第1章 プラスチックリサイクル市場の展望と戦略
「環境対応素材」から「機能性材料」へ、
ユーザー企業だからこそできるリサイクルプラスチックのポジションチェンジ
2032年の国内再生プラスチック市場(需要量ベース)を821千tと推計
社会的に根付いたBottle to Bottleによって飲料用途が市場をけん引
(図・表)国内再生プラスチック市場規模予測(2025~2032年)
ホルムズ海峡の封鎖による、バージン材価格の高騰、欧州ELV規則の施行も
リサイクルプラスチックの需要拡大に直接は結び付かず
リサイクルプラスチックはトレーサビリティや安定調達などに課題を残す
需要量の大きい食品業界、安全性重視の化粧品業界ではバイオマスプラスチック採用の動きも
(表)MR・CR・バイオ樹脂のメリット/デメリット
ユーザー企業主導の用途開発で、リサイクル樹脂の「使用者」にとどまらず
出口戦略を加速させるようなリーダーシップを確立していくべき
第2章 プラスチックリサイクルに係るユーザー業界の動向
欧州での各種環境対応法整備が進む中、日本でも循環経済への移行を国家戦略として位置付け
グローバル基準に合わせることで、国際市場での日本企業の競争力確保につなげる
(表)プラスチック資源循環戦略 重点戦略とマイルストーン
(表)改正資源有効利用促進法に定める指定脱炭素化再生資源利用促進製品
2-1. 自動車
2026年中に欧州ELV規則が本格施行される見通し
日本国内でも「自動車向け再生プラスチック市場構築のための課題とアクションプラン」作成
(表)<ELV規則案 再生プラに関する主な修正内容>
(図)環境省における自動車向け再生プラ等供給量目標
JAMAにおけるサスプラの必要量
自動車各社は試行錯誤を続けながらリサイクル材を採用
将来的には内装 to 内装に加え、内装 to 外装の増加が見込まれる
(表)自動車におけるリサイクルプラスチック採用状況(2026年時点、量産車ベース)
ELV規則の対応を踏まえリサイクルプラスチック需要量を推計
ELV由来のリサイクルプラスチック市場は2032年に最大70,000tとなる予測(表)
(表)ELV規則対応を含めた国内でのリサイクルプラスチック需要量(※向け先の作り分け無)
(図・表)ELV由来リサイクルプラスチック市場規模推移
Car to Carだけではなく、X to Carとしてのリサイクルにも着手
OEM各社でのリサイクル材採用を高めた自動車作りを進める
①トヨタ自動車
②本田技研工業
③日産自動車
④日野自動車
⑤Renault
⑥Audi
⑦Stellantis
⑧BMW
⑨Volvo
⑩Volkswagen
⑪Hyundai
(表)国内自動車メーカー 再生プラスチック採用事例
(表)国内自動車メーカー プラスチック回収・リサイクル動向事例
(表)海外自動車メーカー 再生プラスチック採用事例
(表)海外自動車メーカー プラスチック回収・リサイクル動向事例
2-2. 飲料・食品
2-2-1. 飲料
全清飲目標「2030年にB to B化率50%」、5大ブランドオーナーは2026年にも達成の見通し
次のステップは中堅ブランドオーナー、PBメーカーのrPET採用拡大へ
(表)PETボトル有効利用率推移
(表)PETボトル再資源化量推移
(表)主要ブランドオーナー等によるPETボトルのサステナブル化進捗状況
(図・表)使用済みPETボトルの循環型リサイクル ボトルtoボトル(B to B)
(表)PETボトル用樹脂価格
(表)主要ブランドオーナーのB to B取り組み状況
さらなるB to B化率向上へ、事業系ボトルの高品質化に向け自販機横回収ボックスを一新
主要リサイクラーによるrPET供給能力はMR、CR合わせて380,000t/年
容器としての安心・安全だけでなく外観品質をいかに向上させるかが問われる
(表)主要メーカーによる再生PET樹脂(B to B)の供給能力
(表)使用済PETボトルからのB to Bの主な取組み例(2024年以降)
紙カートン内側のポリアル、乳酸菌飲料用PS容器など
これまでTRが中心であった容器・包材のMR、CRの取り組みが進展
2-2-2. 食品
食品容器のリサイクルは生鮮食品トレー、冷麺・サラダなどのプラカップが中心
油の残存が課題であった食用油・調味料ボトルの水平リサイクルを目指す取り組みが始まる
2-3. コンビニエンスストア
各社リサイクルPETを用いた容器の採用を加速
店舗での容器回収や店舗ユニフォームを容器以外へリサイクルする取り組みも進める
①セブンイレブン
②ローソン
③ファミリーマート
2-4. 化粧品・日用品
2-4-1. 化粧品
化粧品業界では業界団体の定める環境配慮指針に沿って環境対応素材を採用
各社での容器回収を通じて顧客への循環社会を訴求していく
(表)化粧品の容器包装に関する環境配慮設計指針
①コーセー
②ファンケル
③資生堂
2-4-2. 日用品
政府から日用品分野での環境対応素材について明確なルール化を進め
企業単体ではなく、社会全体としての資源循環を推し進める
(表)設計認定基準案
①花王
②ライオン
2-5. 文具
文具業界では長年にわたって取り組んできたクローズループのノウハウを活かし、
文具以外へも用途を広げ、多角的なリサイクルを進める
①コクヨ
②パイロット
③三菱鉛筆
2-6. 電気・電子機器
リサイクルスキームが確立された家電業界では、高品質かつ低価格な再生樹脂が循環
OA機器では業界団体によって回収スキーム形成が進み、リサイクルが進む
(表)グループ別製造業者等と指定法人に委託している製造業者等一覧
(図)回収機交換システムの概要図
①日立グループ
②パナソニックグループ
③三菱電機
④コニカミノルタ
2-7. 建設・建築
建設・建築業では、業界として廃プラ分別の浸透を目指し分別ルールを作成、
難易度の高い建材廃プラのリサイクルを推し進める
(図・表)廃プラスチック分別のヒント
①竹中工務店
②鹿島建設
第3章 プラスチックリサイクルユーザー業界関連企業の展望と戦略
トヨタ自動車株式会社
ASR由来だけではなく、他産業由来のリサイクル材も採用
国内初の技術を採用し、積極的に環境対応へ取り組む
2026年から「第8次トヨタ環境取組プラン」を開始
2030年には重量ベースで全体の3割以上に再生材を用いる目標を掲げる
自社で回収したPETボトルをリサイクルし、シート表皮に採用
2025年には日本国内のトヨタ車で初めてASR由来の樹脂を使用した部品を採用
2000年代から使用してきたエコプラスチックを継続的に活用
様々な角度から環境問題へ取り組む
本田技研工業株式会社
ELV由来のプラスチック材料の有効活用のため
CRの水平リサイクルや新技術の開発を進める
Triple Action to ZEROで掲げた「2050年のサステナブルマテリアル使用率100%」を目指し
2031年3月期までの新目標を設定
ELV規則案以前よりリサイクルの取り組みを幅広く展開
2025年9月販売の「N-ONE e:」に自動車用品業界で初となるリサイクルPMMA樹脂を採用
ELV由来の廃プラスチック部品を選別する「ケミカルソーティング」を開発
固体異物分離率が99%以上となり、高純度の樹脂を抽出し、自動車用途での活用を目指す
日産自動車株式会社
継続してきた廃プラスチックの実証実験をもとに
今後ASR由来の材料開発を進めELV規則にも対応を進める
2023年度よりNGP第5世代である「NGP2030」を開始
サステナブルマテリアル適用率を2030年には40%、2050年には100%を目指す
ASRのリサイクルを進めるべく、積極的に実証実験を進める
ELV由来に加え、他産業由来のケミカルリサイクル材料の採用も開始
再生可能資源としてバイオマスプラスチックも積極的に採用
日本国内だけではなく、海外販売車でも積極的な取り入れを進める
一般社団法人全国清涼飲料連合会
2030年にボトルtoボトル50%達成の目標を掲げ
動静脈連携の推進と啓発活動の強化
事業系ボトルの品質向上を課題とし、自販機横リサイクルボックスの改良を実施
「ゴミ箱ではなくリサイクルボックス」の認識を拡大し異物混入率の大幅削減を実現
2026年度は清涼飲料事業者、消費者の双方に向けたボトルtoボトルの啓発活動に注力
株式会社ヤクルト本社
ポリスチレン製ヤクルト容器のリサイクルを積極的に推進
マスバランス方式によるケミカルリサイクル原料の活用も開始
2025年5月には「環境目標2030」を改定、国内外で環境配慮素材の採用を推進
ヤクルト容器の水平リサイクルに向けて実証実験を様々実施
PS樹脂の有効活用方法を模索
日清オイリオグループ株式会社
食用油ボトルの水平リサイクル(ボトル to ボトル)を目指し
業界を超えて積極的に協業を推進
2021年「グループビジョン2030」を発表、資源循環につながる容器の開発に取り組む
油付きPETボトルのボトル to ボトルを目指し様々な企業と協業
2026年には油付きPETボトルの水平リサイクルに成功する
社内でのボトル回収も実施し、社員の資源循環への意識醸成を図る
株式会社コーセー
多くのステークホルダーと連携のもと化粧品容器の水平リサイクルを進め
業界全体の意識改革を目指す
2024年11月に中長期ビジョンを発表
2030年を見据えたサステナビリティ戦略戦略に取り組む
2025年5月から「雪肌精 BLUE・Prédia BLUE Recycle Project」を開始
商品製造から回収までのプロジェクト全体で環境配慮を進める
PCR由来のMR材を化粧品スリーブ内層に採用
総合的に環境配慮材を採用し、廃棄物削減・資源循環の取り組みを進めていく
2026年3月、着色済みPPを脱墨する技術を開発
循環型プラスチックをという新たな選択肢を業界に向けてアピール
株式会社アルビオン
化粧品容器のリサイクルを推進、再生樹脂の採用に加え
Bottle to Bottleリサイクルの実用化を目指す
店舗什器でも環境配慮を進めるなど、多角的に環境負荷低減に取り組む
リサイクルされた新素材を化粧品容器に積極的に採用
看板商品のボトルを自社で回収しBottle to Bottleのスキームを形成
株式会社ファンケル
1社だけ、1人だけではなく、
顧客・企業・業界とともに、資源循環型社会への貢献を目指す
プラスチック包材を使用した容器包材の4Rを進める
「マイルド クレンジング オイル」のボトルを独自スキームで回収
リサイクル植木鉢の寄贈を通じて地域に貢献
CR技術を用いて製造されたPET素材を製品ボトルに採用
業界の垣根を越えてリサイクルにも取り組む
花王株式会社
自社製品の包装容器をリサイカブルな素材に着実に切り替え
業界をリードしながら業界全体での環境対応の動きを加速
容器におけるR-PETの使用率 91%達成
2040年の「ごみゼロ」に向けて各指標の目標達成を進める
2023年5月、世界初となる使用済みつめかえパックの水平リサイクル技術を確立
翌年10月より、パッケージにリサイクル材を採用した製品を一部店舗限定で販売開始
業界の垣根を超えたCRの取り組みに参画
リサイクルの取り組みを増やし、高い品質と低コストな容器リサイクルを加速させていく
コクヨ株式会社
文房具をはじめとした多角的事業を生かし
用途にとらわれないリサイクル用品を製造していく
2023年に循環指針「SUTENAI CIRCLE」を策定
循環型社会への貢献を目指し、ステークホルダーと協力していく
2023年からは「カウネット Loopla」を開始
文房具用品だけではなく、作業用品へもリサイクル材使用を拡大していく
Loopla以外のプラスチックリサイクルも進め、製品化
文房具を通じて地球環境への思いを共有していく
株式会社パイロットコーポレーション
25年以上にわたり文具業界のリサイクルの流れを牽引
自社製品、サービスを通じて顧客へ環境対応を訴求していく
2025年-2027年の目標を定めた新たな3か年計画を設定
2025年1月には欧州でリサイクル材80%使用した新商品を販売
1997年からリサイクル材を使用した筆記具を展開
PIR材や他産業由来のリサイクル原料も使用しながら、安定した原料調達を進める
「使用済みペンリサイクルプログラム」で回収されたペンを買い物かごにリサイクル
一部ロフト店舗で活用されるなど、自社以外での展開も進む
コニカミノルタ株式会社
独自の環境貢献プラスチック「Matelier」を展開
ユーザー企業ならではの視点で顧客の悩みに寄り添う提案を推進
2009年には2050年を見据えた「エコビジョン2050」を策定
限りある地球資源使用量の削減貢献量を最大化していく
自社で開発した再生プラスチック製造技術を用いて
「環境負荷低減効果」と「複合機で求められる機能の実現」を両立
株式会社竹中工務店
ステークホルダーとともに「脱炭素」「資源循環」「自然共生」を進め
「リジェネラティブ・ワークス」を進める
2025年に「環境戦略2050」を改定
「サーキュラーデザインビルド」の目標達成に向けて多角的な取り組みを進める
MRの実証を経て、CR技術に着目
関係企業と連携を進め、建築系廃プラスチックの再資源化を目指す
鹿島建設株式会社
様々な角度での建設系廃プラスチックリサイクルに取り組み業界を牽引
2024年5月に「鹿島環境ビジョン2050plus」を公表
環境保全と経済活動の両立する持続可能な社会の実現を目指す
プラスチック資源循環促進法をきっかけに建設系廃プラスチックのリサイクルに取り組み
多くの企業とリサイクルの実証を進める
6社共同で建設廃プラスチックのCRに着手
再資源化率の向上とCO2排出量削減の2軸を達成し、業界での環境対応を前進させる