アジアのインフラ需要拡大、一方、資金不足への対応が急務


28日、アジア開発銀行(ADB)は2030年までにアジア、太平洋地域の新興国のインフラ開発に22.6兆ドル(2600兆円)、気候変動に伴う関連投資を加えると総額で26兆ドル(3000兆円)の資金が必要であると発表した。年間ベースに換算すると1.7兆億ドル、これは2009年時点の見通し比で約2.3倍、アジア新興国の順調な経済成長がインフラ需要を押し上げる。

一方、総需要に対する実際の投資額は年間8810億ドル程度にとどまっており、2016年から2020年までの5年間で中国を除く24カ国のGDP比5%分の資金が不足すると見込まれる。2015年にはADBが100億ドル、世界銀行が66億ドル、国際金融公社が32億ドルを支援、2016年に中国主導のアジアインフラ投資銀行が設立されたものの初年度の融資額は17億ドルにとどまっており、絶対的な資金不足は明らかである。
ADBは、新興国に対して財政改革と規制緩和を進めることで不足分の4割を新興国自身が負担、残りの6割を民間投資で補うよう提言している。この場合、民間投資は現在の約4倍、年間2500億ドル規模の新規需要が生まれる計算だ。

民間にとって大きな事業機会である。とは言え、新興国にとってもインフラを外資に押さえられることへの懸念もある。PPP/PFI等の官民連携スキームの条件は決して容易なものとはなるまい。そもそもインフラ投資は超長期の投資となるうえ、政治の不安定さなど新興国特有のリスクもある。事業価値の過大評価と経営条件に対する安易な楽観は将来大きな減損を招くことになりかねない。まさに東芝が反面教師である。

今週の”ひらめき”視点 02.26 – 03.02

代表取締役社長 水越 孝

 

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