プレスリリース
No.3852
2025/12/25
ビジネスプリンタ市場に関する調査を実施(2025年)

オフィス向けプリンタは一時的な需要増、業務・産業向けプリンタはアナログ印刷からデジタル印刷へのシフトが進む

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、ビジネスプリンタの世界市場、オフィスプリンタ国内市場を調査し、各出力機器の出荷台数・出荷金額、利用動向、参入企業シェア・動向、将来展望を明らかにした。ここでは一部の市場規模、ならびに分析結果を公表する。

オフィスプリンタ国内市場推移と予測
オフィスプリンタ国内市場推移と予測

1.市場概況

本調査におけるビジネスプリンタとは、オフィス向けのページプリンタ中-低速、業務・産業向けのラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷ができるLFP(大判プリンタ、インクジェット方式)を対象とし、世界市場規模を算出している。

2024年度のビジネスプリンタ世界市場規模は、出荷台数ベースで前年度比107.6%の1,107万5,239台、出荷金額ベースで前年度比104.9%の1兆2,954億2,500万円となった。

ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速においては、オフィス再編や在宅勤務の定着に伴う需要減が進行している。
また、業務・産業向けのプロダクションプリンタにおいては、2023年度以前ライトユーザー向けで比較的廉価モデルが伸長したことで、プロダクションプリンタ全体の裾野が一定の広がりをみせたが、2024年度は当該モデルの一巡感もあり、大幅な伸長には至らなかった。一方で、上位モデルへの移行が進んでいることによって、単価上昇による売上伸長が見られた。
LFP市場では、環境負荷軽減への対応を背景に、既存の有機溶剤系からの転換が行われ、市場を伸ばしていた水性系が一巡感から成熟市場に移り変わろうとしている。

ビジネスプリンタの出荷台数の継続的な増加にはメーカー各社は今後、ユーザー企業需要に応じた製品提案力そのものや、AI活用などのプリンタに付加価値を付けた差別化戦略を強化、充実させていく必要があると考える。

2.注目トピック

オフィスプリンタ国内市場

国内におけるオフィスプリンタとは、ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速とMFP(複合機/複写機)を対象にしている。

2024年度におけるオフィスプリンタ国内市場規模は、出荷台数ベースで、前年度比101.7%の121万6,933台、出荷金額ベースでは前年度比96.7%の3,489億8,000万円となった。新型コロナウイルス禍の回復需要の落ち着きによる急激な需要低下の影響を最小限にするため、2023年度から行われていた一部メーカーの出荷調整が完了したことで出荷台数ベースでは、一時的に需要が増加したが、出荷金額ベースでは縮小している。これは製品の平均単価がページプリンタ中-低速よりも高いMFPの出荷台数がマイナスになったことが影響している。

国内のオフィスプリンタ市場は、オフィス需要の低下やペーパーレス化の進展などにより、基本的には減少基調となっている。そのような中、一部のメーカーなどで合弁会社を設立する動きもあり、生産部品やサプライチェーンの共通化など、参画企業の生産効率の向上や各社の持つ技術力を共有し、これらを活用した相乗効果による市場の持ち直しが期待される。

3.将来展望

2025年度のビジネスプリンタ世界市場規模は、出荷台数ベースで前年度比98.2%の1,088万30台、出荷金額ベースで同101.7%の1兆3,179億7,500万円になると予測する。

2025年度以降、世界市場におけるビジネスプリンタの需要は、全体で見れば依然として成長基調にあるものの、その成長はオフィス向けプリンタと業務・産業向けプリンタで二極化する可能性が高いと考える。すでに多くの企業において導入が進んでいるオフィス向けプリンタ市場は成熟しており、今後は高付加価値化、高単価化による売上伸長が主体となる。一方で、業務・産業向けプリンタ市場においてはアナログ印刷からデジタル印刷へのシフトが進んでおり、なかでも商業印刷やLFPの分野は、成長の余地も大きい。アナログ印刷の比率が高い分野へのデジタル印刷需要の開拓など、個別需要の深掘りをしていく必要がある。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年4月~6月
    2.調査対象: プリンタメーカー・販売店、パートナー事業者等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査併用

    <ビジネスプリンタとは>

    本調査におけるプリンタ(出力機器)とは、①オフィス向け(ページプリンタ中-低速)、②業務・産業向け(プロダクションプリンタ、インクジェット方式のLFP(Large Format Printer:大判プリンタ)を対象とした。また、LFP(大判プリンタのインクジェット方式)市場の内数には、テキスタイル専用プリンタ(ダイレクト捺染プリンタ、ガーメントプリンタ、昇華転写プリンタ専用機、DTF(Direct to Film)プリンタ)や、ラテックスプリンタ、UVプリンタ、LFP(卓上・小型機)を含んでいる。

    本調査におけるビジネスプリンタとは、オフィス向けのページプリンタ中-低速、業務・産業向けのラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷ができるLFP(大判プリンタのインクジェット方式)を対象とし、世界市場規模を算出している。また、国内におけるオフィスプリンタとは、ビジネスプリンタのうち、ページプリンタ中-低速とMFP(複合機/複写機)を対象にしている。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    プロダクションプリンタ、LFP(インクジェット方式)、ページプリンタ中-低速

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年06月30日
    体裁
    A4 251ページ
    価格(税込)
    253,000円 (本体価格 230,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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