プレスリリース
No.4039
2026/03/16
全固体電池市場に関する調査を実施(2025年)

LiB側の進化との対峙で問われる全固体電池ならではの優位性とその価値の再定義
~全固体電池世界市場は2040年で最大4.4兆円規模までの市場拡大を予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、全固体電池の世界市場を調査し、種類別動向(硫化物系全固体電池、酸化物系全固体電池、高分子系全固体電池、半固体電池)、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

全固体電池 世界市場規模推移:硫化物系Aggressive予測+酸化物系・高分子系(半固体含む)
全固体電池 世界市場規模推移:硫化物系Aggressive予測+酸化物系・高分子系(半固体含む)
全固体電池 世界市場規模推移:硫化物系Conservative予測+酸化物系・高分子系(半固体含む)
全固体電池 世界市場規模推移:硫化物系Conservative予測+酸化物系・高分子系(半固体含む)

1.市場概況

 全固体電池は電池特性面において現行LiBに対する複数の優位性(ポテンシャル含む)を有しており、BEV向けを始め、今後の市場拡大への期待が高い。一部の全固体電池(半固体電池含む)では既に生産を開始している事例もあるが、多くは2020年代後半(2027年以降~)での実用化、生産開始に向けて引き続き開発が推進されている状況にある。 

 硫化物系全固体電池では、主要自動車OEMにおいて2027~2028年頃を目途に実用化を目指す動きが複数あり、日系自動車OEMでは現行LiBを上回るスペックで第一世代にあたる硫化物系全固体電池について、生産技術などを主眼とする次のフェーズへ移行しつつある。一方、コストの低減が引き続き大きな課題であり、生産初期段階はLiBに対するコスト優位性を打ち出すのは難しい状況にある。

 酸化物系全固体電池はセル大型化に伴う課題が残されており、産業用センサーなどの小型電源向けでの採用に留まっていると見る。高分子系全固体電池はイオン伝導率が硫化物系などに比べ低く、イオン伝導率向上には加温が必要とされる点等が引き続き市場拡大に向けた課題である。酸化物系、高分子系ではこれらの課題を踏まえ、ハイブリッド化(酸化物系固体電解質に電解液/ゲルポリマー電解質を添加など)で半固体電池とすることで早期実用化を図る動きが中国を中心に見られる。

2.注目トピック

技術進展の一方で、依然残る複数のコストアップ要因

 硫化物系全固体電池では、足元において第一世代にあたる電池セル仕様に関して材料選択(固体電解質、正極材、負極材の種類)の目途や、LiBを上回るエネルギー密度の実現に向けた技術進展(固体電解質層の薄膜化など)の動きが見られる。一方、各社各様による取り組みが引き続き中心となっており、電池セル、材料を含め本格量産に向けた最適な生産技術の確立に時間を要するなど、コスト面の課題が依然大きい状況にある。なお、小型タイプの硫化物系全固体電池ではセンサー向けバックアップ電源用途を中心に採用が拡大傾向にある。

 酸化物系・高分子系全固体電池は半固体電池での早期実用化を推進する動きが見られ、中国の主要LiBメーカーでは量産に向けパイロットプラントによる少量生産が既に開始されているほか、一部では既に量産工場を建設・稼働を開始しているメーカーも存在している。

3.将来展望

 本調査では硫化物系全固体電池市場予測において「成長率高めのAggressive予測」「成長率低めのConservative予測」の2つのシナリオに基づく予測を行った。具体的には供給先アプリケーション候補(「xEV」、「eVTOL」、「ヒューマノイドロボット」、「その他」)のうち「xEV」を対象に、自動車市場全体における電動化の進展状況等の観点から上記2つのシナリオを適用している。なお、酸化物系・高分子系全固体電池(半固体含む)市場予測は1つのシナリオのみで予測を行っている。

 硫化物系全固体電池に関して、実用化が予測される2020年代後半では高コスト体質を吸収可能なラグジュアリーブランドBEVへの搭載から実用化が始まる可能性が高い。eVTOLでは現行LiB以上のエネルギー密度の向上が期待される固体電池(半固体含む)の搭載で飛行時間の延長が図れる点などが優位性とされており、同電池を搭載した試験飛行・認証取得も行われている。ヒューマノイドロボットでも高エネルギー密度を有するバッテリーが求められており、硫化物系全固体電池が採用ポテンシャルを有する。一方、両アプリケーション向けについて、既に一部では現行LiBでの製品化が推進されている状況を含め、価格面においてLiBより高価となる硫化物系全固体電池の優位性を疑問視する声も聞かれ、採用拡大には時間を要すると予測する。今後、全固体電池、並びに材料の本格量産に向けた最適な生産技術の確立等が進み、kWh単価をLiBに近づけることが実現されれば、2035年、2040年では各種アプリケーション向けでの需要増が予測される。

 酸化物系・高分子系は固体電解質に電解液や高分子系固体電解質を組み合わせ半固体電池とすることで早期実用化を図る動きが中国を中心に見られ、2023年時点でいくつかの中国自動車OEMが半固体電池を搭載したモデルをいち早く発表している。2035年までは硫化物系全固体電池市場を上回る市場規模を予測する。一方、現行LiBとの比較におけるコスト面の課題、並びに電解液を使用している以上、半固体電池の安全性の懸念は完全に払拭できない点を含め、中国国内でもその優位性を疑問視する意見がある。硫化物系全固体電池の技術進展次第では酸化物系・高分子系全固体電池市場は本予測ほどの市場拡大に至らない可能性もある。

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Aパターン
  • 注目セグメントの動向
  •  硫化物系:第一世代品の多くはアルジロダイト型を選択の向き、細粒化で成形性課題をカバー
     酸化物系固体電解質+電解液/ゲルポリマーによる早期実用化狙いの動きが活発化
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  •  硫化物系:生産プロセス上の新規課題への対応などのコストアップ要因
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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年9月16日~2026年1月26日
    2.調査対象: 全固体電池(半固体電池含む)の電池メーカー、材料メーカー、装置メーカー: 日系企業:14 社、中国企業:4 社、韓国企業:6 社
    3.調査方法: 弊社専門調査員による直接面談取材をベースに、文献調査を併用

    全固体電池市場とは

    本調査における全固体電池とは、硫化物系全固体電池、酸化物系全固体電池、半固体電池※、高分子系全固体電池を対象とする。なお、市場規模(出荷金額ベース)は1米ドル=155円の換算で算出している。

    ※酸化物系固体電解質に電解液/ゲルポリマーを添加した電池

    <市場に含まれる商品・サービス>

    硫化物系全固体電池、酸化物系全固体電池、高分子系全固体電池、半固体電池

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2026年01月30日
    体裁
    A4 218ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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