豊洲移転、再び政治問題化。賛否を越えて置き去りにされる中小事業者


8月31日、小池都知事は安全性への懸念、不透明な巨額費用、情報公開不足を理由に11月7日に予定されていた豊洲への移転を正式に延期した。ただ、この時点における「安全性への懸念」は地下水モニタリングの結果発表(2017年1月)を待たずに移転することへの懸念であった。これだけでも延期は納得できるが、更に土壌汚染対策の不履行、虚偽報告、不正入札への懸念等が発覚、事態は混迷化する。
そもそも11月7日の“見切り発車”の理由が「五輪に向けての道路整備の都合」であったことにも呆れるが、都庁内部の意志決定プロセスの閉鎖性と公職者としてのモラルの欠損ぶりは驚くばかりである。

一方、消費者の魚離れに歯止めはかからない。築地の取扱量もピーク時から4割以上減っている。事業者にとって需要が伸びない中で負担せざるを得ない移転費用は重い。帝国データバンクによると2003年1月から2016年8月の期間に築地市場内の企業の倒産、休業、廃業は111件に達したという。移転問題が再び行き詰まる中、当事者たちは自らの事業計画すら描くことが出来ない状態が続く。混乱の原因解明と責任の追及は必須である。しかし、都は何よりもまず最終判断の選択枝を示したうえで、検証の作業工程、スケジュール、判断要件を明示し、その履行をコミットメントすべきである。

今週の”ひらめき”視点 09.11 – 09.16

代表取締役社長 水越 孝

 

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