国内カーボンマネジメントツール・サービス市場に関する調査を実施(2026年)
2030年度の国内カーボンマネジメントツール・サービス市場規模は約220億円を予測
~温室効果ガス(GHG)排出量の算定・可視化から、開示対応やサプライチェーン管理などに機能領域が拡大~
1.市場概況
2025年度のカーボンマネジメントツール・サービスの国内市場規模は、ユーザー企業支払額ベースで約94億円と推計する。
2020年代前半(2021年度から2025年度)の市場拡大は、脱炭素の潮流を背景に、排出事業者における温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量の算定・可視化ニーズが高まったことが主な要因の一つとみる。GHG排出量の削減に向けては、自社の直接・間接排出に加え、必要に応じてサプライチェーン上の排出量を把握する必要があり、その対応手段としてカーボンマネジメントツール・サービスの導入が進んだと考える。2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を契機に、東京証券取引所プライム市場の上場企業を中心に気候関連情報開示への対応が広がり、2023年3月期からの有価証券報告書におけるサステナビリティ情報記載欄の新設※1が、GHG排出量を含むサステナビリティ関連データの管理体制整備を後押しした。
2025年度時点では、大企業を中心に算定・可視化機能の導入が進む中、こうした機能高度化の局面へと移行しつつある。同ツール・サービスの機能領域は、カーボンフットプリント(CFP)算定、サステナビリティ開示・第三者保証対応、CDP等の評価機関対応に拡大している。そのほかにも、サプライヤーのGHG排出量やESG(ESG:Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治))関連データを自己評価質問票(SAQ:Self-Assessment Questionnaire)形式で収集・管理する機能拡大が市場規模拡大の一因となってきている。
※1. 出典:金融庁「サステナビリティ情報の記載欄の新設等の改正について(解説資料)」(https://www.fsa.go.jp/policy/kaiji/sustainability-kaiji.html)
2.注目トピック
SSBJ基準に基づくサステナビリティ開示対応
SSBJ基準は、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が2025年3月に公表した国内サステナビリティ開示基準である。東京証券取引所プライム市場の上場企業のうち、時価総額(前期末から遡って過去5事業年度の末日における時価総額の平均)3兆円以上の企業は2027年3月期から、3兆円未満1兆円以上の企業は2028年3月期から、SSBJ基準に準拠した有価証券報告書の作成が義務付けられる※2。また、SSBJ基準の適用開始時期の翌年からは、有価証券報告書内の対象となるサステナビリティ情報について、第三者保証が義務付けられる予定である※2。
SSBJ基準への対応では、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する情報を開示することが求められる。こうした制度動向に伴い、カーボンマネジメントツール・サービスにおける支援機能のニーズが高まっている。
※2. 出典:金融庁「事務局説明資料」(2026年5月25日)(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/hoshou/20260525/02.pdf)
3.将来展望
2030年度のカーボンマネジメントツール・サービスの国内市場規模は、ユーザー企業支払額ベースで約220億円に達すると予測する。2020年代後半以降(2026年度から2030年度)の市場拡大の主な要因の一つは、SSBJ基準に基づくサステナビリティ開示対応である。同対応では、温室効果ガス(GHG)排出量を算定するだけでなく、開示や第三者保証に対応するためのデータ管理や算定根拠の保存などが求められることから、ツールを用いたシステム化を進める必要性が高まると考えられる。
また、大企業を中心に、サプライチェーン上の取引先からGHG排出量やESG関連情報をSAQ形式で収集・管理するニーズも市場拡大に寄与するとみられる。Scope 3排出量の把握では、対象となるカテゴリに応じて、調達先や販売先等のデータを収集する必要が生じる。さらに、製造業では、カーボンフットプリント(CFP)算定への対応を目的に、部品構成情報等の自社の関連企業各社が保有するデータとの連携ニーズが生じる可能性がある。2030年度の市場拡大は、導入企業数の増加に加えて、こうした機能領域の拡大による利用単価の上昇が要因になる。
出典資料について
2026 カーボンマネジメントツール・サービス市場の現状と将来展望
価格(税込): 198,000円 (本体価格 180,000円)
調査要綱
2.調査対象: カーボンマネジメントツール・サービスを提供する事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<国内カーボンマネジメントツール・サービスとは>
国内カーボンマネジメントツール・サービスとは、Scope 1・2・3におけるCO2等を含む温室効果ガス(GHG)排出量※の算定・可視化のほか、カーボンフットプリント(CFP)算定、サステナビリティ開示・第三者保証対応、CDP等の評価機関対応、取引先やサプライヤーを対象とした自己評価質問票(SAQ:Self-Assessment Questionnaire)管理等の機能を提供するツール・サービスを指す。
また、SaaS・クラウド型サービスに加えてERP等の既存システムに組み込まれた機能を対象とし、顧客ごとに個別開発されるフルスクラッチ型のシステムは対象外とする。
市場規模には、当該年度にユーザー企業がツール・サービス提供事業者に支払った継続利用料(年額、月額)、基本料金、従量課金、追加機能・オプション機能の利用料、初期導入費を含む。なお、ツール利用に直接紐づかないコンサルティング、その他費用は対象外とする。
※温室効果ガス(GHG)のサプライチェーン排出量の定義は下記に準じている。
Scope 1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope 2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope 3 : Scope 1、Scope 2以外の間接排出
参照:環境省ホームページ https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html
<市場に含まれる商品・サービス>
国内カーボンマネジメントツール・サービス市場
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