2023年版 カーボンナノチューブ市場の現状と将来展望
本調査レポートでは、カーボンナノチューブ(CNT)およびCNTユーザーの事業展開・研究開発動向と今後の事業戦略を徹底調査するとともに、2028年までのCNT市場の成長性を予測する。
調査資料詳細データ
調査概要
調査結果サマリー
資料ポイント
調査目的:日本、中国、韓国、米国、欧州のカーボンナノチューブ(以下、CNT)メーカーの研究開発動向、事業戦略、及び用途開発の状況を徹底調査することで CNT 市場の現状と将来展望を把握する。
調査対象:
CNT:単層 CNT、多層 CNT(レゾナック VGCF@含む)
アプリケーション:リチウムイオン電池導電助剤、複合材料(樹脂、ゴム等)、塗料・コーティング、等
調査方法:弊社専門調査員による直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査・分析期間:2023 年 8 月 1 日~2023 年 11 月 20 日
カーボンナノチューブ世界市場に関する調査を実施(2023年)
2023年のカーボンナノチューブ(CNT)世界出荷量は10,000tを超える見込
~LiB導電助剤用途を成長エンジンに市場の拡大が続く見通し~
前回版との違い:水素の製造に伴い、副生物として固体炭素(CNT、カーボンブラック等)が得られるメタン熱分解技術の動向を掲載
リサーチ内容
調査結果のポイント
第1章 カーボンナノチューブ市場の現状と将来展望
LiB導電助剤向けが成長エンジンとなり、CNT市場の拡大が続く
2030年以降の実用化を見据えた研究開発も活発化
CNTのグリーン化が価格とは異なる新たな競争軸を生み出す
(図・表) CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:重量)
(図・表) CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:金額)
第2章 単層カーボンナノチューブ市場の展望
(1)市場動向
LiB導電助剤向けの需要が2025年に本格化
2022年~2028年のCAGRは60%超となる見通し
(図・表) 単層CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:重量・金額)
中国Cnano、Dazhan、Dongheng、韓国JEIOなどが新規参入を目指す
(図) 単層CNT市場メーカーシェア(2022年:重量)
(表) 主要単層CNTメーカー 生産体制一覧
(2)アプリケーション動向
熱電変換、電磁波吸収、発熱などの機能を付与した用途開発が進む
半導体・エネルギー分野では次世代デバイス向けの材料開発が活発化
①LiB導電助剤
(図・表) 単層CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:用途別・重量)
(図・表) 単層CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:用途別・金額)
②複合材料
(ⅰ)ゴム・エラストマー複合材料
(ⅱ)樹脂複合材料
③コーティング・塗料
④不揮発メモリ
⑤固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell :PEFC)
⑥人工光合成
⑦電界効果トランジスタ
⑧その他
第3章 多層カーボンナノチューブ市場の展望
(1)市場動向
LiB 導電助剤向けが引き続き好調、2022 年の市場規模は 7,000t を超える
(図・表) 多層CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:重量・金額)
LG Chemのシェアが急上昇、Cnano、Dazhanとの三つ巴の争いに突入
(表) 多層CNT市場メーカーシェア推移(重量:2020~2022年)
(図) 多層CNT 地域別需要構成(重量:2022年)
中国・韓国の多層CNTメーカーが増強計画を相次ぎ打ち出す
黒猫など既存のCBメーカーの新規参入により競争激化へ
(表) 主要多層CNTメーカー 生産体制一覧
日本では戸田工業が独自のDMR法で数百トン規模の生産体制の構築を目指す
(2)アプリケーション動向
多層CNT市場におけるLiB導電助剤向けのシェアは2028年に96%に上昇
①LiB 導電助剤
(図) LiB正極材 活物質別世界市場規模推移(2019年~2022年見込み:重量)
(図・表) 多層CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:用途別・重量)
(図・表) 多層CNT世界市場規模推移(2020年~2028年予測:用途別・金額)
LiB導電助剤市場ではカーボンブラックに対する需要が根強いも
多層CNTのシェアが拡大傾向
(図・表) LiB導電助剤 正極向け材料別世界市場規模推移
(2020年~2028年予測:重量)
(図) LiB導電助剤向け多層CNT粉末 メーカーシェア(2022年:重量)
(表) LiB導電助剤向け多層CNTペースト メーカーシェア(2022年:重量)
②複合材料
(ⅰ)樹脂複合材料
・電気・電子分野
(図) PEFC単セルの主な構成イメージ
・自動車分野
・スポーツ・レジャー分野
③その他
・熱界面材料(Thermal Interface Material:TIM)
・分散液・コート液
・配線材料
特別調査 ~メタン熱分解技術の研究開発動向~
金属系固体触媒や溶融触媒の研究開発が進展
固体炭素の用途開発・高付加価値化の動きも活発化
(表) 炭化水素原料を用いた主な水素製造技術
(表) メタン熱分解技術の主な類型
米国・Monolithが乗用車タイヤ向けにカーボンブラックの供給をスタート
(表) メタン熱分解技術の商業化を進める主な海外企業
・Hazer Group Ltd.
・Monolith Materials, Inc.
・Ekona Power Inc.
・C-Zero Inc.
メタン熱分解技術の研究開発プロジェクト
日本:Fe系やNi系触媒を用いたメタン熱分解技術の研究開発が活発化
NEDO「水素利用等先導研究開発事業/
炭化水素等を活用した二酸化炭素を排出しない水素製造技術開発」
NEDO「水素社会構築技術開発事業」
米国:固体炭素の高付加価値化を目指したプロジェクトが相次ぎ立ち上がる
OPEN+ Cohort3 Methane Pyrolysis
Advanced Natural Gas Infrastructure Technology Development
欧州:BASFやKITが中心となるプロジェクトが進行
FfPaG/ME2H2
NECOC(Negative Carbon diOxide to Carbon)
(表) 海外におけるメタン熱分解技術の研究開発プロジェクト
第4章 カーボンナノチューブ関連企業の動向と戦略
日本ゼオン株式会社
SGCNTの高純度、高比表面積、長尺という特長を活かし
独自性のある用途開発に取り組む
GI基金を活用し、NRAMの社会実装に向けた研究開発をスタートさせる
LiB導電助剤としての展開を強化
シートやマスターバッチの用途開発も順調に進む
SGCNTの安全性に係る情報発信を推し進める
株式会社名城ナノカーボン
独自の合成、精製、分散、分離技術を進化させ
単層CNTの応用領域の拡大に取り組む
完全子会社の信州ボルタがCNT分散液、単結晶LCO、NCM91を製品化
MEIJO eDIPSの高純度・高結晶という特長を活かし
燃料電池をはじめとする水素産業向けの展開を強化
KORBON Co., Ltd.
LiB導電助剤としての展開に軸足を置くも
半導体分野などで新規用途が浮上
需要変動に柔軟に対応する製造設備のモジュール化・ユニット化を推進
2024年に単層CNT 15t/年の供給体制を整備へ
帯電防止用途は車載向けに拡大、EUV露光ペリクル材料としての開発も進む
2024年下期にはLiBシリコン負極向けの需要が立ち上がる見通し
楠本化成株式会社
単層CNT添加剤Lamfil®ブランドを拡充し、カスタム対応の体制を整備
LiB向けではBATT H2O、BATT NMPの高濃度品の提案を強化
コーティング・塗料分野では色味×導電性・帯電防止性をキーワードに用途開発を推進
江蘇天奈科技股份有限公司 (Jiangsu Cnano Technology Co.,Ltd.)
LiB導電助剤市場のパイオニアとして先駆的な製品開発に取り組む
2025年に多層CNTペーストで10万t/年規模の供給体制を構築
単層CNTは第1期で粉末100t/年、ペースト7,000t/年の製造設備の導入を計画
LFPの復調やNCMのハイニッケル化を追い風に
多層CNTの出荷量は好調推移
山東大展納米材料有限公司 (Shandong Dazhan Nano Materials Co., Ltd.)
製品ラインナップを拡大させ、LiB向けの展開を強化
複合材料向けが伸び悩むも、LiB導電助剤としての需要が拡大
2024年には多層CNTペースト、単層CNT粉末の生産設備の稼働を計画
深圳市飛墨科技有限公司 (Shenzhen FAYMO Technology Co., Ltd.)
ナノマテリアルに関する豊富な知見を活かし
次世代バッテリーの開発をサポート
2023年に多層CNT粉末900t.年、ペースト18,000t/年の生産体制を整備
ドライ電極向けのグレード開発に成功、2023年夏に供給体制を整える
アルケマ株式会社
脱炭素化への貢献に資する特長を訴求し
多層CNTのさらなる需要の取り込みを目指す
LiB向けに新触媒を用いたGraphistrength®の高純度品を開発
カーボンフットプリントの削減効果で競合と一線を画す
Kumho Petrochemical Co., Ltd.
LiB市場への展開強化により、CNT事業の成長スピードを加速させる
2023年末までに多層CNT粉末360t/年の生産体制を構築
LiB向けのグレード開発が進み、2025年にも導電助剤としての需要が本格化へ
JEIO Co., Ltd.
二次電池の技術革新に多角的な貢献を果たし
企業成長の新たなステージに移行
LiB向けの旺盛な需要を受け多層CNTの生産能力を5,000t/年に拡大
負極用導電助剤の事業化に向け単層CNT市場への参入を目指す
戸田工業株式会社
カーボンニュートラル実現に向け
メタン直接改質法の早期社会実装を目指す
2023年8月に温泉付随天然ガスを原料とした
北海道での地産地消型水素サプライチェーンの構築に着手
2028年以降に多層CNT換算で500t/年規模の商用プラントの稼働を計画
浜松カーボニクス株式会社
ユーザーの様々な要望に柔軟に対応した多層CNT製品を提供
多層CNTフォレストの優れた熱伝導性、導電性を活かし
TIMや電磁波シールドとしての応用開発を推し進める
トーヨーカラー株式会社
独自の分散・CNT改質技術を活かしたLiB用CNT分散体事業が急成長
世界4極のグループ拠点でLIOACCUM®の現地生産体制を強化
2026年度に売上高400億円超を目標に掲げる
CNT Solution Co., Ltd.
高度な分散・コンパウンド技術を駆使し
環境・エネルギー分野の展開を強化
燃料電池用CNTセパレータは2024年1月に量産開始予定
LiBドライ電極材料の製造プロセス開発にも取り組む
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