2024年度のポイントサービス市場は2.8兆円超え、2029年度には3.4兆円へ成長すると予測
~キャッシュレス決済の浸透が成長を牽引、ポイントサービスを導入する事業者の業種も拡大~
1.市場概況
2024年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、約2兆8,125億円と推計した。
特に近年は、キャッシュレス決済の浸透によりクレジットカードやコード決済の取扱高が増加を続けており、これらの決済サービスによるポイント発行の拡大が、市場全体の成長を牽引している。
また、物価の上昇が続く中で、節約・家計防衛に向けて「ポイ活」が幅広い年代層において浸透しており、ポイントを意識的に獲得するユーザーが増加していることも市場の成長を後押しする要因となっている。
さらに、ポイントサービスを導入する事業者の増加・多様化も進んでいる。
共通ポイントサービス提供事業者は、引き続き消費者が日常利用する店舗・サービスを中心に加盟店の開拓を進めており、加盟店舗数は拡大している。
加えてハウスポイントに関しても、従来は独自のポイントサービスを提供する事業者は小売・流通業が主であったが、近年は鉄道、金融、メーカーなど幅広い業種において、新たにポイントサービスの提供を開始する事業者が増加傾向にある。
2.注目トピック
マルチポイント化の進展および共通ポイント・ハウスポイントの共存
昨今のトレンドとして、ひとつの事業者が複数の共通ポイントを運用するマルチポイント化が進んでいることに加え、共通ポイントとハウスポイントが併用されるケースも増えている。加盟店としては、複数の共通ポイントやハウスポイントに対応することでユーザーの利便性が高まり、他社との差別化にもつながる。
共通ポイントサービス事業者としても、共通ポイントとハウスポイントは競合関係ではなく、加盟店の業種や目的に応じて使い分けられるものと捉えている。
具体的には、共通ポイントは新規顧客の送客に有効である一方で、ハウスポイントは自社顧客に直接アプローチすることでロイヤリティを高めるものであり、両者は棲み分けができていると共通ポイントサービス事業者は捉えている。
また、一方のポイントサービスでは難しい多面的な顧客分析が可能になるなど、両者を併用することのメリットもあり、今後も共通ポイントとハウスポイントの共存関係は続くと見込む。
3.将来展望
国内におけるポイント発行額は、キャッシュレス化の進展やポイントサービスの裾野拡大を背景として緩やかに増加を続け、2029年度には約3兆4,000億円まで拡大すると予測する。
今後は国内においてキャッシュレス化がさらに進展し、クレジットカードやコード決済の取扱高が増加していくと見込まれ、それに伴い決済サービスによるポイント発行額も拡大すると見込む。
特に、特定の対象店舗での決済に対して高還元率でポイントを付与するポイントプログラムを提供するクレジットカード会社が増えてきており、クレジットカードによるポイント発行額は高成長を継続すると考える。
また、共通ポイント・ハウスポイントともに、これまでポイントサービスが導入されてこなかった業種・業態においても新たに導入が進み、市場全体の裾野が拡大していくと予測する。
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調査要綱
2.調査対象: 共通ポイントサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者、ポイント交換サービス提供事業者、ポイントソリューションベンダー等
3.調査方法: 専門研究員による面接取材を主体に文献調査等も併用
<ポイントサービス市場とは>
本調査におけるポイントサービス市場は、特定の企業・団体や企業グループが提供するサービスや商品の購入等に対して発行されるポイントやマイレージ等を対象とし、市場規模は民間企業によるポイント発行額で算出している。
ポイントの総発行額には、特定の企業が発行するハウス(自社ブランドの)ポイントやマイレージに加え、特定の決済(クレジットカード、電子マネー、コード決済等)により付与されるポイント、業種・業態に関わらず提携先で利用できる共通ポイント(楽天ポイント、dポイント、Ponta、Vポイント等)などが含まれる。
<市場に含まれる商品・サービス>
ポイントサービス、共通ポイントサービス、マイレージ、ポイントサイト、ポイント交換サービス、ポイントソリューション
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