2024年度の酒類総市場は3年連続拡大するも、2025年度は縮小に転じる見込み
~2026年のビール類酒税一本化を見据えた市場再編が加速する見通し~
1.市場概況
2024年度の酒類総市場(メーカー出荷金額ベース)は前年度比101.3%の3兆3,630億円と3年連続で拡大したが、2025年度は同97.4%の3兆2,740億円と縮小が見込まれる。2024年度の拡大背景には価格改定による単価上昇が大きく寄与しており、カテゴリーによっては数量ベースで横ばいまたは微減傾向で推移する「単価主導型」の成長構造にあった。
2024年度は記録的な猛暑やコロナ禍で中断されていた祭事・宴会・イベントの完全再開、インバウンド(訪日外国人客)需要の増加が市場を押し上げた。業務用市場では体験価値を重視する消費行動への変化により、プレミアムビールやジャパニーズウイスキーなど高単価商材が活発に動いている。一方で、家庭用市場では「プチ贅沢」需要と物価高による節約志向の二極化が進行し、減税されたビールへの消費回帰や安価で満足度の高い無糖RTD(Ready to Drink:開封してすぐにそのまま飲める酒)の伸長が市場を下支えしている。
2.注目トピック
ノンアルコール飲料市場の動向
ノンアルコール飲料市場は、健康志向の高まりとライフスタイルの変化を背景に拡大を続けており、従来の「代替品」から「積極的に選ばれる飲料」へと進化している。
ノンアルコール飲料は飲酒運転の厳罰化をきっかけに注目され、2009年のアルコール度数0.00%のノンアルコールビールテイスト飲料「キリンフリー」開発により社会的評価が急上昇し、現在では「ソバーキュリアス」や「マインドフルネス・ドリンク」といった積極的に飲酒しない文化が若年層を中心に広がっている。
製品の多様化も顕著で、ビールテイストに加えレモンサワーやカクテル、ワインテイストなど幅広いカテゴリーが登場し、「ゼブラ飲み」と呼ばれるアルコール飲料とノンアルコール飲料や水などを交互に楽しむスタイルも定着しつつある。
アサヒビールは「スマートドリンキング」を提唱し酒を飲まない層の取り込みを図り、サントリーは2025年に「ノンアル部」を新設してマーケティングに50億円を投じるなど、酒類メーカー各社が注力を強めている。
3.将来展望
2025年度の酒類総市場は前年度比97.4%の3兆2,740億円と4年振りの縮小を見込む。ビールの価格上昇による購買意欲の減退や酒類メーカーのシステム障害による出荷制限が影響する見込みである。2026年10月に予定されるビール類酒税一本化により、発泡酒や新ジャンルの需要減退が鮮明となる一方、ビールやRTDの消費活性化の影響で2026年度の酒類総市場は拡大に転じ、前年度比101.4%の3兆3,200億円と成長を予測する。
但し、2025年度の市場規模をコロナ禍前の2019年度市場(3兆4,810億円)と比較すると約2,000億円の開きがあり、長期的には市場の縮小基調が続いていく見通しである。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
調査要綱
2.調査対象: 酒類メーカー、酒類卸、関連企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話ヒアリング、アンケート調査ならびに文献調査併用
<酒類市場とは>
本調査における酒類市場とは、ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)、清酒、甲類焼酎、乙類焼酎、ウイスキー、ワイン、RTD(Ready to Drink:開封してすぐにそのまま飲める酒)、その他の10分野(カテゴリー)を対象としている。
また今回調査から、10分野のうち、低アルコール飲料をRTDに変更した。
<市場に含まれる商品・サービス>
ビール類(ビール、発泡酒、新ジャンル)、清酒、甲類焼酎、乙類焼酎、ウイスキー、ワイン、RTD、その他
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