ダイソン、EV市場へ参入。異業種参入の活発化はその終わりのはじまり


26日、英家電メーカー“ダイソン”が電気自動車(EV)市場への参入を発表した。投資額は20億ポンド、既に400人を投入し2年前から開発をスタート、2020年までに生産、販売体制を構築するという。英国政府は「2040年からガソリン、ディーゼル車の販売を禁止する」と発表(7月26日)、EVをEU離脱後の成長産業と位置づけ、国内メーカーの育成を支援する。
深刻な大気汚染への対応と内需主導型経済への転換を急ぐ中国もEVを産業政策の柱に据える。世界最大市場を擁する中国にとって国内勢の競争力強化は喫緊の課題である。2800万台(2016年)もの巨大新車市場における国内勢のシェアは4割台、そのうえ利幅の大きい高級車は外資系ブランドの独壇場である。一方、総市場の2.3%とはいえEV(PHV含む)の国内メーカーシェアは8割を越える。国内勢に対する徹底した優遇策の中、BYDを筆頭に8社が凌ぎを削る。

EVは部品点数も少なく、また、構造がシンプルであるため、ガソリン車に比べると参入障壁は低い。今後、市場の急成長とともに多くの新興企業が参入するはずだ。一方、PCがそうであったようにやがてハードとしてのクルマは一挙に汎用品化、やがて、寡占化に向かうはずだ。
今は市場の黎明期であり、航続距離や充電時間などメーカーの技術的な優位性が競争要件となる。しかし、いずれ部品のモジュール化の進展に伴いハード面での技術的優位は平準化してゆくだろう。そして、そうした状況は意外に早く訪れるかもしれない。よってメーカーは“2代先”のビジネスモデルを想定した戦略オプションを用意し、市場の構造変化に先手を打てるよう準備しておく必要がある。

今週の”ひらめき”視点 09.24 – 09.28

代表取締役社長 水越 孝

 

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