車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査を実施(2026年)
2026年の車載用リチウムイオン電池市場は前年比110%台での推移を見込む
~内需急減の中国、2035年目標の現実解を見据える欧州~
1.市場概況
2026年の車載用LiB世界市場規模は容量ベースで前年比116.6%の1,682GWh、xEV(BEV:電気自動車、PHEV:プラグインハイブリッド車、HEV:ハイブリッド車)の世界生産台数増加と連動し、車載用LiB市場も拡大する見込みである。xEVタイプ別では、HEVが16GWh、PHEVが320GWh、BEVは1,345GWhと推計する。
xEV市場は成長率の鈍化が予測されるものの、世界の自動車生産台数全体に占める割合は4割超えを見込む。主要エリア別では、欧州が2025年~2026年上期にかけて成長を維持しているのに対し、中国は2026年に入り、内需が急減しており、輸出増加がこれを補う状況となっている。米国は政権交代による政策の大幅転換を背景に2025年に続き、2026年も需要低迷が続く見込みである。
2.注目トピック
引き続き政策主導型成長の欧州、内需急減の中国、需要低迷続く米国
欧州では主要各国での補助金政策をはじめとする政策動向や自動車OEMによる低価格BEVモデル拡充の動きが、今後の市場成長に向けた追い風となる一方、補助金への依存度の高さが懸念点として挙げられる。
中国については、NEV(PHEV、EV)購入免税措置等の縮小により、低容量~中容量BEVの需要減退が見られる。LiB価格は2025年後半~2026年前半にかけて上昇傾向が見られ、2026年に安全基準に関する国家標準が新たに施行されたほか、電池への消費税課税が再開されたことも加わり、新たなコスト押し上げ要因として挙げられる。低容量~中容量BEV市場は価格を重視する購買層が中心であるため、引き続き厳しい競争環境が続く可能性がある。
北米のBEV市場は2030年まで低成長が続くと予測する。米自動車OEMのBEVプロジェクトは電動車戦略の見直し等に伴い、2030年以降を見据えた最適なBEVの在り方を模索している。
日本は以前からHEVを中心にエコカー市場が形成されているが、2026年上期はBEV購入時の補助金が拡充されたことを受けてBEV販売が急伸している。
なお、HEVに関して、欧米では2023年から2025年にかけてガソリン価格高騰等を背景にSHEV(ストロングハイブリット)市場の拡大が続いており、従来の日系に加え欧米を含む主要OEMでもSHEVに注力する動きが見られる。中国でも2026年に入りSHEVで新たな動きが見られる。NEV(PHEV、EV)購入免税措置が徐々に縮小される中、PHEVとSHEVは価格や性能そのものが重視されるようになり、その価格差が縮まることで、今後SHEVの開発が活発化するものとみる。
3.将来展望
xEV市場を取り巻く市場環境を考慮し、比較的高い成長率の「Aggressive予測」とこれに対して低い成長率の「Conservative予測」の2つのシナリオで成長性を予測した。
Aggressive予測における車載用LiB世界市場は容量ベースで、2030年には2,898GWh、2035年では4,010GWhになると予測する。
欧州では前述の通り、政策動向や自動車OEMによる低価格BEVモデル拡充の動き等がBEV成長に向けた追い風となる。一方で、中国は内需鈍化の中でも富裕層による高級BEVを中心とする需要が堅調に推移しており、新興国への輸出拡大の動きもプラス要因として挙げられる。こうしたBEVの動きに対し、PHEVに含まれるREEV(レンジエクステンダーEV:発電用の小型エンジンとモーターを組み合わせた方式)では、この仕組みをサプライヤーから調達すれば容易に製品化できることもあり、中国以外の自動車OEMで採用を進める動きが見られる。欧州における法人需要や米国、東南アジア等のように充電インフラ未整備地域での需要、並びにピックアップトラック、大型SUVといった大型車での電動化におけるソリューションの1つとしてのニーズが見込まれる。
一方、Conservative予測では、2030年には2,507GWh、2035年では3,094GWhになると予測する。
中国ではLiB価格の上昇傾向等によるコスト増を背景に、価格を重視する購入層が中心と見られる低容量~中容量BEV市場は、引き続き厳しい競争環境が続く可能性がある。
欧州は補助金への依存の高さが懸念点として挙げられ、低価格BEVも補助金終了後に中国と同じ流れを辿る可能性がある。欧州では、2026年3月に発表された産業加速法(IAA:Industrial Accelerator Act)により、公共調達や財政支援を受けるBEVについて域内産(Made in EU)および低炭素要件への適合が求められることになった。域内産部材の使用や低炭素化への対応が必要となることで、今後のコスト増にもつながるものとみる。
PHEV、REEVに関しては、今後、地域によってSHEVとの競争激化で優位性が打ち出し難いケースも想定される。エンジンと一定容量以上のバッテリーという2つのパワートレインを搭載する車両の小型化が難しく、コスト競争力の点でも1つのパワートレインのみを持つ車両に迫ることは難しい。SHEVは欧州、北米、中国でも自動車OEMによる新たな動きや注力度の高まりが見られ、Conservative予測ではSHEVが伸びる構図になると予測する。
出典資料について
2026年版 車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望
価格(税込): 198,000円 (本体価格 180,000円)
調査要綱
2.調査対象: 自動車メーカー、車載用リチウムイオン電池メーカー(日本、欧州、中国、韓国)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、並びに文献調査併用
<車載用LiBとは>
車載用リチウムイオン電池(LiB:Lithium-ion Battery)は、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)/レンジエクステンダー車(REEV)、ハイブリッド車(HEV)などに搭載され、自動車のモーターを駆動する。
本調査における車載用LiB市場は、乗用車及び商用車の電気自動車、プラグインハイブリッド車(レンジエクステンダー車含む)、ハイブリッド車、マイルドハイブリッド車(48VのMHEV、SSV、一部12V)に搭載されるLiBを対象として、2025年まではLiBメーカーによるLiB出荷ベースで、2026年以降はxEVメーカーのxEV生産ベースでLiB容量を算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
BEV用LiB、PHEV用LiB、Strong HEV用LiB、Mild HEV用LiB
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。
