2018年度の医薬品原薬・中間体市場は前年度⽐3.0%増の4,430億円と推計
〜国内医薬品⽣産⾦額の低成⻑を反映し、2016年度以降の成⻑率は2〜3%増と鈍化〜
1.市場概況
2019年における国内医薬品生産金額(輸入品は除く)は約6兆9,200億円※と推測される。2020年度の国内の医薬品原薬・中間体市場規模(生産金額ベース、自社生産分を除く)を4,550億円と予測し、国内医薬品生産金額(輸入品は除く)が横ばい推移する一方で、医薬品原薬・中間体市場の2016年度から2020年度までの年平均成長率(CAGR)は2.0%の見込みである。
国内医薬品生産金額(輸入品は除く)は、薬価改定、主力品の特許失効とジェネリック医薬品の使用促進、国内製薬企業における新薬承認数の減少などが影響し、近年はプラス成長とマイナス成長を繰り返す状況が続いている。医薬品原薬・中間体市場も成長率が鈍化する見込みである。
製薬企業は収益向上に向けて経営の効率化を図っており、引き続き製造部門の外部委託を推進する企業が多い。医薬品原薬・中間体市場もこうした製薬企業の外部委託強化の流れに乗っているものの、総合化学企業をはじめとする化学企業や海外企業の新規参入で競争状況が激化する中で価格対応が求められている。
※厚生労働省「薬事工業生産動態統計調査」より引用
2.注目トピック
医薬品原薬・中間体市場の成長性
成長要因としては、大手製薬企業を中心に製造委託がさらに拡大すると見込まれる他、参入企業の増加と営業展開の強化、製造受託企業の設備増強や品質レベルの向上に伴う信頼性の向上などを背景に、受託案件の増加が挙げられる。
ただし、ジェネリック医薬品の使用割合の高止まりに伴う長期収載品の製造量減少、薬価改定などを背景に成長率が鈍化する可能性が高い。また、新型コロナウイルス感染症の拡大は、医薬品原薬・中間体市場の研究開発から製造、営業に至るまでその影響が懸念されており、日本国内において同感染症の流行が認められて以降、致命的な事態には至っていないとの理解ではあるが、収束の見込みが見えない状況の中、先行きはまだ不透明といえよう。
3.将来展望
医薬品原薬・中間体の製造受託の需要見通しに関しては、多くの企業が引き続き拡大を見込んでいる。製薬企業においては収益向上に向けて経営全般の効率化が不可欠であるが、そうした中、製造部門に関しては外部委託が進展しており、この流れはさらに継続する見込みである。
新薬開発に注力する製薬企業は、新薬開発に重点を置く必要があり、投資の中心は研究開発部門に置かれている。これに対し、製造部門に関しては外部委託によりコスト低減を図ることが可能であれば、製造受託企業への外部委託の活用がさらに増加すると見込んでいる。ただし、ジェネリック医薬品の使用促進の影響により、製造受託需要が伸び悩む可能性も考えられる。
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差別化に向けた研究開発
調査要綱
2.調査対象: 医薬品原薬・中間体製造受託および製造販売企業、製薬企業
3.調査方法: 当社専⾨研究員による直接⾯談、電話・e-mailによるヒアリング、郵送アンケート調査、ならびに⽂献調査を併⽤
<医薬品原薬・中間体市場とは>
医薬品原薬とは、医薬品製造⼯程で必要とされる有効成分物質であり、中間体は原薬の製造段階において製造される物質である。分⼦変化や精製などの⼯程を経て原薬となる。本調査における医薬品原薬・中間体市場とは、国内⽣産された医薬品原薬・中間体のうち製薬企業の⾃社⽣産分を除いた市場を指す。
<市場に含まれる商品・サービス>
医薬品原薬・中間体
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