内航海運と離島の現状から見えてくる未来


11月8-9日、四国電力伊方原子力発電所で重大事故に備えた防災訓練が行われた。訓練では海上自衛隊の艦船に加え、愛媛と大分を結ぶ民間フェリーも参加、原発が立地する佐田岬半島から20-30キロ離れた大分市へ住民を海上輸送した。
フェリーは平時の旅客輸送のみならず災害時における役割も大きい。しかし、需要の縮小に歯止めがかからない。加えて、船舶の老朽化も著しい。一般定期航路事業の収支は2504億円の営業収入に対して88億円の営業損失という状況である(2013、国交省)。これでは大きな投資は出来まい。大島豪雨の住民避難で活躍した高速ジェットフォイルもこの20年間新造が途絶え、耐用期限も間近に迫る。
離島航路は、更に厳しい。定期航路の不定期化などにより採算性の向上をはかっているものの、「地域公共交通確保維持改善事業」からの支援がなければ航路の維持は難しい。航路は一度失われると復活はほぼない。

日本は6,852の島嶼からなる世界6番目のEEZを持つ海洋国家である。尖閣もその1つである。一方、住民が暮らす430の島々のうち258の島が離島振興法の対策地域に指定されている。2030年には日本の高齢者率は3割を越えると見込まれるが、これらの島では既に10年前にそれを達成している。まさに日本の過疎の未来がそこにある。したがって、ここを置き去りにすることは地方の未来を諦める、ということである。今、私たちは日本の未来について、国土の在り方そのものから問い直す必要に迫られている。

今週の”ひらめき”視点 11.08 – 11.12

 

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