プレスリリース
No.3758
2025/04/25
メディカルバイオニクス(人工臓器)市場に関する調査を実施(2024年)

2023~2024年度は症例数が回復する中、生産遅延や輸入製品の遅れなど供給不安が一部製品で継続、原材料や輸送コストの高騰など生産コスト増による製品値上げが進む
~2023年度のメディカルバイオニクス(人工臓器)市場は前年度比1.3%増の6,765億2,100万円~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のメディカルバイオニクス(人工臓器)市場について調査を実施し、製品別市場規模推移、今後の成長要因、市場特性などを明らかにした。

1.市場概況

メディカルバイオニクス(人工臓器)製品とは、病院、クリニック、検査センター等で使用される体内植込み型及び関連装置の医療機器(デバイス)である。
体外循環装置を除いた人工臓器の市場では、より低侵襲な手術手技が発展し、新たなデバイスが上市されていくのが市場の趨勢である。臨床現場では適用基準はあるものの、経皮的手術デバイスが採用され、直視下手術デバイスに影響を与えている症例や製品群は増えている。
一方、骨粗鬆症や関節リウマチでは薬物療法を選択する患者数の増加が、一部ではあるが手術件数の変動につながり、マイナス要因になっている。

2022年度から新型コロナウイルス感染拡大で抑えられていた症例数が回復し、症例によればコロナ禍前の水準やそれ以上に回復している。一方、海外生産の製品をはじめ、原材料や輸送コストの高騰などによる生産コスト増、生産遅延や輸入製品の遅れなど製品供給不足の影響は残っている。​このような状況下で、2023年度のメディカルバイオニクス(人工臓器)国内市場(主要34項目68製品合計)を、前年度比1.3%増の6,765億2,100万円と推計した。

2.注目トピック

脳外科6製品の動向

メディカルバイオニクス(人工臓器)市場のうち、2023年度の脳外科6製品市場規模は、前年度比1.8%増の105億7,800万円となっている。
内訳をみると、脳血管内治療増加等の影響もあり脳動脈瘤クリップが引き続きマイナス推移、シャントバルブは微増、脳外科領域では塞栓コイルを含めた脳血管治療用デバイス症例や放射線治療件数の増加で開頭術は減少傾向にあり、同分野で採用される人工骨市場では厳しい状況が続いている。

3.将来展望

メディカルバイオニクス(人工臓器)の動向を診療科目別にみる。

胸部・心臓血管外科、循環器領域では、コロナ禍の症例数減少の影響は殆ど解消された中、TAVI・TAVR(経カテーテル大動脈弁植え込み術)は適用拡大もあり続伸、人工血管は腹部・末梢血管領域でのDCB(薬剤コーテッドバルーン)の影響があり、微減推移となる。
整形外科領域では高齢化の進展を背景として、人工関節市場及び脊椎固定システム市場が引き続き市場を牽引しており、プラス推移が見込まれる。
人工腎臓及び関連製品では、今後は血液透析患者の年間増加数低下や、透析施設数減少、透析装置やダイアライザーの伸長鈍化が想定される一方で、HD(血液透析)/HDF(血液濾過透析)のうち特にHDFの拡大があるものの、市場は微減推移が見込まれる。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年4月~2025年1月
    2.調査対象: 国内メーカー及び輸入製品の製造販売業:販売元
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話取材調査併用

    <メディカルバイオニクス(人工臓器)市場とは>

    本調査におけるメディカルバイオニクス(人工臓器)市場とは、病院やクリニック、検査センター等で使用される体内植込み型及び関連装置の医療機器(デバイス)を指し、インプラント材や体外循環関連装置・製品(主要34項目、68製品)を対象とし、国内メーカー及び輸入製品の製造販売業:販売元ベースで算出した。
    主なデバイスとしては、循環器分野では人工心肺や人工血管、ペースメーカー、人工弁等、整形外科分野では人工関節や人工骨、人工靭帯、各種プレート、その他分野は人工腎臓(透析)、皮膚欠損用創傷被覆材、人工肛門・膀胱(ストーマ)、各種ステント製品等が該当する。

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年01月30日
    体裁
    A4 792ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

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