ADASの高度化とセンサの集中制御が進展する中で、世界における2035年の車載カメラの搭載個数は9億907万個になると予測
ここでは、2035年までの車載カメラの搭載個数について予測する。
1.市場概況
2025年における車載カメラの世界市場規模は2億3,550万個となる見通しである。市場を牽引するのは先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance Systems:ADAS)であり、NOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)など高度なレベル2運転支援機能においてカメラの高画素化と車両の360度周辺検知が進んでいる。また、2020年代後半からは自動駐車支援(Auto Parking Assist:APA)やドライバー監視システム(Driver Monitoring System:DMS)、乗員監視システム(Occupant Monitoring System:OMS)などの需要も増加する傾向にある。
地域別では中国が最大市場となっており、2024年から複数のカメラを搭載するNOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)の採用がミドルクラスにまで進んでおり、車両1台あたりのカメラ搭載数の増加が顕著である。
2.注目トピック
高画素・マルチカメラ化と安全規制対応が進展する車載カメラ
中国ではハイエンドBEVを中心にADASの差別化競争が加速している。特に都市部道路(中央分離帯や歩道が整備された道路環境)に対応したNOAや、自動駐車支援(APA)機能の適用がミドルクラスにも拡大しており、フロントに8MPの高画素カメラを搭載する車種が増加している。さらに、機能ごとにECU(電子制御ユニット)を統合するドメイン型E/Eアーキテクチャ(電気・電子アーキテクチャ)の普及により、センサの集中制御が進展している。これに伴い、フロントだけでなくサイドやリアにもカメラを配置し、複数カメラを組み合わせた「マルチカメラ構成」を採用する車種が増加している。
欧州では、欧州連合の道路安全規則(GSR2)に基づく注意散漫・眠気検知機能の義務化や、Euro NCAP(欧州新車安全アセスメント)におけるDMS評価の導入を背景に、カメラベースの車内監視システムの採用が急速に拡大している。さらにハイエンドセグメントではOMSの搭載も進んでおり、車室内向けカメラの重要性が一段と高まっている。
米国では、2029年に予定されるFMVSS 127(連邦自動車安全基準)の施行を見据え、自動車メーカでは夜間歩行者向け自動緊急ブレーキ(Pedestrian Automated Emergency Braking:PAEB)への準備が進んでおり、ADASカメラの高性能化(高画素化や視野角拡大)が進展する見込みである。
3.将来展望
2035年における車載カメラの世界市場規模は9億973万個と予測する。成長要因としては、中国に加え、米国、欧州、日本においても、ドメイン型E/Eアーキテクチャの適用車種が増加し、高度運転支援機能(NOAやAPA)を設定する車種が増加することが挙げられる。これにより、車両のフロントに加え、サイドやリアを含めた360度周辺検知のセンサ構成が進み、ADAS向けカメラの搭載個数は最大11個に達する。また、2030年以降についても、各国の安全規制強化は継続されるため、脇見や居眠りなどドライバーの注意状態を監視することは、安全機能を補完する要素として位置付けが進んでおり、ドライバー監視システム向け車室内カメラの需要が増加する。
地域別では、中国が引き続き最大市場として成長し、2035年には車両1台あたりのカメラ平均搭載数は10個を超える。これに欧州、米国が続くほか、ASEANやインドなどの新興国市場でもADAS向けフロントカメラの需要が本格的に立ち上がることで、世界全体の車両1台あたりの平均搭載数は8.3個へと拡大する。
各国の安全規制対応に加え、ソフトウェア定義車両(SDV)や自動運転の本格的な実用化を見据えて、車載カメラ市場は「搭載数の増加」と「高性能化」の両面で持続的な成長が続くと予測する。
出典資料について
2026年版 車載カメラの最新動向と市場展望
価格(税込): 220,000円 (本体価格 200,000円)
調査要綱
2.調査対象: 自動車メーカー、一次部品メーカー、半導体メーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、電話によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
車載カメラとは
本レポートにおける車載カメラとは、自動車に搭載され、車外および車室内の環境・状況を撮像し、認識・判断のためのデータを取得するイメージセンサおよびカメラモジュールを指す。主に先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems:ADAS)や自動運転(Automated Driving:AD)の実現に向けて活用され、車両の前方監視、周辺監視(サラウンドビュー)、後方確認(リアビュー)、車室内のドライバー状態監視(Driver Monitoring System:DMS)、車内監視(Occupant Monitoring System:OMS)など多様な用途を担う。
近年では、SDV(Software Defined Vehicle)の進展に伴い、車両機能がソフトウェアによって継続的に進化する中で、車載カメラは「車両の目」として外界・車内データを継続的に取得する中核センサとしての重要性が一層高まっている。特に、AIを活用した認識処理やエンドツーエンド(E2E)型のADAS/ADやAPA(Auto parking Assist )においては、カメラからの映像データがソフトウェア価値を高める基盤となっており、自動車メーカは重要なセンサデバイスとして高性能化(カメラの高画素化や視野角の拡大、検知距離拡張など)や次世代品の適用を進めている。
<市場に含まれる商品・サービス>
車載カメラ、車載カメラ向けCIS(CMOSイメージセンサ)
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