プレスリリース
No.3270
2023/05/22
パワー半導体の世界市場に関する調査を実施(2023年)

IoTの普及、脱炭素社会実現に向けた需要増を背景に、2030年のパワー半導体世界市場規模は369億8,000万ドルまで拡大すると予測
~SiCパワー半導体は新エネルギー機器、EV向けの需要がけん引し、2030年の同世界市場規模は64億5,000万ドルに成長見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、パワー半導体の世界市場の調査を実施し、市場概況や採用動向、個別メーカの設備投資計画や製品戦略を明らかにした。ここでは、2030年までの世界市場規模予測について、公表する。

パワー半導体の世界市場規模予測
パワー半導体の世界市場規模予測

1.市場概況

2021年におけるパワー半導体の世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は前年比20.1%増の223億7,000万ドルであった。ここ数年横ばいで推移していた市場は、2021年第2四半期からパワー半導体メーカで受注が積みあがり、後半から増加基調に転じて通年で二桁のプラス成長となった。
2022年はパワー半導体メーカへの受注は好調であったが、半導体製造用の材料や装置、パワーエレクトロニクスに必要な部品の需給が逼迫し、パワーモジュール用の部材調達も厳しい状況が続いたため、2022年のパワー半導体の世界市場は前年比6.8%増の238億9,000万ドルにとどまる見込みである。
​2023年は、民生用の白物家電、新エネルギー向け産業機器、xEV向けパワー半導体の需要が拡大しており、特に太陽光発電や風力発電システム、HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)のコンバータ/インバータで使われるパワーモジュールの高い伸びが期待できる。そうしたことから、2023年のパワー半導体の世界市場は前年比8.0%増の258億1,000万ドルになると予測する。

2.注目トピック

2022年のSiCパワー半導体の世界市場規模は14億6,000万ドルの見込み

2022年のSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は前年比13.2%増の14億6,000万ドルの見込みである。優れた特性を持つSiCパワー半導体は、データセンター向けサーバーや5G基地局、太陽光発電用PCS(パワーコンディショナー)、産業機器向け補助電源、EV用OBC(車載用充電器)やコンバータなどの補機類で使われており、SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)だけでなくSiC-MOSFETの採用も進んでいる。
なお、2020年から大きく伸長しているのが、xEV用SiCパワー半導体である。これまではコスト面からEV用OBCが中心であったが、EV向け主機モータ駆動用インバータへの採用が伸びている。そのため、2025年のSiCパワー半導体の世界市場は29億2,000万ドルに拡大すると予測する。

3.将来展望

2030年のパワー半導体の世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は369億8,000万ドルに拡大すると予測する。2024年以降もIoT(Internet of Things)の普及拡大、脱炭素社会実現に向けて、情報通信や民生、産業、自動車の各分野でパワー半導体の需要は堅調に推移する見込みである。特に、自動車分野は2026年~2028年頃に向けてEV(電動化)、ADAS/AD(先進運転支援システム/自動運転)、E/Eアーキテクチャ(統合ECU化による集中制御、車両におけるECUやセンサ、アクチュエータの設計・構成)、IVI(次世代車載情報通信システム)、コネクテッドカーの開発が同時に進んでおり、クルマ一台あたりのパワー半導体搭載金額が急激に増加する見通しである。

SiCパワー半導体では、パワー半導体メーカ各社の設備投資が活発化しており、各国による次世代半導体政策が強化されるため、供給量は増加して搭載用途も広がる見込みである。SiCパワー半導体市場をけん引するのは、新エネルギー(太陽光/風力発電)機器やEV用インバータ向けSiCパワーモジュールであり、特に2026年~2027年頃に投入される新型EVにおいてSiCを適用したインバータの採用が進む見込みであり、バッテリ容量が大きく800V給電システムを採用するハイエンドEV(高級・大型EV)向けの需要が伸長する見通しである。2030年のSiCパワー半導体の世界市場は、パワー半導体世界市場の17.4%を占める64億5,000万ドルに成長すると予測する。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • 注目トピックの追加情報
  •  パワーモジュールの搭載動向
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2022年10月~2023年2月
    2.調査対象: パワー半導体メーカ、ウエハーメーカ、システムメーカ
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

    <パワー半導体とは>

    パワー半導体とは、主にインバータ / コンバータ回路で使われており、電力のスイッチングや変換、モータ制御等で必要となる半導体デバイスである。
    本調査では、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)/IPD(Intelligent Power Device)や、ダイオード、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーモジュール、バイポーラトランジスタ、SiC(シリコンカーバイド)を使ったパワー半導体等を対象とした。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    MOSFET、IPD、ダイオード、IGBT、パワーモジュール、バイポーラトランジスタ、SiC / GaNパワー半導体

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年02月28日
    体裁
    A4 97ページ
    価格(税込)
    176,000円 (本体価格 160,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2023 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。