる。たとえば、北米・欧州ではミリ波展開が加速し、アジア地域ではサブ6 GHz 中心の展開が継続している。また、国家プロジェクト(例:日本の「Beyond 5G 推進戦略」、欧州の「Hexa-X」プロジェクトなど)を通じて、国際競争力強化のための基盤技術開発が積極化している。今後、標準化競争も含めたグローバルな主導権争いが激しさを増すと見る。
マイクロ波デバイスは、社会インフラから先端医療、次世代モビリティまで、幅広い領域で基盤技術としての存在感を増している。共通のキーワードは、高効率化・低コスト化、環境適応性、システム統合、そして国際的標準化などである。デバイス単体の性能向上だけでなく、材料・プロセスからシステムレベルの最適化に至るまで、総合的な取り組みが必要である。
従来は、軍需や専門用途が中心だったマイクロ波技術が、一般消費者向けデバイス(スマートフォンや車載レーダー等)に急速に普及しつつある点も大きな変化といえる。特に、ミリ波応用では、通信や車載レーダー分野を中心に注目度が高まっている。
マイクロ波デバイスは、「要素技術の集積」と「社会的要請の接点」に立つ存在であり、その進化は、次世代スマート社会の実現に不可欠である。
2.注目トピック
マイクロ波デバイスは、現代の無線通信システムにおいて基幹的な役割を担っている
マイクロ波とは、一般に周波数帯域3 GHz〜30 GHz(波長 10cm〜1cm)の電磁波を指し、この帯域は、携帯電話、Wi-Fi、衛星通信、レーダー通信システムなど、様々な通信インフラに幅広く利用されている。
通信分野では、送信および受信に必要な電力増幅、信号の選択的通過、周波数制御、ビーム形成といった機能を実現するために、多様なマイクロ波デバイスが開発・応用が進んできた。
具体的には、送信機におけるパワーアンプ、受信機における低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)、周波数選択性を実現するフィルタやダイプレクサ、さらに、ビーム指向性制御を可能にするフェーズシフタやスイッチ類などが代表的である。また、これらデバイスを高密度に集積するため、マイクロ波アンテナと電子回路を一体化したアンテナインパッケージ(AiP:Antenna in Package)技術の重要性も高まっている。
近年の移動体通信においては、5G のSub6(サブ6GHz帯:6GHz以下の周波数帯)や、各種衛星通信において、特に、マイクロ波帯デバイスの高性能化が必要となっている。マイクロ波デバイスは、通信システム全体の性能、消費電力、コストに直結するため、通信技術の発展に伴って常に進化を続けてきた。
3.将来展望
マイクロ波デバイスの世界市場規模は、2030年には約3兆1,850億円になると予測する。通信デバイスの金額は2030年が6,930億円、センシングデバイスは4,744億円、エネルギー応用デバイスは3,654億円、デバイス用材料は2,692億円、ミリ波デバイスは1兆3,830億円まで成長すると予測する。
マイクロ波デバイス は、単なる技術革新にとどまらず、材料開発の考え方そのものを変革する力を持つ。個別技術の進展に加え、データインフラの整備、標準化、研究者・技術者・AI エージェント間の協働、そして、異分野融合とオープンイノベーションを組み合わせることによって、従来の枠組みでは実現できなかった高速かつ効率的な材料探索が可能となる。
今後、マテリアルDX の成果を産業応用や社会課題解決に直結させることが次のステップとなる。持続可能性、環境対応、新規市場創出といった観点を組み込むことで、開発された材料は単なる性能向上にとどまらず、社会的価値を伴うものとなる。
すなわち、マテリアルDX は、データ・AI・シミュレーション・自動化の統合によって、研究開発サイクルを飛躍的に加速すると同時に、次世代スマート社会を支える基盤技術としての位置付けを確立するものである。こうした観点から、マテリアルDX の全体像は、研究者・技術者・企業・政策立案者が、材料開発の方向性を戦略的に考え、実装していく上での羅針盤となることを期待している。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
「センシングデバイス」
「エネルギー応用」
「デバイス用材料」
「ミリ波応用」
調査要綱
2.調査対象: マイクロ波デバイス市場におけるデバイス関連の技術研究機関、生産販売または取扱企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<マイクロ波デバイス市場とは>
マイクロ波デバイスは、通信、センシング、エネルギー応用など様々な分野で利用され、最近では、特に、5G/6Gの高速通信やEV・自動運転車におけるミリ波レーダー、さらには、量子センシングやヘルスケア用途まで、適用範囲が大きく広がっている。とりわけ、数十GHz帯からサブテラヘルツ帯にかけての技術開発は、国際的な競争が激化しており、材料・デバイス・パッケージ・回路技術の総合的な革新が求められる。また、従来は、軍需や専門用途が中心だったマイクロ波技術が、一般消費者向けデバイス(スマートフォンや車載レーダー等)に急速に普及しつつある点も大きな変化である。その結果、低コスト化や量産技術、CMOS集積との融合、さらには、サステナビリティを意識した材料選択など、課題は多岐にわたる。
本調査におけるマイクロ波デバイスとは、主に次の5分野を対象としている。通信デバイス、センシングデバイス、エネルギー応用、デバイス用材料、ミリ波応用という5 つの視点から、材料開発のデジタル変革の現状と将来像を体系的に整理した市場規模を指し、メーカー出荷金額ベースで算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
マイクロ波デバイスによる通信デバイス、センシングデバイス、エネルギー応用、デバイス用材料、ミリ波応用、に関連した各技術における関連材料・開発およびサービスなど
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