今週の"ひらめき"視点

政府経済対策、全体像を見直し、政策ターゲットの絞り込みを

10月31日、政府の経済対策案がまとまった。最大の関心事となった “減税” は、物価高対策としての “一時的な措置” であることを明記したうえで所得税納税世帯1人あたり4万円(所得税3万円+住民税1万円)の定額減税とし2024年6月から開始する。一方、住民税非課税世帯には3月決定分の3万円に加えて7万円を給付する。ただ、減税案については与党内にも「物価の状況次第では延長を」、「所得制限をかけるべき」といった声もあり、与党税調は年末までに最終案をとりまとめる。

政府は減税に拘る。政府の立場は “一律の現金給付は国難の際に限定されるべき” であって、減税はあくまでも “税収増に対する直接還元” とのロジックである。そう、矛盾はここにある。そもそも今回の経済対策は急激な物価上昇に対する生活支援が目的ではなかったのか。そうであれば優先されるべきは緊急性であり、消費の浮揚効果という点では消費税減税がもっともシンプルでメッセージ性も高い。もちろん、期間は “賃金上昇が物価に追いつくまで” とするのが自然だ。

今回の経済対策では生活支援を目的とした “減税” と給付に加えて、賃上げ促進、イノベーション投資、経済安全保障の強化や中小企業、スタートアップ支援など多岐にわたる企業向けの税制優遇措置も盛り込まれた。個々の政策趣旨は理解できる。しかしながら、長期的な視点に立って取り組むべき構造問題と “ロシアのウクライナ侵攻によって” という枕詞で説明される事案に対する施策の混在は、経済対策の趣旨を分かりにくくするとともに、中身も総花的にならざるを得ない。結果、効果も薄まる。

10月20日に幕を開けた臨時国会には、首相や閣僚を含む国家公務員特別職の給与改定に関する法案が提出された。一般自衛官の給与増に異論はない。しかしながら、国民生活の支援策に先んじて閣僚自らの報酬引き上げを国会にはかることにバツの悪さを感じないあたりに国民感情とのズレが垣間見える。この9月期、沖縄電力を除く大手電力9社の決算は経常最高益を記録した。要因は “値上げ” である。一方、政府は物価対策としてガソリン・電気・ガス代の補助を来年3月まで延長することを決定済だ。原資はもちろん税金である。ここにももやもや感が残る。再度、施策の全体像を見直し、矛盾や重複がなく、もっとも効果を実感できる施策に集中いただきたく思う。


今週の“ひらめき”視点 10.29 – 11.01
代表取締役社長 水越 孝