寡占化が進む食品卸業界、一方、地方・中小事業者にも無限の可能性がある


食品卸3位の国分が丸紅との包括提携を発表した。これにより三菱食品に次ぐ売上高2兆円規模の2位グループが誕生する。2社はそれぞれの事業会社への相互出資を行なったうえで、調達、営業、物流など全事業領域にわたって協業を進めるという。
創業以来300年、独立系を貫いてきた国分の決断の背景には、総需要の伸び悩みと小売業界の急激な変化がある。セブン&アイ・ホールディングスとイオン・グループを起点とする全国規模の業界再編は、地方の中小・中堅流通を巻き込み急速に進行する。国分の資産は長い業暦の中で築いてきた中小事業者とのネットワークであるが、これが逆に弱みに転じつつあることが提携を後押しした。

しかしながら、食品卸業界の覇権は規模化と効率化だけでは決着しない。百貨店市場の縮小、スーパー、コンビニの拡大といった構造変化の基調は変わらないものの、大型GMSの失速、都市型の小型スーパーの台頭、コンビニのミニスーパー化など、従来の「統計」からは見えて来ない変革が進む。
ドラッグストアやホームセンターにとっても食品は戦略分野である。給食、宅配、ECにおける新たなビジネスモデルも登場してきた。地産地消、農畜水産業の6次化や農業生産法人改革など「川上」サイドからのプレッシャーも強まる。

そもそも“食”は本質的に多様であって、それは深化し、細分化してゆく。それゆえに多様なサプライチェーンの並存が可能であり、そこに「規模化」では入り込めない無限のイノベーション機会がある。

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今週の”ひらめき”視点 12.07 – 12.11


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