プレスリリース
No.4177
2026/09/18

受託臨床検査市場に関する調査を実施(2026年)

2025年度の国内受託臨床検査市場規模は前年度比2.0%増の6,170億円
~持続可能な事業運営に向け、集配・検査体制の最適化と再編・連携が焦点に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、2025年度の国内受託臨床検査市場を調査し、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

主要臨床検査センター各社の決算状況や中小センターの経営状況などから、2025年度の国内受託臨床検査市場規模(受託事業者売上高ベース)を前年度比2.0%増の6,170億円と推計した。

2020年度から2021年度にかけては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により受託件数が急増し、市場規模が大きく拡大した。2022年度は検査保険点数の引き下げや医療機関における自院検査の増加、2023年度は感染症法上の位置付けが5類に移行したことで、受託検査数は大幅に減少した。2024年度は新型コロナウイルス関連検査の特需がほぼ収束し、その縮小分を通常の診療や健診に伴う検査需要等では補いきれず、市場は引き続き縮小した。

2025年度は、新型コロナウイルス関連検査が通常の感染症検査の一項目として定着し、特需の影響がおおむね解消した。通常の診療や健診に伴う受託検査数が増加したほか、遺伝子関連及びがん・認知症の早期発見や予防を目的とした検査等の高付加価値検査も増加した。また、試薬費、物流費、人件費等の上昇を受け、サービス維持や人材確保・処遇改善に向け、大手事業者を中心に既存取引を含む受託サービス価格の見直しが進み、市場を下支えした。

2.注目トピック

受託サービス価格の適正化と検査工程の自動化を軸に、事業モデルの再設計が進む

受託臨床検査事業では、試薬・消耗品費、人件費、物流・燃料費、エネルギー費、システム関連費等が上昇している。これらに加え、人口減少地域における検体発生密度の低下は、事業に不可欠な集配網の維持負担を高める要因となる。こうした状況を受け、大手事業者を中心に受託サービス価格の適正化が進んでいる。単純な価格改定だけで収益性を確保することは難く、不採算契約や集配条件の見直し、検査体制の改善、検査施設の稼働率引き上げなどをどのように組み合わせるかが焦点となる。

大規模な総合検査拠点ではAIやロボティクスを取り入れた自動化・省人化が進展しているものの、投資負担や検体集約の状況によって、その効果が収益に表れる時期は異なる。各社は、受託サービス価格、物流、設備投資、他社との機能共有のうち、どこに経営資源を配分するのかで模索しており、業界の構造は変化しつつある。

3.将来展望

受託臨床検査市場は成熟市場であり、参入事業者が多い一方、設備、人材、IT基盤を備えた大手事業者への集中が続いている。新型コロナウイルス関連検査の特需による影響がおおむね解消するなか、市場は平時需要を基盤とする構造へ移行している。これまで大手事業者が進めてきた大規模な総合検査拠点への投資では、自動化や工程集約による省人化、検査品質の向上、生産性改善などの効果が表れ始めている。

今後、人口動態や医療提供体制の変化が及ぼす影響は、地域や検査領域によって異なるものの、一般検査を中心とする基礎需要のほか、受託サービス価格の適正化や遺伝子・予防医学関連検査の伸長が加わり、市場は横ばいから緩やかな名目成長で推移するものとみる。

出典資料について

2026年版 臨床検査センター経営総鑑

発刊日:2026年07月31日 体裁:A4 230ページ
価格(税込): 165,000円 (本体価格 150,000円)
※本プレスリリースに一部のオリジナル情報を加えたショートレポートもご購入いただけます。

調査要綱

1.調査期間: 2026年5月~7月
2.調査対象: 受託臨床検査事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による取材、ならびに郵送アンケート調査併用

<受託臨床検査市場とは>

本調査における受託臨床検査市場は、国内の医療機関、健診機関等が外部事業者へ委託する、血液、尿、組織などの人体由来検体を対象とした検体検査サービスの受託事業者売上高ベースで算出した。

また、病院内の検査室について外部事業者が人員配置や運営を担うブランチ、装置・試薬の供給や工程管理を包括的に受託するFMSについても、臨床検査サービスまたは検査室運営に相当する売上を市場に含めた。健診は健診料金全体ではなく、検査センターが受託する検体検査部分を対象とする。

​医療機関等で行う検体検査(血液、尿、組織などの検体)を受託代行するサービスを指す。受託事業者が開設した検査センター等に検体を運び、検査を実施するタイプと、病院内にある検査設備を活用して行う院内対応タイプに大別され、いずれも調査対象とした。

<市場に含まれる商品・サービス>

臨床検査の受託代行サービス

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