プレスリリース
No.4055
2026/03/16
クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場に関する調査を実施(2026年)

2025年のクラウド基盤サービス市場規模は前年比118.9%の2兆7,100億円
~難易度の高いシステムのマイグレーションと戦略的なハイブリッドクラウド・マルチクラウド環境の採用が増加~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場を調査し、現況、クラウドベンダ動向、新サービス普及状況、将来展望等を明らかにした。


 

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測
クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測

1.市場概況

2025年のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスの市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比118.9%の2兆7,100億円と推計する。市場の成長を牽引するのは、オンプレミス環境からクラウド環境へのマイグレーションと、ハイブリッドクラウド・マルチクラウドの戦略的な活用拡大である。この2つの要因は近年続くトレンドであるが、マイグレーションにおいてはその対象が変化しており、ハイブリッドクラウド・マルチクラウド環境においては企業の構築・運用姿勢が変わってきている。

マイグレーションについては、標準的なOSで動作する情報系システムや、依存関係の少ない検証環境といった比較的移行しやすいシステムはすでにクラウドへの移行が進んでおり、現在は旧来の設計で構築された複雑なシステムの移行フェーズに入っている。これらは移行に時間を要するケースも多いが、それだけ継続的な需要が見込まれる領域でもある。

ハイブリッドクラウド・マルチクラウドの活用においては、かつては結果的にそうした構成になっていた企業が多かったが、近年は全社最適の観点から戦略的な設計に基づき、複数のクラウド基盤を組み合わせたITインフラ環境を実現する企業が増えている。各パブリッククラウドの特性を活かした構成や、オンプレミス/プライベートクラウドを意図的に活用するという、用途に応じたクラウド利用が広がり、扱うシステムやデータが増加し、市場拡大に寄与している。

2.注目トピック

台頭するソブリンクラウド

ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)について現時点で明確な定義はないが、主に特定の国・地域の法律や規制に準拠し、データの保管・処理・運用がその国・地域内で完結するクラウドサービスと言える。国際情勢の変化や他国の政治的判断によって自国の重要なシステムやデータが利用できなくなるリスクを回避するため、自国内および域内でコントロール可能なソブリンクラウドの必要性が世界中で高まっている。加えて、重要インフラの保護やサプライチェーンリスクの管理、技術的自立性が国家安全保障の観点から不可欠であると認識されるようになり、その土台となるクラウド基盤サービスの安全性・信頼性の確保が求められている。

近年、日本においては、国産クラウドとして長年クラウド基盤サービスを提供してきた事業者によるソブリンクラウドを標榜するサービスが増加している。これまでオンプレミスに限定されていた重要システムが、クラウド事業者のサービス拡充・機能強化により、クラウド基盤サービスの利便性を享受できるような土壌が整い始めた。

ソブリンクラウドを必要とするデータやシステムは、クラウド市場全体から見れば限定的である。しかし、これまでクラウド化できなかった重要システムこそ、クラウドの持つスケーラビリティや運用効率、最新技術へのアクセスといったメリットを享受すべき対象といえる。機密性の高いデータやデータ主権​に関する要件が厳格なシステムはソブリンクラウドに配置し、それ以外の領域では他のパブリッククラウドを柔軟に活用するという、用途に応じたマルチクラウド・ハイブリッドクラウド戦略が広がっている。ソブリンクラウドは、こうした戦略の一翼を担う存在として、企業のデジタル基盤を構成する重要な要素になると予測する。

3.将来展望

クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場(事業者売上高ベース)は引き続き拡大し、2029年には5兆2,200億円に達すると予測する。2023年から2029年のCAGRは18.0%である。

成長を牽引する最大の要因はAI(人工知能)である。2025年時点ではPoC(概念実証)段階にとどまる企業が多いが、今後は実用化・本番稼働フェーズへの移行が進む見込みである。大手クラウド事業者はAI関連サービスの拡充に注力しており、それらのサービス利用が増加することで市場全体の規模は大きく押し上げられると予測する。

また、AI活用によるデータ量の増大に加え、OTT (Over The Top)サービス※の利用拡大やIoT・5Gの普及も加わることで、データ総量は増大し続け、その保存・処理・分析を担うストレージやコンピューティングリソースの需要が拡大する。さらに、現在オンプレミスで稼働している基幹システムが段階的にクラウドへ移行することでも、継続的な需要が生まれる。

一方、データの機密性を理由にパブリッククラウドではなく意図的にオンプレミスやプライベートクラウドを選択する企業も増加しており、パブリッククラウドの利用拡大に一定の影響を与える可能性がある。こうした抑制要因はあるものの、複数の成長ドライバーが市場を牽引し、クラウド基盤サービス市場は今後も拡大基調を維持すると予測する。

※OTT (Over The Top)サービス:インターネット回線を通じて動画・音楽・通話などのサービスを提供する事業者・サービスの総称。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2025年11月~2026年2月
    2.調査対象: 国内クラウドベンダ、データセンターサービス事業者、国内民間企業等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、郵送及びWebによる法人アンケート調査併用

    <クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスとは>

    本調査における IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)とは、いずれもパブリッククラウド(サービス提供事業者のクラウド基盤)を利用し、インターネット経由で提供される仮想化技術、自動化技術等を施したクラウドコンピューティング環境をさす。
    クラウド基盤サービス市場規模は、クラウドベンダ(サービス提供事業者)の事業者売上高ベースにて算出した。なお SaaS(Software as a Service)は含まない。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    IaaS、PaaS

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2026年02月27日
    体裁
    A4 251ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
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