2024年度の国内ビル管理市場規模は前年度比106.9%の5兆1,615億円と推計
~ビル管理会社は価格改定への積極的なスタンスを維持、高品質なビル管理業務の提案による付加価値の提供が必要~
1.市場概況
2024年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は5兆1,615億円、前年度比106.9%となった。
既存管理物件の契約更改時の価格改定が進んでいることや、新規管理案件の適正な単価水準での受注及び稼働開始に加えて、決算期中の収益化が見込める工事案件の新規受注が増加していることが、ビル管理市場拡大の要因として挙げられる。
2.注目トピック
建物使途別では、引き続き「事務所ビル」がビル管理市場全体の2割超のシェア
2024年度のビル管理市場規模を建物使途別にみると、住宅が約1,990億円(建物使途別シェア3.9%、前年度比106.2%)、非住宅が約4兆9,625億円(同96.1%、同106.9%)と推計した。
非住宅の内訳を見ると、事務所ビルが市場規模約1兆1,230億円(同21.8%、同106.9%)と、ビル管理市場全体の2割を超えている。次いで、店舗・商業施設が約9,268億円(同18.0%、同106.6%)、医療・福祉施設が約5,322億円(同10.3%、同107.3%)、工場・作業所が約4,761億円(同9.2%、同106.5%)、学校施設が約4,637億円(同9.0%、同105.0%)という順になった。
3.将来展望
2025年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は、前年度比102.1%の5兆2,685億円と予測する。
2024年度までに様々なコストが上昇し、ビル管理会社側の積極的な価格改定交渉が継続していることや、人件費高騰分を見込んだ適正な管理コストによる新規管理案件の受注姿勢が明確になっていることから、ビル管理市場の規模拡大は進む見込みである。
一方で、管理業務の品質に対する顧客(建物オーナー)側の期待感は大きいものと考える。ビル管理コストの上昇に対する顧客側の理解が進む中で、ロボット等の活用提案や従来以上の効率的な運営管理提案など、ビル管理会社には付加価値のある高品質な管理業務提案を実現していく必要があると考える。
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調査要綱
2.調査対象: 全国の有力ビル管理事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話アンケート調査、ならびに文献調査併用
<ビル管理市場とは>
本調査におけるビル管理市場とは、ビルの清掃、設備管理、警備業務等の受託サービスを対象として、元請金額ベースで市場規模を算出した。ビル管理事業者が請け負う修繕工事、改修工事、リニューアル工事等の周辺業務を含む。
<市場に含まれる商品・サービス>
衛生管理業務、設備管理業務、警備保障業務、その他業務(建物修繕等)
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