プレスリリース
No.2258
2019/09/25
JOL(日本型オペレーティング・リース)市場の動向調査を実施(2019年)

JOLの市場規模は2018年度4,532億円と推計、2019年度は5,725億円の見込
~JOL市場は新たな投資家の開拓や、既存投資家の旺盛な需要に支えられ拡大の見込~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)では、JOL(日本型オペレーティング・リース)市場を調査し、現況、商品分野別の動向、および将来展望を明らかにした。

図表1.JOLの市場規模(出資金総額)・組成件数推移
図表1.JOLの市場規模(出資金総額)・組成件数推移
図表2.JOL商品分野別の市場規模推移      図表3.2018年度JOL商品分野別構成比
図表2.JOL商品分野別の市場規模推移      図表3.2018年度JOL商品分野別構成比

市場概況、諸課題、予測

1.JOL(日本型オペレーティング・リース)の市場概況と予測

 2018年度(2018​年4月~2019年3月)におけるJOL(日本型オペレーティング・リース)の市場規模(投資家の出資金総額ベース)は、前年度比7.9%増の4,532億円、組成件数は前年度比20.0%減の220件と推計した。2018年度は組成件数が大きく減少したように見えるが、2017年度に一部企業による航空機分野での組成件数が一時的に大幅に増加したことによるもの。2019年度(2019年4月~2020年3月)は航空機分野での組成競争の激化度合いが緩みつつあることなど潮目が好転しており、JOL市場規模は5,725億円、組成件数は242件の見込みである。市場における諸課題、懸念事項として、わが国においてもIFRSが適用されたことでJOL市場が減退するのではないかという声があるが、賃借事業者の会計上のことであって投資家の会計とは異なる事柄であることから影響は乏しいと考えられる。また、2020年4月以降に開始する事業年度から「過大支払利子税制」が適用されるが、影響は限定的と推測される。航空機分野では、ボーイング737MAX8の墜落事故を受け2019年7月現在、各国で運航を一時的に停止している。新造機の納期遅れなど今後の組成の遅れにもつながりかねないことなどから、現状での影響は軽微と考えられているが今後の影響は不透明であると推測される。

2. 商品分野別の市場概況と予測

 JOLの商品分野別にみると、2018年度も組成環境は厳しいものの引き続き航空機分野が成長し3,791億円となった。一方で、船舶分野は市況が低迷して405億円、コンテナ分野は336億円と底堅く推移し、全体で4,532億円となった。構成比率をみると、2018年度はコンテナの構成比が7%に拡大し、船舶の構成比が9%に減少、航空機は84%の構成比であった。2019年度以降の構成比も航空機は拡大、船舶とコンテナは小さいながらも一定の構成比で推移するものと予測する。

※調査要綱
1.調査期間:2019年6月
2.調査対象:リース企業等のほかJOLを扱う主要10数社を対象とする
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談調査

<JOL(日本型オペレーティング・リース)とは>
 日本型オペレーティング・リースとは、一般的に航空機、船舶、コンテナ等を対象としたリース契約で、賃借事業者である航空会社、海運会社に対して行われるものである。 オペレーティング・リースで貸し付ける際に、投資組合契約を通じた投資家(事業会社)からの出資金と金融機関からの借り入れによりリースを利用する賃借事業者にとっては、資金調達メリットを生かせるリースという実需面と、投資家にとっては、リース期間満了時にリース物件を再販市場で売却しキャピタルゲインなどによる投資効果を得られる二面性を持った金融商品である。 なお、本動向調査で言うJOLは、主にJOLCO(購入選択権付日本型オペレーティング・リース)をさし、一部数値にJOLを含んでいる。



★ご注意:本動向調査結果は、情報提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘し、特定商品や企業を推奨するものではありません。

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