ジャパンディスプレイ、業績不振、産業革新機構へ支援要請


9日、ジャパンディスプレイは、筆頭株主である官民ファンド「産業革新機構」に対して資金支援を要請したと発表した。売上の5割を占めるiPhone向けの販売不振、中国市場における価格競争の激化により2016年4-9月期の連結営業利益は24億円の赤字を見込む。
 
同社はソニー、東芝、日立の中小型液晶事業を統合した国策企業であり、業界再編を主導したい“官”と需給バランスが不安定でかつ大型投資を必要とする液晶事業の切り出しをはかりたかった“民”の思惑が一致する中で発足した。
今回の問題は、特定顧客の特定需要に偏る“選択と集中”戦略ゆえのリスクが再び顕在化したものである。車載市場の開拓などスマホ依存の低減と有機ELの量産化を含む次世代投資が同社の喫緊の課題であるが、一方、韓国、中国勢も同じ方向を向いており、楽観出来ない。競争優位を勝ち取る条件は意思決定の迅速さであり、リスクの許容度である。この意味において“官”の介在が経営判断の足枷にならないよう望む。

ところで、同社の有価証券報告書の“地域ごとの情報”をみるとアイルランド向けの売上が全体の54.6%を占める(H28年3月31日決算)。これはすなわちアップルとの取引額であるが、アイルランドというタックスヘイブンを活用し、世界規模で租税回避策を展開するグローバル企業のサプライチェーンに日本の公的資金が組み込まれていることについて、一納税者としてあらためて割り切れなさを覚える。

今週の”ひらめき”視点 08.07 – 08.11

代表取締役社長 水越 孝

 

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