プレスリリース
No.4006
2026/01/20
蓄電所ビジネス市場に関する調査を実施(2025年)

蓄電所ビジネスの国内市場規模は2030年度に4,240億円程度まで拡大を予測
​~需給調整市場の入札上限価格引き下げにより、蓄電所ビジネス市場は蓄電所の開設、調整力需要の拡大で成長基調の見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の蓄電所ビジネス市場を調査し、市場概況、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、2030年度までの蓄電所ビジネス市場規模予測について、公表する。
蓄電所ビジネス市場規模予測
蓄電所ビジネス市場規模予測

1.市場概況

国内における蓄電所の需要は再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及とともに拡大している。経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギー需給実績」によると、電源構成に占める再エネ(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス)の割合は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)が開始された2012年度は約10%だったが、2023年度には約23%まで上昇している。再エネの中には太陽光や風力のように天候によって発電量が変動する「自然変動電源」があるため、蓄電所はこの変動を吸収する調整力として注目されている。

蓄電所を活用したビジネス(蓄電所ビジネス)においては、電力取引市場(容量市場・卸電力市場・需給調整市場)での運用(電気の調達・売電)を通じて収益を獲得する。電力取引市場には、実際に発電された電力(kWh価値)を取引する「卸電力取引所」や、需給バランスの調整能力(ΔkW価値:デルタキロワット価値)を取引する「需給調整市場」、将来の電力供給力を取引する「容量市場」等がある。2024年4月には需給調整市場が全面開場され、蓄電所ビジネスの環境が一通り整った。

​本調査の蓄電所ビジネスは系統用蓄電池または再エネ併設型蓄電池を活用し、電力取引市場での運用によって収益を得る事業とするが、2024年度の蓄電所ビジネス市場規模(事業者収入ベース)は450億円と推計した。売電先は需給調整市場が中心で、商品別では一次調整力(電力系統の瞬時の周波数変動に対応する商品)での取引が多い。需給調整市場は募集量に対して応札が少なく、調達量が不足している。この影響で一次調整力は入札上限価格付近での約定が多くなされている状況にある。

2.注目トピック

需給調整市場の上限価格は2026年度より現状の半分以下に変更される見込み

需給調整市場※は2024年4月の全面開場以降、応札不足が慢性化している。同市場では入札価格の低い順に約定される「マルチプライスオークション方式」が採用されているため、応札不足の状況では入札者が価格決定力を有することとなる。
「売り手優位」による市場価格の高騰を防ぐため、需給調整市場では三次調整力②以外の商品に入札上限価格が設定されている。2025年12月時点の上限価格は、複合商品・一次調整力・二次調整力①が19.51円/ΔkW・30分、二次調整力②・三次調整力①が7.21円/ΔkW・30分である。

​需給調整市場における応札不足は2025年度も続いており、約定価格の高止まりが懸念されている。そこで、経済産業省 資源エネルギー庁は2025年10月29日の制度検討作業部会(第108回)において、複合商品・一次調整力・二次調整力①の上限価格を7.21円/ΔkW・30分に引き下げる案を示した。上限価格案は現行の設定価格の半分以下にあたり、決定されれば蓄電所ビジネスの収益環境に大きく影響する可能性がある。

※ 需給調整市場の商品は、応答時間や制御方法により、一次調整力、二次調整力①、二次調整力②、三次調整力①、三次調整力②に分類されている。

3.将来展望

相次ぐ蓄電所の運転開始を受けて、2025年度の蓄電所ビジネス市場規模は750億円に拡大を予測する。中長期的にみると、再エネのさらなる普及により国内の蓄電所需要は大きく拡大する見通しである。政府は2030年度における系統用蓄電池の導入見通しを累計14.1~23.8 GWhとしており、2030年度の蓄電所ビジネス市場規模は2024年度比約10倍の4,240億円程度まで拡大すると予測する。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年9月~12月
    2.調査対象: 系統用蓄電池・再エネ併設型蓄電池事業を展開する国内事業者
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

    <蓄電所ビジネス市場とは>

    蓄電所では電力系統に大型蓄電池を接続し、電力取引市場(容量市場・卸電力市場・需給調整市場)での運用(電気の調達・売電)によって収益を得る。蓄電池単独で電力系統に接続し、充放電とも市場運用によって行う「系統用蓄電池」と、太陽光等の再生可能エネルギー発電設備に併設して充電し、電力市場での取引を経て放電する「再エネ併設型蓄電池」がある。

    本調査における蓄電所ビジネスとは、系統用蓄電池または再エネ併設型蓄電池を活用し、電力取引市場での運用によって収益を得る事業とする。なお、市場規模は、経済産業省資源エネルギー庁 次世代系統WG資料、内閣官房 GX実現に向けた専門家WG資料、第7次エネルギー基本計画、日本卸電力取引所(JEPX)事業報告、電力需給調整力取引所(EPRX)公表資料を基に、電力取引市場での売電にともなう事業者の収入(金額)ベースとして算出した。


    ※関連資料
    定置用蓄電池(ESS)世界市場に関する調査を実施(2025年)
    https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3871
    電力小売市場に関する調査を実施(2025年)
    https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3820
    エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(ERAB)市場に関する調査を実施(2025年)
    https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3710

    <市場に含まれる商品・サービス>

    系統用蓄電池、再エネ併設型蓄電池

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年12月10日
    体裁
    A4 146ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

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