2024年のインナーウェア小売市場規模はレディスで前年比99.8%の5,515億円、メンズで同99.1%の2,260億円
~インナーウェアメーカーは暑さ対策の1つとして通気性や吸湿速乾性を備えた機能性インナーの人気が高まる~
1.市場概況
2024年のレディスインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.8%の5,515億円、3年連続の微減と推計した。ノンワイヤー(ワイヤレス)ブラが引き続き各社の売り上げをけん引しているが、ワイヤーブラや補正下着のニーズも一定数ある。昨今の異常気象による暑さ対策の1つとして、通気性や吸湿速乾性を備えた機能性インナーの人気が高まっている。
2024年のメンズインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.1%の2,260億円、3年連続の減少と推計した。メンズインナーはレディスインナーに比べて商品バリエーションが少なく、新しく流行となる商品が生まれにくい特徴がある。それでも近年は、「美容男子」と呼ばれる、スキンケアやメイク、ヘアスタイル、ボディケアなどに積極的に取り組む男性が増えていることで、その層が下着も自分で購入するという動きが出ている。
2024年のレッグウェア市場規模(小売金額ベース)は、前年比98.8%の4,960億円と推計した。レッグウェアの代表的なアイテムとなるストッキングは、働く女性をはじめ、多くの女性の必需品であったが、カジュアル化によるストッキングの必要感は薄れ、また新型コロナウイルス感染症を機に外出頻度の減少による購入機会の損失を受け、感染症法上の位置づけが5類に移行した後も「コロナ禍前」に戻ることは困難である。
2.注目トピック
春夏と秋冬のインナー商品展開の違いについて
インナーウェア各社は「快適性」を追求する点では春夏・秋冬ともに共通している。しかし、季節ごとに異なる気候(暑さ、寒さ、湿度など)に対応するために、素材、機能、デザイン・色など、どういった部分を意識して企画開発しているのか、各社の共通点を以下のポイントで挙げてみる。
・気候変動への適応と「端境期」戦略:冬の短縮、夏の長期化に対応するため、各社は従来の「春夏・秋冬」という二季区分から、より細分化されたシーズン戦略へと移行している。
・長引く夏への対応:接触冷感、吸汗速乾、通気性を最重要視した商品開発を強化している。インナーだけでなく、靴下や雑貨など、幅広いアイテムで「涼しさ」を追求している。
・短くなる冬への対応:単に「温める」だけでなく、保温性+α(例:着圧によるスタイルアップ、保湿)といった付加価値を訴求している。
3.将来展望
2025年のレディスインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.9%の5,510億円と、ほぼ横ばいを予測する。人口減少やライフスタイルの変化から、コロナ禍以前の市場規模まで回復することは難しい見通しである。依然として消費マインドの低下や節約志向の高まりが続いている。このため市場におけるプラス要素に欠け、市場規模は横ばい~微減で推移するとみられる。
2025年のメンズインナーウェア市場規模(小売金額ベース)は前年比99.1%の2,240億円と、微減を予測する。メンズインナーは、レディスインナーと比較して機能やデザインでの訴求ポイントが少なく、付加価値のある商品提案が難しい。これまでの安価でお手軽な商品を求める消費者の購入意識を、着用感や高機能に意識を向けさせることが商品企画のポイントとなり、新たな顧客開拓の一手につながると考えられる。
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2024年のメンズインナーウェア市場動向
2024年のレッグウェア市場動向
調査要綱
2.調査対象: インナーウェア・レッグウェア市場に参入している製造業、卸売業、小売業、その他関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAXによるヒアリング、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
<インナーウェア(レディス・メンズ)、レッグウェア市場とは>
本調査におけるレディスインナーウェア市場とは、ブラジャーやガードルなどファンデーション、ランジェリー、ショーツ、肌着などを対象とし、メンズインナーウェア市場はランニングやトランクス、ブリーフなどを対象とする。また、レッグウェア市場はソックスやタイツ、ストッキングなどを対象とする。いずれも市場規模は小売金額ベースで算出している。
<市場に含まれる商品・サービス>
レディスインナーウェア、メンズインナーウェア、レッグウェア
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