プレスリリース
No.3982
2025/12/24
監視カメラ/システム国内市場に関する調査を実施(2025年)

2025年度の監視カメラ国内市場規模は前年度比112.2%の2,529億円の見込
~AIとクラウドが市場をけん引、ソフトウェア・映像データ活用型のビジネスモデルへの転換が進む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、監視カメラ/システム国内市場を調査し、 品目別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

監視カメラ/システム国内総市場規模推移・予測
監視カメラ/システム国内総市場規模推移・予測

1.市場概況

2024年度の監視カメラ/システム国内総市場規模(ベンダー出荷金額ベース)は前年度比112.8%の2,254億円となり、堅調な成長を維持した。市場拡大をけん引したのは、AIを活用したVCA画像解析とクラウドカメラサービスであり、これらは従来の防犯・監視用途を超えて、商業施設運営や業務効率化、データ活用を支援するビジネスインフラとして定着化している。特にAIアルゴリズムの高度化とクラウド基盤の整備が進み、カメラ本体にAI解析機能を搭載したエッジAIカメラの普及が加速した。映像解析を現場で即時に行うリアルタイム解析も広がり、レイテンシ(ここでは、映像信号が送信元から受信先に移動するまでにかかる時間遅延のこと)を課題としていた現場でも積極的にAIを活用する動きが見られた。こうしたAI機能の実装はもはや先進的な機能ではなく、標準仕様になり始めている。VMS(ビデオマネジメントシステム)との連携も深化し、映像管理、分析、共有の一元化が進むことで、主要ベンダー​各社は複数拠点の統合運用を前提としたソリューション提案を積極的に行っている。

2.注目トピック

AI画像解析(VCA)とクラウドカメラサービスの急拡大

VCA画像解析とクラウドカメラサービスは、2024年度の市場拡大における最大のけん引役となった。VCA画像解析は、主に防犯・監視用途から、行動データの可視化による施設運営の効率化など、企業業績に貢献する領域へと拡大している。AI技術の進化により、物体検知、属性推定、行動解析が高精度化し、映像監視の中核技術として定着した。小売・商業施設では来店客の人数計測や動線分析などマーケティング支援への活用が進み、工場や交通分野では安全管理や運営効率化を目的とした導入が増加している。エッジAIカメラとクラウドを組み合わせた構成により、リアルタイム処理が可能となることで、映像データ処理に要する時間を短縮でき、その結果、省電力化も進展した。クラウドカメラサービスは、小売・商業施設、中小規模のオフィス、公共施設などを中心に導入が進展し、設置や運用の容易さや遠隔監視、AI解析との連携といった利点により、防犯・監視から業務改善まで用途が拡大している。

こうしたなか、SaaSモデルを軸とした継続収益型のビジネス展開(クラウドベースのAI画像解析サービスなど)が注目され、主要ベンダー各社では、サービス機能拡張や料金体系の最適化を進めている。ユーザー企業においてはクラウド上で蓄積した映像データをAIが解析し、店舗動線分析や設備稼働監視などに活用する動きが広がっており、主要ベンダー​各社では一層の収益拡大が見込まれる。

3.将来展望

2025年度の監視カメラ/システム国内総市場規模(ベンダー出荷金額ベース)は、前年度比112.2%の2,529億円の見込みである。今後も市場は堅調に推移し、2030年度には4,362億円まで成長すると予測する。市場拡大の主因は引き続きVCA画像解析とクラウドカメラサービスであり、施設運営や業務効率化、データ活用での利用が一層進展するとみる。付加価値の源泉がハードウェアからソフトウェア・ソリューションサービスへと移行し、映像データを単なる監視手段ではなく、マーケティング施策や業務効率化などに活用することで、経営資産に資するものとして捉える考え方が浸透していくとみる。

また監視カメラはIP(ネットワーク)カメラとアナログカメラに大別されるが、IP(ネットワーク)カメラは引き続き拡大基調にある。監視カメラの国内出荷台数は2025年度のIPカメラの比率が83.7%の見込みであるのに対し、2030年度には89.1%になると予測する。VCA画像解析やクラウドカメラサービスの普及がIPカメラ導入の主因となっており、公共施設、店舗、工場に加え、医療・介護施設や学校など従来導入が遅れていた領域での利用も拡大している。今後は、AI、クラウド、エッジAIカメラを最適に組み合わせた統合ソリューションを提示できる企業が市場全体の成長を主導するものと考える。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年8月~10月
    2.調査対象: 監視カメラメーカー、代理店、SIer等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やeメールによるヒアリング調査及び文献調査併用

    <監視カメラ/システム総市場とは>

    本調査における監視カメラ/システム総市場は、国内における監視カメラ(IPカメラ+アナログ系カメラ)、DVR(Digital Video Recorder)、NVR(Network Video Recorder)、エンコーダ、VMS(Video Management System/Software)、VCA画像解析(Video Content Analysis)、クラウドカメラサービスの各分野を構成するハードウェア、ソフトウェアを対象とし、ベンダー出荷金額ベースで算出した。なお、工事費や保守・メンテナンス作業費は含まない。また、赤外線カメラ、およびサーモグラフィ関連も含まない。各分野の詳細は以下参照。

    ・監視カメラ:監視カメラはIP(ネットワーク)カメラとアナログカメラに大別される。ネットワークカメラはIP機能を内蔵し、カメラ単独でインターネット網に接続して使用可能な業務用カメラであり、アナログカメラは同軸ケーブルによってモニタや録画機器と物理的につなげる必要があり、一般的にはIPカメラに比べて安価である。
    ・DVR(Digital Video Recorder):アナログ系カメラが撮影した映像データをハードディスクにデジタルデータとして記録、保存する機器の総称である。
    ・NVR(Network Video Recorder):主にIPカメラの映像データをハードディスクにデジタルデータとして記録、保存する機器の総称である。
    ・エンコーダ:アナログカメラから得た画像を通信回線に送るための変換を行う製品をさす。
    ・VMS(Video Management System/Software):監視カメラで撮影した映像を記録媒体に保存し、管理するためのソフトウェアをさす。
    ・VCA画像解析(Video Content Analysis):顔認証、人数計測、車両ナンバー認識、動体・不動体検知など、カメラで撮影した画像や映像を利用し、コンピュータ上で解析をすることで様々な情報をデータ化したり、作業を効率化したりすることができる機能をさす。
    ・クラウドカメラサービス:カメラで撮影した映像をインターネットを経由しクラウド上に記録・保存するサービスである。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    監視カメラ(IPカメラ、アナログ系カメラ)、DVR、NVR、エンコーダ、VMS、VCA画像解析、クラウドカメラサービス

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年10月31日
    体裁
    A4 142ページ
    価格(税込)
    220,000円 (本体価格 200,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
    住所
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