プレスリリース
No.3473
2024/02/28
ローカル5Gソリューション市場に関する調査を実施(2024年)

2030年度の国内ローカル5Gソリューション市場規模は558億円に成長を予測
~既存の通信規格から5GベースのIoTへ代替が進展、ローカル5Gソリューション市場は2025年度以降に本格普及へ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の5Gソリューション市場を調査し、製造、建設、物流、医療、セキュリティ、社会インフラ、スタジアム/ライブソリューションなど分野別の5G活用およびIoT型ソリューションの普及動向、将来展望を明らかにした。
ここでは、ローカル5Gソリューション市場予測、分野別の普及動向、プライベート5G市場動向等について公表する。
ローカル5Gソリューション市場規模予測
ローカル5Gソリューション市場規模予測

1.市場概況

一般企業や自治体、各種団体などが総務省に免許を申請し、企業や自治体、団体の建物や敷地内など特定範囲(狭域)限定で構築する5Gネットワークであるローカル5Gは、コロナ禍による行動制限が緩和された2022年度から導入検討/PoC(概念実証)が進展した。2023年度に入るとPoC件数の増加とともに、徐々に実装段階のプロジェクトも増えており、2023年11月末現在でローカル5Gの免許人は152者(公表を承諾している事業者のみ)となっている。そうしたことから、2023年度のローカル5Gソリューション市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比217.2%の63億円を見込む。

ローカル5Gソリューション市場は黎明期~導入期にあり、本格的に普及するのは2025年度以降になると考える。ローカル5Gソリューションのターゲットとなるのは、リアルタイム対応/遠隔モニタリング、最適化、意思決定支援、自動化・自動制御、データを基にした予知・予測・予防、価値向上といったテーマになる。
また、ローカル5Gネットワークを企業や団体が単独で利用するのではなく、複数の企業や団体が共同利用するローカル5G基盤の共有型や、レンタルパッケージ(レンタル型、サブスク型)などのローカル5Gソリューションも登場している。さらにローカル5Gネットーワークの用途を特化することで、運用コストの低廉化を実現するソリューションも期待されている。

2.注目トピック

プライベート5G市場動向

近年、プライベート5Gが注目され、一般企業や自治体、団体のDX化/デジタル化のサポート技術として、キーワードになっている。

プライベート5G※は、MNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)がセルラー5G(キャリア)回線を使って、企業や自治体、団体の建物や敷地内などに、必要な帯域で5Gネットワークを提供するマネージドサービスである。
​プライベート5Gでは、ローカル5Gと違ってユーザ企業サイドが無線局免許を取得する必要はなく、MNOがユーザ企業の建物や敷地内に基地局設備を設置し、その保守運用も行う仕組みである。そのため、ユーザ企業サイドの投資・運用負担は比較的少なく、ローカル5Gへの投資に二の足を踏んでいる企業や自治体、団体が注目するサービスとなっている。

製造/工場向けの5GベースのIoTソリューションは比較的新しい技術であるため、当面は新たな課題や問題に直面する蓋然性が高い。プライベート5Gの建て付けであれば、高コストや運用に手間がかかるといったローカル5Gでの課題を解決する手段を持った事業者も登場してきており、併せてIoTソリューションにおけるユースケース(Use Case)の積み上げが進みつつある。
見方によっては、「プライベート5Gはローカル5Gよりも有望」といった見解も見られ、5G活用での方向性の一つとして、プライベート5Gは無視できない技術領域であると考える。

※プライベート5Gは、ネットワークスライシング技術でネットワークの論理分割を行い、高い安全性でユーザ企業の閉域サービスとセルラー5G(キャリア)回線を接続するマネージドサービス。

3.将来展望

2025年度以降、本格的な普及が進むローカル5Gソリューションでは、既存の通信規格を用いたIoTシステムの更新タイミングに合わせて、5GベースのIoTソリューションへの代替が進展する見込みである。この場合、当面はセルラー5GベースのIoTソリューション導入が主導するが、併せてローカル5G及びプライベート5Gも並走し、用途や目的に沿った使い分けが進む見通しである。
現状のローカル5Gのポジションは、先行するITベンダーによる自社グループ内の工場や事業所での実装/PoC(概念実証)や自動車メーカーに代表される先進的なユーザ企業による実装/PoC案件が増えている。しかし、多くの案件は2024年1月現在では圧倒的に実証/PoCに止まっている。このようにローカル5Gソリューションの現在地はまだ黎明期にあると言える。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  製造/工場分野
     スタジアム/ライブソリューション分野
     物流/倉庫分野
  • 注目トピックの追加情報
  •  ローカル5Gでの期待分野
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2023年10月~2024年1月
    2.調査対象: ITベンダー、移動体通信事業者、インフラ事業者、CATV事業者、ユーザ企業、地方自治体など
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用

    <ローカル5Gとは>

    ローカル5Gとは、MNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)が広域でサービス提供するセルラー5Gとは異なり、一般企業や自治体、各種団体などが総務省に免許を申請し、企業や自治体、団体の建物や敷地内など特定範囲(狭域)限定で構築する5Gネットワークをさす。
    ローカル5Gは、従来のセルラー回線やWi-Fi、Bluetooth、有線などの通信ネットワークと比較すると、5Gの高速・大容量(映像配信や製造機械での大量データ対応など)、低遅延(協働ロボットや遠隔医療など遠隔作業支援など)、多接続(スタジアムでの参加型アミューズメントや交通流等の都市データ対応など)といったメリットがあり、IoT(Internet of Things)型ソリューションや特定範囲内でのAGV(無人搬送車)やロボットの自動運転などでの利用が期待される。

    <ローカル5Gソリューション市場とは>

    本調査におけるローカル5Gソリューション市場とは、ローカル5Gネットワークを構築するためのシステム/アプリケーション開発費、通信モジュール、端末/デバイス、電波利用料/回線利用料・通信費、プラットフォーム/クラウド利用料、運用管理費などを対象として、それらのハードウェア、ソフトウェア、サービスなどを提供する事業者の売上高ベースで算出した。
    但し、ローカル5Gネットワークのインフラ設備(基地局など)の費用や工事費は含んでいない。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    システム/アプリケーション開発費、通信モジュール、端末/デバイス、電波利用料/回線利用料・通信費、プラットフォーム/クラウド利用料、運用管理費など

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年01月31日
    体裁
    A4 273ページ
    価格(税込)
    220,000円 (本体価格 200,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2024 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。