プレスリリース
No.4142
2026/08/05

物流15業種市場に関する調査を実施(2026年)

貨物輸送量の本格回復には至らないものの、価格改定等を背景に市場は拡大基調が続く見通し
~2025年度の物流15業種総市場規模は、前年度比2.3%増の25兆3,600億円を見込む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、物流15業種総市場を調査し、15業種別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

物流15業種総市場規模推移・予測
物流15業種総市場規模推移・予測

1.市場概況

2024年度の物流15業種総市場規模(15業種各市場の積み上げ、一部重複を含む、事業者売上高ベース)は、24兆7,940億円(前年度比105.7%)と推計した。
業種別にみると、海運、フォワーディング、一般港湾運送、航空貨物輸送といった国際物流関連分野および3PL(サードパーティー・ロジスティクス)が市場規模を押し上げる主な要因となった。国際物流では、紅海情勢悪化に伴うスエズ運河迂回輸送により海上運賃が上昇したほか、円安の継続も市場規模の拡大につながった。国内物流では、2024年に適用されたトラックドライバーへの時間外労働の上限規制への対応を背景に、運賃・料金の見直しや附帯作業料金の明確化が進んだことが市場規模を押し上げた。

2025年度の物流15業種総市場規模は、25兆3,600億円(前年度比102.3%)となる見込みである。国際物流関連分野では、海上・航空運賃の上昇による反動減や単発需要の落ち着き、米国関税政策をめぐる不透明感などから、フォワーディングおよび外航海運の一部業種で前年度を下回る見込みである。国内物流では3PLが最も市場規模拡大に寄与するほか、普通倉庫、冷蔵倉庫、宅配便、鉄道貨物輸送・鉄道利用貨物運送、軽貨物輸送も拡大を見込む。ただし、市場規模拡大の背景は貨物輸送量の本格回復によるものではなく、輸送単価の上昇や為替影響など、金額ベースでの拡大という側面が大きい。物流15業種総市場規模は、引き続き増加基調で推移するとみている。

2.注目トピック

改正物流効率化法・トラック適正化二法(トラック新法)が促す運賃適正化と荷主企業の対応

2025年4月より一部が施行された改正物流効率化法では、荷主・連鎖化事業者・物流事業者等に対し、積載効率の向上、荷待ち・荷役等時間の短縮に取り組む努力義務が課された。また、2025年6月に成立したトラック適正化二法(トラック新法)では、許可や届け出がなく有償で運送行為を行ういわゆる白トラ利用の禁止、委託次数を原則2次請け以内に抑える努力義務の設定、適正原価を下回る運賃・料金の制限などが定められた。これらの法改正を契機に、物流は現場の改善課題にとどまらず、荷主企業にとって経営課題として位置付けられるようになってきている。

物流市場への影響として、まず考えられるのは、運賃水準の適正化である。国が定める適正原価を下回らない運賃および料金を確保する必要があることから、燃料費・人件費・車両費・安全対策費等を反映した運賃・料金設定が進むとみられ、荷主企業においても物流費が上昇する可能性がある。荷主企業には、物流事業者に対して一方的なコスト抑制を求めるのではなく、荷待ち・荷役等時間の短縮、積載効率の向上、共同配送の活用などにより輸送全体の効率を高めることが求められる。これは荷主企業にとって物流コストの抑制につながるだけではなく、車両回転率の向上や複数荷主の貨物の効率的な輸送につながり、物流事業者にとっても収益改善に寄与する。物流費を単なるコストとして捉えるのではなく、安定的な調達・供給を支える投資として位置付ける視点への転換が必要とされている。

3.将来展望

2026年度の物流15業種総市場規模(15業種各市場の積み上げ、一部重複を含む、事業者売上高ベース)は、26兆3,610億円(前年度比103.9%)と予測する。2025年度に弱含んだ国際物流関連分野が再び拡大に転じることが、市場全体の成長率を押し上げるとみる。外航海運では、円安基調の継続や自動車船・エネルギー輸送の底堅さを背景に拡大を見込む。航空貨物輸送では、半導体・電子部品・医薬品・精密機器など高付加価値貨物の需要が底堅く推移するとみられる。フォワーディングも外航海運・航空貨物ともに再び増加に転じると予測する。国内物流では、引き続き3PLが市場拡大をけん引し、物流効率化や在庫状況・荷物の位置等を把握するといったサプライチェーン可視化に対する荷主企業のニーズが継続するとみる。宅配便では取扱個数の伸びは鈍化しているものの、運賃改定が実勢単価へ徐々に反映されるほか、普通倉庫・冷蔵倉庫においても保管・荷役単価の上昇が続くと考える。貨物輸送量の大幅な増加は見込みにくいものの、国際物流の回復と国内物流における価格改定の進展を背景に、物流15業種総市場は拡大基調を維持するとみている。

出典資料について

2026年版 物流市場の現状と将来展望

発刊日:2026年06月29日 体裁:A4 319ページ
価格(税込): 198,000円 (本体価格 180,000円)
※本プレスリリースに一部のオリジナル情報を加えたショートレポートもご購入いただけます。

調査要綱

1.調査期間: 2026年4月~6月
2.調査対象: 国内有力物流事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)ならびに文献調査併用

<物流15業種とは>

本調査で対象とする物流業種は、特別積合せ貨物運送、宅配便事業(国内)、国際宅配便事業、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業、海運(外航・内航)事業、一般港湾運送事業、航空貨物輸送事業、フォワーディング(外航海運・航空貨物)事業、鉄道貨物輸送事業、鉄道利用貨物運送事業、軽貨物輸送事業、普通倉庫事業、冷蔵倉庫事業、引越事業、その他事業の15業種とする。

<物流15業種総市場とは>

本調査における物流15業種総市場とは、15業種各市場の積み上げで算出しており、市場規模に一部重複を含む。なお、運賃及び保管料、荷役料、関連サービス料等を含む事業者売上高ベースで算出した。

<市場に含まれる商品・サービス>

特別積合せ貨物運送事業、宅配便事業(国内)、国際宅配便事業、3PL事業、海運事業、一般港湾運送事業、航空貨物輸送事業、フォワーディング事業、鉄道貨物輸送事業、鉄道利用貨物運送事業、軽貨物輸送事業、普通倉庫事業、冷蔵倉庫事業、引越事業、その他事業

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