プレスリリース
No.3398
2023/11/15
臨床検査薬・機器事業に関する調査を実施(2023年)

2022年度の国内主要企業の臨床検査薬・機器事業規模は前年度比15.8%増の1兆4,339億円
~2023年度は新型コロナウイルス関連検査の反動減で国内向け事業は縮小を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の主要な臨床検査薬・機器事業展開企業35社の事業規模調査を実施し、関連市場、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

臨床検査薬・機器事業規模推移と予測
臨床検査薬・機器事業規模推移と予測

1.市場概況

2022年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要35社の事業者売上高ベース)を前年度比15.8%増の1兆4,339億円と推計した。当該事業を国内向けと海外向け別にみると、国内向け事業は前年度比20.6%増の7,751億円、海外向け事業は同10.7%増の6,588億円であった。
新型コロナウイルス検出検査以外の一般的な臨床検査薬・機器販売が前年度から復調してきたのに加え、新型コロナウイルス迅速抗原検査キットの需要が大幅に拡大し、関連する臨床検査薬・機器を扱う企業の売上増加が顕著となった。

2.注目トピック

新型コロナウイルスの検出方法は迅速抗原検査キット利用に移行

新型コロナウイルスの検出方法に関しては、遺伝子検査(主にPCR法)と抗原検査に大別される。さらに、抗原検査は迅速抗原検査キット(抗原定性検査)と抗原定量検査に分類される。

日本国内においては、2020年の中頃から新型コロナウイルスPCR(核酸検出)検査、抗原定性検査、抗原定量検査、それぞれの検査薬・機器などの供給が本格化し、医療機関、民間検査センターなどで広く検査が行われるようになった。新型コロナウイルス感染拡大初期にあたる2020年から2021年においては、全般的に遺伝子検査手法に重きが置かれていた。2022年以降、新型コロナウイルスのオミクロン株流行による検査需要急拡大期では、同迅速抗原検査キットが初期診断、家庭等でのセルフチエック検査等で多用され、遺伝子検査手法からの移行が進んでいる。2022年度は新型コロナウイルス迅速抗原検査キットの供給対応力で、事業者間の業績格差が開く結果となった。

3.将来展望

臨床検査薬・機器事業を展開する企業群は、総じて2021年度、2022年度と新型コロナウイルス関連検査製品で大きな需要を獲得した。しかし2023年5月、同感染症法上の位置づけが5類に移行後、本検査動向にも変化が見られている。

2023年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要35社の事業者売上高ベース)は、国内向け事業が前年度比9.3%減、海外向け事業は6.6%増で、合算すると同2.0%減の1兆4,050億円になるものと予測する。
2023年度はインフルエンザなど新型コロナウイルス以外の各種感染症の流行が顕在化しているものの、2022年度の新型コロナウイルス検査特需の反動減を埋めるまでには至らないとみる。新型コロナウイルス関連検査薬・機器事業を展開する多くの企業の国内向け事業の売上は大幅減となる見込みである。一方で、為替の円安基調を背景として、海外向けの臨床検査薬・機器事業などは比較的堅調に推移するものと考える。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2023年8月~10月
    2.調査対象: 国内の主要な臨床検査薬・機器事業展開企業35社(日本企業および海外企業日本法人)
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング調査

    <臨床検査薬・機器事業規模とは>

    医療機関や検査センター等で行う検体検査(血液・尿・便・組織などの検体)に用いられる、臨床検査薬・機器に関する事業を対象として、国内の主要企業35社における国内向けおよび海外向け臨床検査薬・機器事業の売上高ベースの合計を、本調査における事業規模とした。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    臨床検査薬および臨床検査機器全般

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年10月31日
    体裁
    A4 379ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

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